スリカータ、あるいはミーアカットは、
本邦ではミーアキャットの名で知られる哺乳類である。
南アフリカ周辺に住まう。
ミーアカットの名は複雑で、語源には様々な説がある。
とりあえず、本来は猫を意味するキャットではない
可能性がとても高い。
どうも猿、あるいはマングースを意味するマルカタが
ミーアカットの名の本来の形であるらしい。
一方、スリカータは現地語由来のようだ。
マングースと近い種であり、食性も似ていることから、
東南アジアに住むマングースを意味するインド系の名称
マルカタがサラセン人によって持ち込まれ、
それがオランダ語で訛り、アフリカーンス語となったのが
ミーアカットなのではないかと思われる。
オランダ語ではカットは猫のため、
本邦でもそこから誤解が生じ、
ミーアキャットと呼んでいるのかもしれない。
スリカータの耳は非常に小さく、
直立することが多いため、
猿に間違われることも多かった。
マルカタには猿の意味もあるようで、
どうもマングースを猿と混同した名残が
ミーアカットの名前にもありそうである。
さて、スリカータは何でも食べる雑食だ。
様々な毒への耐性も持つことから、
サソリやヘビまで食べてしまう。
そのうえ気性が荒く、群れで行動するため、
サバンナのギャングと呼ばれることもある。
可愛らしい見た目に反して、なかなか獰猛なのだ。
直立する理由だが、第一には天敵である猛禽類の
接近を見張るためである。
次いで、夜間は気温の低い砂漠の地下で暮らすことから、
冷え切った体を朝日で温める意味がある。
群れが皆同じ方向を向いて立っているのは、
体を太陽に向けて日光浴しているためのなのだ。
群れにはオスのリーダーとメスのリーダーがいる。
繁殖を行うのはこの二頭だけであり、
血の繋がった他の個体は群れのサポートに徹する。
具体的には子育てを手伝い、巣を守るというものだ。
子供たちに狩りの仕方を教えていたという
観察報告もある。
ギャングというよりも、ファミリーを守る
マフィアのようだ。
巣穴は広大で、ジリスなど、他の動物と
シェアする度量の広さも見せる。
おそらく何らかの互恵関係にあるのだろう。
ところで、飼育下での繁殖は難しいらしい。
なんでもメスがリーダーの座を巡って
激しく争い、全滅してしまうこともあるという。
仁義なきミーアキャットというわけだ。
序説
序説
かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...
2019年6月30日日曜日
2019年6月29日土曜日
笹
竹によく似た植物である。
竹との違いは、枯れるまで葉が落ちないこと、
節に葉鞘があること、葉脈が平行であることだ。
近い種ではあるが、完全に別の植物である。
その葉には防腐作用のある成分が含まれているため、
ちまきなど、保存食を包む用途で使われてきた。
独特の香りがあるが、本邦では笹で包まれた
食品を食べる機会がそれなりにあるため、
食欲をそそられると感じる者も多い。
ただ、世界的には珍しい植物であり、
特に西洋圏では笹は本邦を示すアイコンでもある。
多くのヨーロッパ諸国ではこの植物を
独自の言語ではなくササと呼んでいることからも
本邦独自の存在と見做されていることが分かるだろう。
もちろん、東アジアの他の国にも生育しているが、
本邦の笹は群を抜いて種類が豊富だ。
ところで、竹の花が咲くのはとても珍しいことだが、
笹の花もやはり滅多に咲かない。
およそ干支が一回りしないと咲かないという。
笹の実は笹麦と呼ばれ食べることができる。
小麦や蕎麦のように粉に挽いて食べるのだが、
食味はあまり良くなく、笹独特の香りがする。
早い話が美味いものではない。
そのうえ、滅多に収穫できないのだから
人々の話題にはそうそう上らない。
だが、各地に笹麦の伝承が残されている。
なぜかというと、飢饉などの食糧難の際に、
笹麦を食べて生き延びた集落の話が散見されるためだ。
笹は荒れた土地に進出し、爆発的に増える類の植物だ。
大抵の場合、固まって多数生えている。
このため、偶然開花に行き合えば、
相当量の笹麦が収穫できる。
飢えから救われた村は古来数知れない。
葉の防腐作用のことも勘案すれば、
昔の人にとってはありがたい植物である。
家紋に採用される例も多いあたり、
やはり、本邦において特別な存在だったのだろう。
一生の間に目にするかどうかすらわからぬ笹麦。
もしこれを食べる機会があるならば、
貴重な経験となるに違いない。
竹との違いは、枯れるまで葉が落ちないこと、
節に葉鞘があること、葉脈が平行であることだ。
近い種ではあるが、完全に別の植物である。
その葉には防腐作用のある成分が含まれているため、
ちまきなど、保存食を包む用途で使われてきた。
独特の香りがあるが、本邦では笹で包まれた
食品を食べる機会がそれなりにあるため、
食欲をそそられると感じる者も多い。
ただ、世界的には珍しい植物であり、
特に西洋圏では笹は本邦を示すアイコンでもある。
多くのヨーロッパ諸国ではこの植物を
独自の言語ではなくササと呼んでいることからも
本邦独自の存在と見做されていることが分かるだろう。
もちろん、東アジアの他の国にも生育しているが、
本邦の笹は群を抜いて種類が豊富だ。
ところで、竹の花が咲くのはとても珍しいことだが、
笹の花もやはり滅多に咲かない。
およそ干支が一回りしないと咲かないという。
笹の実は笹麦と呼ばれ食べることができる。
小麦や蕎麦のように粉に挽いて食べるのだが、
食味はあまり良くなく、笹独特の香りがする。
早い話が美味いものではない。
そのうえ、滅多に収穫できないのだから
人々の話題にはそうそう上らない。
だが、各地に笹麦の伝承が残されている。
なぜかというと、飢饉などの食糧難の際に、
笹麦を食べて生き延びた集落の話が散見されるためだ。
笹は荒れた土地に進出し、爆発的に増える類の植物だ。
大抵の場合、固まって多数生えている。
このため、偶然開花に行き合えば、
相当量の笹麦が収穫できる。
飢えから救われた村は古来数知れない。
葉の防腐作用のことも勘案すれば、
昔の人にとってはありがたい植物である。
家紋に採用される例も多いあたり、
やはり、本邦において特別な存在だったのだろう。
一生の間に目にするかどうかすらわからぬ笹麦。
もしこれを食べる機会があるならば、
貴重な経験となるに違いない。
2019年6月28日金曜日
ムハンガ
本邦ではツチブタと呼ばれるサブサハラの哺乳類である。
土豚の名はアフリカーンス語のアードバーグの直訳で、
アラビア語でも大地の豚と呼ばれている。
ブタと呼ばれているが、
ムハンガはブタとは無関係な生物だ。
胴体が少しブタに似ているのでこの名が付いたと思われる。
だが、個人的には鎧の無いアルマジロと
言われた方がしっくりくる見た目をしている。
アルマジロを裸に剥いて、口吻を細長くし、
耳をウサギのように長くして、尻尾を太くて
長いものにした姿を思い浮かべてみてほしい。
体毛は短く灰色だ。
そういえば、鼻先を正面から見るとブタに似ている。
この点と、脆弱な肌がブタらしいといえばらしい。
食べているものはシロアリである。
アリ塚を唯一強靭な部位である爪で破壊し、
飛び出してきたアリを細長い舌で舐めとる。
食事の方法とそれに適した口の構造から、
昔はアリクイの仲間だと思われていた。
しかし、後にそれはシロアリを食うのに向いた形へと
進化した結果、似てしまっただけだと判明する。
アリを舐めとる食事方法のため、歯は退化しており、
空洞の六角形という非常に特徴的な形になっている。
これは臼歯で、犬歯など他の歯は無い。
噛み付くことができず、足も速いとは言い難いので、
天敵への抵抗手段が乏しい。
巣穴を掘ったり蟻塚を破壊したりするために、
硬い爪とそこそこの脚力を持っているのだが、
それを活かした戦い方はしない。
襲われた場合は、逃げもせずその場で穴を掘り始める。
穴が掘れない場合には じたばたする。
かなりか弱い生き物なのだ。
嘘か本当かは知らないが、骨も脆いらしい。
頭蓋骨を人間の力で簡単に砕けるとか。
さて、過酷なアフリカの大地で暮らすには
弱すぎる気もするムハンガだが、
その特殊な形状の歯はお守りとして重宝された。
大地を掘り、地上と地下を行き来する
霊的な存在と見做されたためだ。
なお、農耕民族からは嫌われている。
農地を掘り返し荒らしてしまうためだ。
水分補給のためにウリを食うこともある。
おそらくこうした性質に由来するのだろう、
農耕民族の国であるエジプトでは、
悪神がムハンガの頭を持つとしている。
なお、彼らの掘る穴は他の生物の巣穴として
再利用されるため、実は生態系に少なからぬ
影響を与えている。
農耕の邪魔になるとして駆除されることもあるが、
今のところ絶滅の危険はないようだ。
ただし、生態のよくわかっていない動物のため、
知らぬ間に数を減らしている可能性も
あるかもしれない。
土豚の名はアフリカーンス語のアードバーグの直訳で、
アラビア語でも大地の豚と呼ばれている。
ブタと呼ばれているが、
ムハンガはブタとは無関係な生物だ。
胴体が少しブタに似ているのでこの名が付いたと思われる。
だが、個人的には鎧の無いアルマジロと
言われた方がしっくりくる見た目をしている。
アルマジロを裸に剥いて、口吻を細長くし、
耳をウサギのように長くして、尻尾を太くて
長いものにした姿を思い浮かべてみてほしい。
体毛は短く灰色だ。
そういえば、鼻先を正面から見るとブタに似ている。
この点と、脆弱な肌がブタらしいといえばらしい。
食べているものはシロアリである。
アリ塚を唯一強靭な部位である爪で破壊し、
飛び出してきたアリを細長い舌で舐めとる。
食事の方法とそれに適した口の構造から、
昔はアリクイの仲間だと思われていた。
しかし、後にそれはシロアリを食うのに向いた形へと
進化した結果、似てしまっただけだと判明する。
アリを舐めとる食事方法のため、歯は退化しており、
空洞の六角形という非常に特徴的な形になっている。
これは臼歯で、犬歯など他の歯は無い。
噛み付くことができず、足も速いとは言い難いので、
天敵への抵抗手段が乏しい。
巣穴を掘ったり蟻塚を破壊したりするために、
硬い爪とそこそこの脚力を持っているのだが、
それを活かした戦い方はしない。
襲われた場合は、逃げもせずその場で穴を掘り始める。
穴が掘れない場合には じたばたする。
かなりか弱い生き物なのだ。
嘘か本当かは知らないが、骨も脆いらしい。
頭蓋骨を人間の力で簡単に砕けるとか。
さて、過酷なアフリカの大地で暮らすには
弱すぎる気もするムハンガだが、
その特殊な形状の歯はお守りとして重宝された。
大地を掘り、地上と地下を行き来する
霊的な存在と見做されたためだ。
なお、農耕民族からは嫌われている。
農地を掘り返し荒らしてしまうためだ。
水分補給のためにウリを食うこともある。
おそらくこうした性質に由来するのだろう、
農耕民族の国であるエジプトでは、
悪神がムハンガの頭を持つとしている。
なお、彼らの掘る穴は他の生物の巣穴として
再利用されるため、実は生態系に少なからぬ
影響を与えている。
農耕の邪魔になるとして駆除されることもあるが、
今のところ絶滅の危険はないようだ。
ただし、生態のよくわかっていない動物のため、
知らぬ間に数を減らしている可能性も
あるかもしれない。
2019年6月27日木曜日
ツチノコ
胴体がやけに短く、そして太いヘビである。
本邦固有種であるが、現代では確度の高い目撃例が
ほとんど無いため、絶滅、もしくはそれに
近い状態にあるものと思われる。
槌子と書かれ、槌、つまりハンマーに似た
姿だとされているが、槌の字は当て字だろう。
実際のツチノコは顎のエラこそ張っているものの、
いわゆるハンマー状の姿ではない。
なにより、ツチとは古語において
ヘビ、あるいは龍を意味する言葉である。
単にチだけでもヘビや龍を指すこともある。
オロチのチだ。
なお、ミも干支でヘビがミと呼ばれている
ことから分かるように、ヘビや龍の性質を持つ。
チもミも神霊のことを指す言葉であり、
ヘビの神性と龍神のイメージが
繋がっていることがわかる。
神話に登場するツチやツミで終わる名を持つ神々は
龍神の特性を備えていると見て良いだろう。
ツチノコの名の由来を考える上で外せないのは
山の神であるオオヤマツミだ。
その子はアメノサヅチ、クニノサヅチという。
神々だけではない、妖怪にもノヅチというものがいる。
ヘビに似ているが胴が太く、目鼻が無いという妖怪だ。
野槌と書かれ、槌、つまりハンマーに似た
姿だとされているが、こちらもやはり当て字だろう。
神として信仰されていたモノが忘れられ、
妖怪へと零落する例はかなり多い。
おそらくノヅチも山神だったのだろう。
目鼻が無いなどの特徴は、もしかしたら道教の
渾沌との関連があるためかもしれない。
なお、ノヅチノカミという神名があるが、
その母はカヤノヒメであるとされる。
カヤノヒメは前述のオオヤマツミの妻である。
前置きが長くなったが、縄文期にはまだ
ツチノコが多数生息していたことは、
ツチノコ紋の縄文式土器があることからも明らかだ。
特に珍しい形態のこのヘビに古代人が神性を
見出さぬわけはない。
その信仰が前述のノヅチへと繋がったのだろう。
ではいつ頃からツチノコは数を減らしてしまったのか。
鎌倉期の仏教説話、沙石集には言葉だけで
行動に移さぬ者が目も手足も無く口だけがある
ノヅチになってしまうという話が書かれている。
つまり、この頃にはまだ、あの生き物のことか、
と思い起こせる程度には見かけられていたのだ。
江戸期の博物学書である和漢三才図絵には
木の穴に住み人を噛むと書かれている。
だが、槌の形をしているとあるため、
実物を目にする機会は少なかったのだろう。
同じく江戸期の妖怪画集、今昔画図続百鬼や
黄表紙本、妖怪仕内評判記には、
毛むくじゃらであったり、人型であったり、
明らかに化け物として記されている。
実態と乖離していることがわかる。
迷信を排除しようという強い動きのあった
明治期には多くの妖怪の存在が否定された。
しかし、ツチノコの目撃証言は後を絶たず、
少ないながらも存在していたことがうかがえる。
特に、大戦期には軍の研究所で飼育され、
研究が行われていた記録がある。
どうやらマムシに近い種で
あったことが分かったようだ。
だが、戦後しばらくは食糧難で山に入ることも
多かったはずにも関わらず、
目撃談がほとんど無い。
現代に入ってからにわかに目撃例が出てくるものの、
外来の見慣れぬヘビが野生化したものを
見間違えたケースが非常に多い。
こうして見てみると、大きく数を減らしたのは
戦国期であり、決定的に絶滅に向かい始めたのが
大戦期であるという推測ができる。
果たして現在もツチノコは絶滅せずに
命脈を保っているのだろうか。
なお、目撃談の多い地方では、
発見者に懸賞金を与えるとしている
自治体がいくつかある。
ツチノコハンターと呼ばれるツチノコを探すことに
執念を燃やす人々もいるが、彼らが生きた
ツチノコを目にする日が来ることを祈ろう。
知らないうちに絶滅していたのでは
あまりにも悲しい。
本邦固有種であるが、現代では確度の高い目撃例が
ほとんど無いため、絶滅、もしくはそれに
近い状態にあるものと思われる。
槌子と書かれ、槌、つまりハンマーに似た
姿だとされているが、槌の字は当て字だろう。
実際のツチノコは顎のエラこそ張っているものの、
いわゆるハンマー状の姿ではない。
なにより、ツチとは古語において
ヘビ、あるいは龍を意味する言葉である。
単にチだけでもヘビや龍を指すこともある。
オロチのチだ。
なお、ミも干支でヘビがミと呼ばれている
ことから分かるように、ヘビや龍の性質を持つ。
チもミも神霊のことを指す言葉であり、
ヘビの神性と龍神のイメージが
繋がっていることがわかる。
神話に登場するツチやツミで終わる名を持つ神々は
龍神の特性を備えていると見て良いだろう。
ツチノコの名の由来を考える上で外せないのは
山の神であるオオヤマツミだ。
その子はアメノサヅチ、クニノサヅチという。
神々だけではない、妖怪にもノヅチというものがいる。
ヘビに似ているが胴が太く、目鼻が無いという妖怪だ。
野槌と書かれ、槌、つまりハンマーに似た
姿だとされているが、こちらもやはり当て字だろう。
神として信仰されていたモノが忘れられ、
妖怪へと零落する例はかなり多い。
おそらくノヅチも山神だったのだろう。
目鼻が無いなどの特徴は、もしかしたら道教の
渾沌との関連があるためかもしれない。
なお、ノヅチノカミという神名があるが、
その母はカヤノヒメであるとされる。
カヤノヒメは前述のオオヤマツミの妻である。
前置きが長くなったが、縄文期にはまだ
ツチノコが多数生息していたことは、
ツチノコ紋の縄文式土器があることからも明らかだ。
特に珍しい形態のこのヘビに古代人が神性を
見出さぬわけはない。
その信仰が前述のノヅチへと繋がったのだろう。
ではいつ頃からツチノコは数を減らしてしまったのか。
鎌倉期の仏教説話、沙石集には言葉だけで
行動に移さぬ者が目も手足も無く口だけがある
ノヅチになってしまうという話が書かれている。
つまり、この頃にはまだ、あの生き物のことか、
と思い起こせる程度には見かけられていたのだ。
江戸期の博物学書である和漢三才図絵には
木の穴に住み人を噛むと書かれている。
だが、槌の形をしているとあるため、
実物を目にする機会は少なかったのだろう。
同じく江戸期の妖怪画集、今昔画図続百鬼や
黄表紙本、妖怪仕内評判記には、
毛むくじゃらであったり、人型であったり、
明らかに化け物として記されている。
実態と乖離していることがわかる。
迷信を排除しようという強い動きのあった
明治期には多くの妖怪の存在が否定された。
しかし、ツチノコの目撃証言は後を絶たず、
少ないながらも存在していたことがうかがえる。
特に、大戦期には軍の研究所で飼育され、
研究が行われていた記録がある。
どうやらマムシに近い種で
あったことが分かったようだ。
だが、戦後しばらくは食糧難で山に入ることも
多かったはずにも関わらず、
目撃談がほとんど無い。
現代に入ってからにわかに目撃例が出てくるものの、
外来の見慣れぬヘビが野生化したものを
見間違えたケースが非常に多い。
こうして見てみると、大きく数を減らしたのは
戦国期であり、決定的に絶滅に向かい始めたのが
大戦期であるという推測ができる。
果たして現在もツチノコは絶滅せずに
命脈を保っているのだろうか。
なお、目撃談の多い地方では、
発見者に懸賞金を与えるとしている
自治体がいくつかある。
ツチノコハンターと呼ばれるツチノコを探すことに
執念を燃やす人々もいるが、彼らが生きた
ツチノコを目にする日が来ることを祈ろう。
知らないうちに絶滅していたのでは
あまりにも悲しい。
2019年6月25日火曜日
キクラデス諸島
ギリシア領の島々である。
南エーゲと呼ばれる領域のうち、
イオニア側がキクラデス諸島、
アナトリア側がドデカネス諸島だ。
キクラデスとは囲んでいるという意味で、
神聖なるデロス島を取り巻くように
多くの島々が存在することに因む。
二百を超える大小の島からなる諸島であるが、
これだけの数の島がありながら、
火山島はミロス島とサントリーニ島のみだ。
地質学者は、これらの島々が元はひとつの
大きな島であったことを証明している。
ただし、それは人の歴史が紡がれる以前の話で、
地中海の変貌の中で変化していった。
だが、この諸島は、一夜にして海底へと沈んだ
アトランティス大陸の伝説の元になっている。
クレタ島でミノア文明が栄えていた頃に起きた
サントリーニ島の大噴火が人々の心に
与えた影響が大きいのだろう。
この噴火は降灰や津波によって
ミノア文明を滅亡へと導いたと言われている。
火山の噴火がひとつの文明を滅ぼしたのだ。
プラトンはアトランティスは大西洋にあったと
書いているが、クレタ島のミノア文明こそが
アトランティスであると考える学者もいる。
さて、サントリーニ島への恐怖は古代人だけの
ものではない。中世の人々にも噴火の記憶は
語り継がれ、不死の魔物の住まう火山島として
恐怖と共に知られていた。
しかし、そうした恐れも次第に薄れ、
十字軍によってギリシア周辺地域に
西ヨーロッパ諸国の影響力が及ぶと、
ヴェネツィア人によって入植が行われた。
噴火によって形作られたカルデラ湾は
東地中海交易の中継点として有益だったのだ。
帆船の時代が終わると、その優位性は失われたが、
エーゲ海リゾートの中心地として
観光業が栄えることになる。
サントリーニ島が恐怖の島であったのに対し、
デロス島は神聖な島として崇められていた。
ギリシア神話の太陽神と月女神が誕生した
場所だとされており、神殿が築かれている。
ミノア文明より古くに栄えたキクラデス文明の
中心地であり、神殿への巡礼者を相手にした
商売が盛んになったことから、
商港としても発展していた。
キクラデス文明の特徴である人面像は、
目や口が省略され、鼻だけが彫られた
特徴的なもので、見た者に強い印象を与える。
まるでモダニズム芸術のような佇まいは、
多くの現代アーティストに
霊感を与えたことだろう。
文明が断絶しているせいで用途不明の
キクラデスのフライパンと呼ばれる
造形物も、想像力を掻き立ててくれる。
なお、キクラデス文明の遺物は
高値で取引されたため、盗掘品や
贋作が出回っているので注意されたし。
南エーゲと呼ばれる領域のうち、
イオニア側がキクラデス諸島、
アナトリア側がドデカネス諸島だ。
キクラデスとは囲んでいるという意味で、
神聖なるデロス島を取り巻くように
多くの島々が存在することに因む。
二百を超える大小の島からなる諸島であるが、
これだけの数の島がありながら、
火山島はミロス島とサントリーニ島のみだ。
地質学者は、これらの島々が元はひとつの
大きな島であったことを証明している。
ただし、それは人の歴史が紡がれる以前の話で、
地中海の変貌の中で変化していった。
だが、この諸島は、一夜にして海底へと沈んだ
アトランティス大陸の伝説の元になっている。
クレタ島でミノア文明が栄えていた頃に起きた
サントリーニ島の大噴火が人々の心に
与えた影響が大きいのだろう。
この噴火は降灰や津波によって
ミノア文明を滅亡へと導いたと言われている。
火山の噴火がひとつの文明を滅ぼしたのだ。
プラトンはアトランティスは大西洋にあったと
書いているが、クレタ島のミノア文明こそが
アトランティスであると考える学者もいる。
さて、サントリーニ島への恐怖は古代人だけの
ものではない。中世の人々にも噴火の記憶は
語り継がれ、不死の魔物の住まう火山島として
恐怖と共に知られていた。
しかし、そうした恐れも次第に薄れ、
十字軍によってギリシア周辺地域に
西ヨーロッパ諸国の影響力が及ぶと、
ヴェネツィア人によって入植が行われた。
噴火によって形作られたカルデラ湾は
東地中海交易の中継点として有益だったのだ。
帆船の時代が終わると、その優位性は失われたが、
エーゲ海リゾートの中心地として
観光業が栄えることになる。
サントリーニ島が恐怖の島であったのに対し、
デロス島は神聖な島として崇められていた。
ギリシア神話の太陽神と月女神が誕生した
場所だとされており、神殿が築かれている。
ミノア文明より古くに栄えたキクラデス文明の
中心地であり、神殿への巡礼者を相手にした
商売が盛んになったことから、
商港としても発展していた。
キクラデス文明の特徴である人面像は、
目や口が省略され、鼻だけが彫られた
特徴的なもので、見た者に強い印象を与える。
まるでモダニズム芸術のような佇まいは、
多くの現代アーティストに
霊感を与えたことだろう。
文明が断絶しているせいで用途不明の
キクラデスのフライパンと呼ばれる
造形物も、想像力を掻き立ててくれる。
なお、キクラデス文明の遺物は
高値で取引されたため、盗掘品や
贋作が出回っているので注意されたし。
2019年6月24日月曜日
タマリンド
樹高の非常に高くなる豆である。
軽くて丈夫な木材としても利用され、
木目も美しく、楽器や家具の
素材として人気がある。
だが、やはりタマリンドといえば
豆、正確には豆の周囲の
果肉の利用が第一であろう。
さやに包まれた黒い豆は食用には向かないが、
これを加工することでタマリンドガムと
呼ばれる物質を作り出すことができる。
タマリンドガムは増粘安定剤という、
様々な製品に粘り気を加える用途で使われる。
シチューやカレーのとろみに始まり、
ジェル状石鹸など、実に様々な品物に
タマリンドガムが使われている。
さて、赤みがかった茶色い果肉は、
主に食品として扱われるが、
染料として使われる場合もある。
味は酸みが強く、甘みもある。
甘めの梅干しをイメージすれば
近いかもしれない。
元々アフリカ原産の植物であったが、
各地に移植され、インドやタイでも
ごく身近な植物である。
当然、それぞれの地域で様々な調理法があり、
インド洋周辺と東南アジアでは
とてもメジャーな存在だ。
アメリカ大陸にも持ち込まれており、
いわゆるラテンアメリカで
広く用いられている。
本邦では知名度が低いが、
世界的に見ればなかなかの存在感である。
酸み調味料としての使い方が最も多いものの、
品種改良によって甘みを強くしたものは
生食が可能で、ジュースに加工されたりもする。
なお、タマリンドの名はアラビア語である。
タマルとはナツメヤシを意味する言葉で、
ヒンディ、つまりインドのタマルとなる。
酸みが強いものの、確かに食感などは
ナツメヤシに似ており、インド商人が
サラセン商人との貿易に使っていた。
インドではイムリーと呼ばれており、
チャツネという調味料の重要な材料だ。
タイのトムソム、ベトナムのカインチュア、
フィリピンのシニガンなどにも
タマリンドは欠かせない。
栄養も豊富で、いくつかの薬効もあるが、
落花生アレルギーを持っている場合は
食べることができない。
実はタマリンドはピーナッツの仲間で、
同じアレルギーの原因物質を持つ。
また、本邦では生の果実は輸入されていない。
検疫を通過することができないためだ。
よって、タマリンドブロックと呼ばれる
果肉を集めて固めたものが売買されている。
インドやタイなどの輸入食品を扱う店で
購入可能なため、試してみるのもいいだろう。
ただし、酸みの強い品種のものと
甘みの強い品種のものが存在するため、
用途に合わせて使い分ける必要がある。
どちらであるか、しっかりと確認するように。
軽くて丈夫な木材としても利用され、
木目も美しく、楽器や家具の
素材として人気がある。
だが、やはりタマリンドといえば
豆、正確には豆の周囲の
果肉の利用が第一であろう。
さやに包まれた黒い豆は食用には向かないが、
これを加工することでタマリンドガムと
呼ばれる物質を作り出すことができる。
タマリンドガムは増粘安定剤という、
様々な製品に粘り気を加える用途で使われる。
シチューやカレーのとろみに始まり、
ジェル状石鹸など、実に様々な品物に
タマリンドガムが使われている。
さて、赤みがかった茶色い果肉は、
主に食品として扱われるが、
染料として使われる場合もある。
味は酸みが強く、甘みもある。
甘めの梅干しをイメージすれば
近いかもしれない。
元々アフリカ原産の植物であったが、
各地に移植され、インドやタイでも
ごく身近な植物である。
当然、それぞれの地域で様々な調理法があり、
インド洋周辺と東南アジアでは
とてもメジャーな存在だ。
アメリカ大陸にも持ち込まれており、
いわゆるラテンアメリカで
広く用いられている。
本邦では知名度が低いが、
世界的に見ればなかなかの存在感である。
酸み調味料としての使い方が最も多いものの、
品種改良によって甘みを強くしたものは
生食が可能で、ジュースに加工されたりもする。
なお、タマリンドの名はアラビア語である。
タマルとはナツメヤシを意味する言葉で、
ヒンディ、つまりインドのタマルとなる。
酸みが強いものの、確かに食感などは
ナツメヤシに似ており、インド商人が
サラセン商人との貿易に使っていた。
インドではイムリーと呼ばれており、
チャツネという調味料の重要な材料だ。
タイのトムソム、ベトナムのカインチュア、
フィリピンのシニガンなどにも
タマリンドは欠かせない。
栄養も豊富で、いくつかの薬効もあるが、
落花生アレルギーを持っている場合は
食べることができない。
実はタマリンドはピーナッツの仲間で、
同じアレルギーの原因物質を持つ。
また、本邦では生の果実は輸入されていない。
検疫を通過することができないためだ。
よって、タマリンドブロックと呼ばれる
果肉を集めて固めたものが売買されている。
インドやタイなどの輸入食品を扱う店で
購入可能なため、試してみるのもいいだろう。
ただし、酸みの強い品種のものと
甘みの強い品種のものが存在するため、
用途に合わせて使い分ける必要がある。
どちらであるか、しっかりと確認するように。
2019年6月22日土曜日
スローロリス
まん丸で大きな目を持つ
小さな猿ロリスの一種である。
可愛らしいと評判で、人気のペットとして
乱獲されたため絶滅が危惧されている。
だが、実は猿の仲間で唯一、毒を持つ。
この毒猿、肘の辺りから体液を分泌させることが
できるのだが、この体液に少し毒性がある。
強い毒ではないのだが、スローロリスの唾液と
混ざると、たちまち猛毒と化す。
彼らは自分たちの赤子の体にこの猛毒を
塗り付け、天敵に食われないようにするのだ。
ただし、この毒、口から摂取した場合は
ほとんど毒性を発揮しない。
普通に消化できてしまう。
傷口から直接体内に入った場合に限り、
猛毒となるのだ。
スローロリスに噛まれたり、引っ掛かれたり
した場合、その傷口から毒が入れば
人間のような大型の動物でも死に至る。
故に、多くの肉食動物はスローロリスを
狙う危険を冒さない。
大型のヘビなどは気にせず丸飲みにしてしまうが。
さて、スローロリスは名前の通り、
非常に鈍い動きをする動物だ。
昔はナマケモノの仲間だと思われていたほどだ。
ナマケモノのように身体の代謝を少なくし、
省エネルギー化もしてはいるのだが、
彼らがゆっくり動くのには別の理由がある。
スローロリスは樹上からほとんど下りない
生き物なのだが、彼らが歩く時、
枝が揺れることはない。
また、巧みに避けるため、体が葉に当たり、
揺らしたり音を立てたりすることもない。
ゆっくりと、しかし確実に、無音で近寄る捕食者。
臆病な小鳥や敏感な昆虫ですら、
スローロリスの接近には気付けない。
そう、彼らが鈍いのは、獲物に気付かれない
ようにするためなのだ。
その一方で、彼らの可愛らしい顔は、
自然界においては
非常に目立つデザインになっている。
視覚に頼り獲物、あるいは敵を識別する動物は、
スローロリスを容易に判別できる。
猛毒を持つ生き物特有の警戒色と同等の
効果があると考えられている。
また、嗅覚に頼り周囲を識別している動物は、
スローロリスの持つ毒の刺激臭に
敏感に反応するだろう。
目立つ要素と気配を消す要素を
同時に併せ持っているのがスローロリスだ。
音や振動によって敵の接近を察知する
小鳥や昆虫にとっては姿の見えない暗殺者、
目や鼻の発達した動物にとっては
厄介な食えない奴なのである。
小さな猿ロリスの一種である。
可愛らしいと評判で、人気のペットとして
乱獲されたため絶滅が危惧されている。
だが、実は猿の仲間で唯一、毒を持つ。
この毒猿、肘の辺りから体液を分泌させることが
できるのだが、この体液に少し毒性がある。
強い毒ではないのだが、スローロリスの唾液と
混ざると、たちまち猛毒と化す。
彼らは自分たちの赤子の体にこの猛毒を
塗り付け、天敵に食われないようにするのだ。
ただし、この毒、口から摂取した場合は
ほとんど毒性を発揮しない。
普通に消化できてしまう。
傷口から直接体内に入った場合に限り、
猛毒となるのだ。
スローロリスに噛まれたり、引っ掛かれたり
した場合、その傷口から毒が入れば
人間のような大型の動物でも死に至る。
故に、多くの肉食動物はスローロリスを
狙う危険を冒さない。
大型のヘビなどは気にせず丸飲みにしてしまうが。
さて、スローロリスは名前の通り、
非常に鈍い動きをする動物だ。
昔はナマケモノの仲間だと思われていたほどだ。
ナマケモノのように身体の代謝を少なくし、
省エネルギー化もしてはいるのだが、
彼らがゆっくり動くのには別の理由がある。
スローロリスは樹上からほとんど下りない
生き物なのだが、彼らが歩く時、
枝が揺れることはない。
また、巧みに避けるため、体が葉に当たり、
揺らしたり音を立てたりすることもない。
ゆっくりと、しかし確実に、無音で近寄る捕食者。
臆病な小鳥や敏感な昆虫ですら、
スローロリスの接近には気付けない。
そう、彼らが鈍いのは、獲物に気付かれない
ようにするためなのだ。
その一方で、彼らの可愛らしい顔は、
自然界においては
非常に目立つデザインになっている。
視覚に頼り獲物、あるいは敵を識別する動物は、
スローロリスを容易に判別できる。
猛毒を持つ生き物特有の警戒色と同等の
効果があると考えられている。
また、嗅覚に頼り周囲を識別している動物は、
スローロリスの持つ毒の刺激臭に
敏感に反応するだろう。
目立つ要素と気配を消す要素を
同時に併せ持っているのがスローロリスだ。
音や振動によって敵の接近を察知する
小鳥や昆虫にとっては姿の見えない暗殺者、
目や鼻の発達した動物にとっては
厄介な食えない奴なのである。
2019年6月21日金曜日
クランベリー
北アメリカ原産の湿地を好むコケモモである。
いわゆるベリーの一種であり、
低木に赤い小さな果実が成るものだ。
果実は酸みが強く、そのまま食べるのには向かないが、
甘みを加えてジュースやジャムを作ったり、
酸みを活かした調理用ソースに加工される。
アメリカの感謝祭でクランベリーソースは
欠かせない食材とされているが、
これは初期の移住者が原住民からクランベリーを
教えてもらい飢えを凌いだことに由来するという。
酸みの効いたクランベリーソースのかけられた
七面鳥料理はぜひとも味わっておきたい
アメリカ東海岸の郷土料理だ。
さて、このクランベリー、栽培されるに当たって、
非常に独特な農法が用いられる。
クランベリー畑作りはまず、
土を掘るところから始められる。
箱型に土を掘り、垂直の土手を作り、
地面を平らに均す。
クランベリーは湿地帯の植物のため、
この土は湿り気を帯びてなければならない。
果実が成ると、箱型の畑には水が張られることになる。
低木であるクランベリーが完全に
沈むほどの水が張られる。
その状態で木々を揺することで、
クランベリーの果実は水面に浮いてくるため、
その浮かんだ果実を一気に収穫するのだ。
クランベリーの木は霜に弱い。
このため、収穫の際に張った水は
春までそのままにされる。
寒い冬でも水中温であれば、
クランベリーの木がやられることはないのだ。
湿地帯の植物ならではの農法である。
ちなみに、クランベリーのクランは鶴のクレインだ。
鶴の頭部のような花が咲くからとも、
果実を鶴が好むからとも言われている。
本邦ではさほど馴染みのない漿果であるが、
クランベリージュースであれば
口にする機会はそこそこあると思われる。
特に、カクテルでの使用例が多く、
ウォッカと合わせたコスモポリタンは有名だ。
しかし、コスモポリタンはともかく、
他のクランベリージュースを使ったカクテルは、
いずれもビーチのバカンスを思わせる名前だ。
寒冷湿地のクランベリーが、
享楽的でトロピカルな飲み物になることに
なんだか面白みを感じてしまう。
いわゆるベリーの一種であり、
低木に赤い小さな果実が成るものだ。
果実は酸みが強く、そのまま食べるのには向かないが、
甘みを加えてジュースやジャムを作ったり、
酸みを活かした調理用ソースに加工される。
アメリカの感謝祭でクランベリーソースは
欠かせない食材とされているが、
これは初期の移住者が原住民からクランベリーを
教えてもらい飢えを凌いだことに由来するという。
酸みの効いたクランベリーソースのかけられた
七面鳥料理はぜひとも味わっておきたい
アメリカ東海岸の郷土料理だ。
さて、このクランベリー、栽培されるに当たって、
非常に独特な農法が用いられる。
クランベリー畑作りはまず、
土を掘るところから始められる。
箱型に土を掘り、垂直の土手を作り、
地面を平らに均す。
クランベリーは湿地帯の植物のため、
この土は湿り気を帯びてなければならない。
果実が成ると、箱型の畑には水が張られることになる。
低木であるクランベリーが完全に
沈むほどの水が張られる。
その状態で木々を揺することで、
クランベリーの果実は水面に浮いてくるため、
その浮かんだ果実を一気に収穫するのだ。
クランベリーの木は霜に弱い。
このため、収穫の際に張った水は
春までそのままにされる。
寒い冬でも水中温であれば、
クランベリーの木がやられることはないのだ。
湿地帯の植物ならではの農法である。
ちなみに、クランベリーのクランは鶴のクレインだ。
鶴の頭部のような花が咲くからとも、
果実を鶴が好むからとも言われている。
本邦ではさほど馴染みのない漿果であるが、
クランベリージュースであれば
口にする機会はそこそこあると思われる。
特に、カクテルでの使用例が多く、
ウォッカと合わせたコスモポリタンは有名だ。
しかし、コスモポリタンはともかく、
他のクランベリージュースを使ったカクテルは、
いずれもビーチのバカンスを思わせる名前だ。
寒冷湿地のクランベリーが、
享楽的でトロピカルな飲み物になることに
なんだか面白みを感じてしまう。
2019年6月20日木曜日
フルクトース
果糖と呼ばれるものである。
文字通り、果物に多く含まれる糖だ。
蜂蜜の主成分もこれである。
糖には単糖と多糖があり、
主な単糖はブドウ糖と呼ばれるグルコースと
果糖と呼ばれるフルクトースである。
多糖の代表としては、二糖と呼ばれるもののうち、
グルコースとフルクトースで構成される
蔗糖と呼ばれるスクロースがある。
スクロース、蔗糖とはいわゆる砂糖のことだ。
つまり、砂糖はブドウ糖と果糖でできている。
果糖はブドウ糖の異性体で、
構成要素は同じだが、構造が異なるものだ。
ブドウ糖より果糖の方がずっと甘みが強い。
ブドウ糖は我々哺乳類にとってのエネルギー源であり、
食物は消化分解され多くがブドウ糖となる。
エネルギー源ではあるのだが、実はそのままでは
生き物の体にとって毒とも言えるものである。
ゆえに、肝臓は頑張ってブドウ糖を分解する。
糖を摂りすぎると体に悪いというのは
肝臓への負担が主な理由だ。
果糖はブドウ糖と比べて体にとっての毒性が強い。
したがって、肝臓はブドウ糖より先に
果糖の分解を頑張る。
当然、肝臓への負担はブドウ糖より果糖が大きい。
繰り返しになるが、念のためもう一度書くと、
砂糖はブドウ糖と果糖の混合物である。
果糖はブドウ糖の異性体である。
これも大切なことなのでもう一度書いておく。
さて、世間では異性化糖というものに対して、
健康に悪いということで
風当たりが強くなっているのを感じる。
ここで言う異性化糖とは、
ブドウ糖が数多く連なった物質デンプンを、
ブドウ糖へとばらしてから異性化させ
果糖としたものを更にブドウ糖と混ぜたものだ。
食品の成分表にブドウ糖果糖液糖と
書かれているあれだ。
この、デンプンをブドウ糖果糖液糖に変える工程に、
体への悪影響が増える要素は無い。
前述のとおり、糖というやつがそもそも、
エネルギー源でありながら
肝臓に負荷をかける物質だ。
必要不可欠ではあるが、量が多ければ健康に悪い。
過剰摂取は毒ということだ。
ここまでの話で、砂糖とブドウ糖果糖液糖に
大した差がないことは理解できたと思う。
だが、異性化糖は健康志向の人々から
蛇蝎のごとく嫌われている。
実は、ここにある誤解が存在する。
無知ゆえか、あるいは意図した曲解かは
分からないが、異性化糖を悪と見做す人々がいる。
ブドウ糖果糖液糖の材料となるデンプンは、
本邦ではサツマイモかトウモロコシが主である。
サツマイモの自給率は高く、
ありていに言ってしまえば余っている。
その余ったサツマイモのデンプンから
異性化糖が作られる。
一方、アメリカなどから安価なトウモロコシが
輸入されており、これを用いれば
より安くブドウ糖果糖液糖が作れる。
さて、アメリカでは遺伝子組み換え作物が
本邦より多く利用されている。
輸入トウモロコシもおそらくその手のものだろう。
前述の異性化糖を悪と見做す人々は
遺伝子組み換えに極度の拒否感を抱く。
もうわかっただろうか、彼らは短絡的に、
異性化糖と遺伝子組み換えトウモロコシを
イコールで結びつけているのだ。
遺伝子組み換えが気持ち悪いという感覚は分かる。
糖類の過剰摂取が体に悪いのは自明だ。
だが、このふたつは別物である。
遺伝子組み換えの是非についてはここでは論じない。
問題は、我々現代人が
糖類を摂りすぎだということだ。
それを、異性化糖だから体に悪いと
誤って喧伝してしまっている人々がいる。
得てして彼らは天然蜂蜜なら大丈夫などと宣う。
どちらもフルクトースに違いないのにである。
結局、よくわかりもしないのに、
なんとなく、誰かが言っていたからと、
人に踊らされて嫌悪しているに過ぎない。
何度も繰り返しとなるが、糖とは必要不可欠であり、
なおかつ量が多いと毒になる物質である。
そして、現代人は確実に過剰摂取している。
ブドウ糖果糖液糖は怖いから、
純粋な砂糖や蜂蜜を使っています、
などと言うことのナンセンスさを
理解していただけただろうか。
今回はやけに教条的になってしまったが、
当ブログはただの娯楽読み物である。
啓蒙などする気はさらさら無いので
適当に読み流してほしい。
文字通り、果物に多く含まれる糖だ。
蜂蜜の主成分もこれである。
糖には単糖と多糖があり、
主な単糖はブドウ糖と呼ばれるグルコースと
果糖と呼ばれるフルクトースである。
多糖の代表としては、二糖と呼ばれるもののうち、
グルコースとフルクトースで構成される
蔗糖と呼ばれるスクロースがある。
スクロース、蔗糖とはいわゆる砂糖のことだ。
つまり、砂糖はブドウ糖と果糖でできている。
果糖はブドウ糖の異性体で、
構成要素は同じだが、構造が異なるものだ。
ブドウ糖より果糖の方がずっと甘みが強い。
ブドウ糖は我々哺乳類にとってのエネルギー源であり、
食物は消化分解され多くがブドウ糖となる。
エネルギー源ではあるのだが、実はそのままでは
生き物の体にとって毒とも言えるものである。
ゆえに、肝臓は頑張ってブドウ糖を分解する。
糖を摂りすぎると体に悪いというのは
肝臓への負担が主な理由だ。
果糖はブドウ糖と比べて体にとっての毒性が強い。
したがって、肝臓はブドウ糖より先に
果糖の分解を頑張る。
当然、肝臓への負担はブドウ糖より果糖が大きい。
繰り返しになるが、念のためもう一度書くと、
砂糖はブドウ糖と果糖の混合物である。
果糖はブドウ糖の異性体である。
これも大切なことなのでもう一度書いておく。
さて、世間では異性化糖というものに対して、
健康に悪いということで
風当たりが強くなっているのを感じる。
ここで言う異性化糖とは、
ブドウ糖が数多く連なった物質デンプンを、
ブドウ糖へとばらしてから異性化させ
果糖としたものを更にブドウ糖と混ぜたものだ。
食品の成分表にブドウ糖果糖液糖と
書かれているあれだ。
この、デンプンをブドウ糖果糖液糖に変える工程に、
体への悪影響が増える要素は無い。
前述のとおり、糖というやつがそもそも、
エネルギー源でありながら
肝臓に負荷をかける物質だ。
必要不可欠ではあるが、量が多ければ健康に悪い。
過剰摂取は毒ということだ。
ここまでの話で、砂糖とブドウ糖果糖液糖に
大した差がないことは理解できたと思う。
だが、異性化糖は健康志向の人々から
蛇蝎のごとく嫌われている。
実は、ここにある誤解が存在する。
無知ゆえか、あるいは意図した曲解かは
分からないが、異性化糖を悪と見做す人々がいる。
ブドウ糖果糖液糖の材料となるデンプンは、
本邦ではサツマイモかトウモロコシが主である。
サツマイモの自給率は高く、
ありていに言ってしまえば余っている。
その余ったサツマイモのデンプンから
異性化糖が作られる。
一方、アメリカなどから安価なトウモロコシが
輸入されており、これを用いれば
より安くブドウ糖果糖液糖が作れる。
さて、アメリカでは遺伝子組み換え作物が
本邦より多く利用されている。
輸入トウモロコシもおそらくその手のものだろう。
前述の異性化糖を悪と見做す人々は
遺伝子組み換えに極度の拒否感を抱く。
もうわかっただろうか、彼らは短絡的に、
異性化糖と遺伝子組み換えトウモロコシを
イコールで結びつけているのだ。
遺伝子組み換えが気持ち悪いという感覚は分かる。
糖類の過剰摂取が体に悪いのは自明だ。
だが、このふたつは別物である。
遺伝子組み換えの是非についてはここでは論じない。
問題は、我々現代人が
糖類を摂りすぎだということだ。
それを、異性化糖だから体に悪いと
誤って喧伝してしまっている人々がいる。
得てして彼らは天然蜂蜜なら大丈夫などと宣う。
どちらもフルクトースに違いないのにである。
結局、よくわかりもしないのに、
なんとなく、誰かが言っていたからと、
人に踊らされて嫌悪しているに過ぎない。
何度も繰り返しとなるが、糖とは必要不可欠であり、
なおかつ量が多いと毒になる物質である。
そして、現代人は確実に過剰摂取している。
ブドウ糖果糖液糖は怖いから、
純粋な砂糖や蜂蜜を使っています、
などと言うことのナンセンスさを
理解していただけただろうか。
今回はやけに教条的になってしまったが、
当ブログはただの娯楽読み物である。
啓蒙などする気はさらさら無いので
適当に読み流してほしい。
2019年6月19日水曜日
トレハロース
砂糖の代用品として使われる甘い物質である。
自然界においては、昆虫のエネルギー源として、
いわゆるブドウ糖と呼ばれるグルコースの代わりに
体内に蓄積されていることが多い。
単純に言えば、我々人が利用しているのが
グルコースであり、昆虫などが
利用しているのがトレハロースである。
糖であるため当然甘い。
いわゆる砂糖はスクロースと呼ばれるのだが、
トレハロースの甘さはその半分以下だ。
甘みを求め続けてきた我々人類にとって、
砂糖の半分以下の甘さという点は、
あまり興味を引く対象ではない。
ただ、保水力が極めて高いという
化学的性質が注目された。
トレハロースが発見されてからは、
化粧品など、保水力を求める製品の
材料として活用されてきた。
しかし、当初はトレハロースを作り出すのは難しく、
高価で貴重な物質であった。
当然、これを使った化粧品は高級なものだった。
だが、本邦のある企業が、安価なデンプンから
トレハロースを大量生産する技術を生み出した。
廉価であるということは価値である。
トレハロースの利用は一気に広がった。
保水力を活かす製品にトレハロースが
こぞって使われたことは言うまでもない。
甘味料としては、臭みを消す力を持つことが
注目されることになる。
レトルト食品のような保存食は、
使われる保存料独特の匂いを持つことになるのだが、
トレハロースを使うとこれが抑えられる。
また、炭水化物、蛋白質、脂質の劣化を抑える
働きまで持っている。
つまり、砂糖の代わりにトレハロースを使うことで、
食品の寿命を延ばすことができるのだ。
ゆえに、安価となったトレハロースの利用は
爆発的に広がった。
我々が知らないだけで、我々が口にする
加工食品のほとんどに、おそらく
トレハロースが使われている。
こう聞くと、安全性を不安視する向きもあると思う。
だが、トレハロースは体内でグルコース、
つまりブドウ糖に変換され、
スクロース、砂糖を摂取した場合と
ほぼ変わらぬ消化が行われる。
我々が口にするキノコの類もトレハロースを
含有しており、例えばシイタケが干しても水で
戻せるのはトレハロースの保水力によるところが大きい。
身体に害があると信じられている合成甘味料の類だと
トレハロースのことを誤解している者も
少なくないのではないかと思う。
だが、安心してほしい。
トレハロースはそういう怪しげなものではない。
もっとも、トレハロースは砂糖と変わらない。
健康に関して、トレハロースなら大丈夫などという
誤った考えを持っているのなら改めるべきだと思う。
現代人は糖質を摂りすぎなのだ。
自然界においては、昆虫のエネルギー源として、
いわゆるブドウ糖と呼ばれるグルコースの代わりに
体内に蓄積されていることが多い。
単純に言えば、我々人が利用しているのが
グルコースであり、昆虫などが
利用しているのがトレハロースである。
糖であるため当然甘い。
いわゆる砂糖はスクロースと呼ばれるのだが、
トレハロースの甘さはその半分以下だ。
甘みを求め続けてきた我々人類にとって、
砂糖の半分以下の甘さという点は、
あまり興味を引く対象ではない。
ただ、保水力が極めて高いという
化学的性質が注目された。
トレハロースが発見されてからは、
化粧品など、保水力を求める製品の
材料として活用されてきた。
しかし、当初はトレハロースを作り出すのは難しく、
高価で貴重な物質であった。
当然、これを使った化粧品は高級なものだった。
だが、本邦のある企業が、安価なデンプンから
トレハロースを大量生産する技術を生み出した。
廉価であるということは価値である。
トレハロースの利用は一気に広がった。
保水力を活かす製品にトレハロースが
こぞって使われたことは言うまでもない。
甘味料としては、臭みを消す力を持つことが
注目されることになる。
レトルト食品のような保存食は、
使われる保存料独特の匂いを持つことになるのだが、
トレハロースを使うとこれが抑えられる。
また、炭水化物、蛋白質、脂質の劣化を抑える
働きまで持っている。
つまり、砂糖の代わりにトレハロースを使うことで、
食品の寿命を延ばすことができるのだ。
ゆえに、安価となったトレハロースの利用は
爆発的に広がった。
我々が知らないだけで、我々が口にする
加工食品のほとんどに、おそらく
トレハロースが使われている。
こう聞くと、安全性を不安視する向きもあると思う。
だが、トレハロースは体内でグルコース、
つまりブドウ糖に変換され、
スクロース、砂糖を摂取した場合と
ほぼ変わらぬ消化が行われる。
我々が口にするキノコの類もトレハロースを
含有しており、例えばシイタケが干しても水で
戻せるのはトレハロースの保水力によるところが大きい。
身体に害があると信じられている合成甘味料の類だと
トレハロースのことを誤解している者も
少なくないのではないかと思う。
だが、安心してほしい。
トレハロースはそういう怪しげなものではない。
もっとも、トレハロースは砂糖と変わらない。
健康に関して、トレハロースなら大丈夫などという
誤った考えを持っているのなら改めるべきだと思う。
現代人は糖質を摂りすぎなのだ。
2019年6月18日火曜日
余談7
スマートフォンが故障してしまった。
実際にスマートフォンが使えない状況を
体験したことで、現代人がいかに
スマートフォンに依存しているかを痛感した。
現在ではクラウドサービスやデータ連携があるため、
修理中の貸出機を速やかに元の状態に
限りなく近い状態にすることができたのは僥倖である。
仕事柄、ソーシャルゲームを多くプレイしているが、
中にはデータ連携の存在しないものもあった。
データ連携が存在せず、引き継ぎコードを
手動で発行しなければならないのだが、
故障ではお手上げである。
おそらく、同じ憂き目に遭う者は多いだろう。
つまり、サポートセンターには日々、
データ復旧を願うお問い合わせが行っているはずだ。
そう思ってお問い合わせフォームを開いてみると、
案の定と言うべきか、やけに詳細に
ゲームデータの情報を入力する項目が盛沢山だった。
有料コンテンツ購入の際のレシートメールの
スクリーンショットを添付する項目まで
存在したため、おそらく復旧は叶うだろう。
ただ、他のゲームで一件、データ復旧の操作を誤り、
復旧できない状態になってしまったものがある。
こちらもお問い合わせをしたのだが、
果たして自身の誤操作によるデータ喪失を
救済してくれるかどうかは確信が持てない。
少なくとも、復旧が可能かという問い合わせに対して、
なんらかのレスポンスがあるものと思われるが、
その際に前述のようなレシートメールを要求してくれれば
復旧の可能性は高いだろう。
だが、お客様ご自身の操作により云々と、
門前払いを食らってしまう可能性もゼロではない。
カスタマーサポートとしてはレベルが低いことだが、
無いとは言い切れないのが不安である。
なお、今回のスマートフォンの故障、
色々と試してみた結果、おそらくバッテリーに
問題が生じたものと思われる。
何気なく充電していたものが、
手に取ってみたところ異常な熱を持っていた。
そして、起動途中で再起動を
繰り返す状態になってしまった。
ショップのインターネット予約が翌日の分は
間に合わなかったため、朝から出向き、
空いている時間に予約を取り、一旦帰って
再度訪れ、対応を行ってもらった。
修理に一週間ほどかかるのだが、
データは初期化されてしまう。
推測に過ぎないことではあるが、
バッテリー交換で直る可能性が極めて高いにも
関わらず、データは初期化されてしまう。
この辺り、どうにかならないものだろうか。
ちなみに、町の修理屋でバッテリー交換をすると、
データそのままで直ることになるが、
改造を行ったことになり、
公式のサポートが受けられなくなってしまう。
費用もかかるため、痛し痒しである。
とりあえず、クラウドサービスとデータ連携、
バックアップをとることと、アカウント情報のメモ。
不測の事態に備えてこれらを怠らぬようにしたい。
実際にスマートフォンが使えない状況を
体験したことで、現代人がいかに
スマートフォンに依存しているかを痛感した。
現在ではクラウドサービスやデータ連携があるため、
修理中の貸出機を速やかに元の状態に
限りなく近い状態にすることができたのは僥倖である。
仕事柄、ソーシャルゲームを多くプレイしているが、
中にはデータ連携の存在しないものもあった。
データ連携が存在せず、引き継ぎコードを
手動で発行しなければならないのだが、
故障ではお手上げである。
おそらく、同じ憂き目に遭う者は多いだろう。
つまり、サポートセンターには日々、
データ復旧を願うお問い合わせが行っているはずだ。
そう思ってお問い合わせフォームを開いてみると、
案の定と言うべきか、やけに詳細に
ゲームデータの情報を入力する項目が盛沢山だった。
有料コンテンツ購入の際のレシートメールの
スクリーンショットを添付する項目まで
存在したため、おそらく復旧は叶うだろう。
ただ、他のゲームで一件、データ復旧の操作を誤り、
復旧できない状態になってしまったものがある。
こちらもお問い合わせをしたのだが、
果たして自身の誤操作によるデータ喪失を
救済してくれるかどうかは確信が持てない。
少なくとも、復旧が可能かという問い合わせに対して、
なんらかのレスポンスがあるものと思われるが、
その際に前述のようなレシートメールを要求してくれれば
復旧の可能性は高いだろう。
だが、お客様ご自身の操作により云々と、
門前払いを食らってしまう可能性もゼロではない。
カスタマーサポートとしてはレベルが低いことだが、
無いとは言い切れないのが不安である。
なお、今回のスマートフォンの故障、
色々と試してみた結果、おそらくバッテリーに
問題が生じたものと思われる。
何気なく充電していたものが、
手に取ってみたところ異常な熱を持っていた。
そして、起動途中で再起動を
繰り返す状態になってしまった。
ショップのインターネット予約が翌日の分は
間に合わなかったため、朝から出向き、
空いている時間に予約を取り、一旦帰って
再度訪れ、対応を行ってもらった。
修理に一週間ほどかかるのだが、
データは初期化されてしまう。
推測に過ぎないことではあるが、
バッテリー交換で直る可能性が極めて高いにも
関わらず、データは初期化されてしまう。
この辺り、どうにかならないものだろうか。
ちなみに、町の修理屋でバッテリー交換をすると、
データそのままで直ることになるが、
改造を行ったことになり、
公式のサポートが受けられなくなってしまう。
費用もかかるため、痛し痒しである。
とりあえず、クラウドサービスとデータ連携、
バックアップをとることと、アカウント情報のメモ。
不測の事態に備えてこれらを怠らぬようにしたい。
2019年6月16日日曜日
サッカリン
コールタールから生み出された
人工甘味料である。
その甘さは砂糖の数百倍であり、
糖類ではないためカロリーも無い。
甘党大歓喜の物質だが、
量が多いと特有の刺激的な後味、
そして苦みを感じてしまう。
また、水に溶けないことから、
飲料に使うこともできない。
このため、通常の糖類に少量混ぜて
甘さを増す使い方がされる。
なお、このサッカリン、動物実験において、
発癌性があるという結果が出された。
後に、この結果は誤りであったことが
わかるのだが、本邦では現在でも
食品衛生法によって使用が制限されている。
こうした制限のないアメリカ合衆国や
中華人民共和国では日常に
なくてはならない存在となっている。
通常の砂糖はサトウキビから作られるのだが、
サトウキビの生産量は膨大で、
我々人類が消費する砂糖の量は
時代と共に明らかに増加している。
需要が高く、それに応じて
供給量も増えてきた砂糖だが、
代用品を求める動きは昔からあった。
サッカリンに関しては、第一次世界大戦時の
砂糖不足の際にその存在感を示し、
世界中に普及した。
その後、健康志向の高まりによって
カロリーゼロを謳い文句に
更なる需要を喚起した。
そんな状況に水を差したのが
前述の発癌性問題であった。
結果的に発癌性は無かったものの、
我々人類の甘さへの欲望には、
そろそろ歯止めをかけた方が
いいのかもしれない。
人工甘味料である。
その甘さは砂糖の数百倍であり、
糖類ではないためカロリーも無い。
甘党大歓喜の物質だが、
量が多いと特有の刺激的な後味、
そして苦みを感じてしまう。
また、水に溶けないことから、
飲料に使うこともできない。
このため、通常の糖類に少量混ぜて
甘さを増す使い方がされる。
なお、このサッカリン、動物実験において、
発癌性があるという結果が出された。
後に、この結果は誤りであったことが
わかるのだが、本邦では現在でも
食品衛生法によって使用が制限されている。
こうした制限のないアメリカ合衆国や
中華人民共和国では日常に
なくてはならない存在となっている。
通常の砂糖はサトウキビから作られるのだが、
サトウキビの生産量は膨大で、
我々人類が消費する砂糖の量は
時代と共に明らかに増加している。
需要が高く、それに応じて
供給量も増えてきた砂糖だが、
代用品を求める動きは昔からあった。
サッカリンに関しては、第一次世界大戦時の
砂糖不足の際にその存在感を示し、
世界中に普及した。
その後、健康志向の高まりによって
カロリーゼロを謳い文句に
更なる需要を喚起した。
そんな状況に水を差したのが
前述の発癌性問題であった。
結果的に発癌性は無かったものの、
我々人類の甘さへの欲望には、
そろそろ歯止めをかけた方が
いいのかもしれない。
2019年6月15日土曜日
甘茶
タピオカミルクティーではない。
アジサイの仲間の植物で、
見た目もガクアジサイにそっくりである。
若葉は茶として利用されるのだが、
名前の通り甘い。
含まれる成分の甘さはサッカリンの倍だ。
ただ、含有量はそこまででもないので
優しい甘みと言ってよいだろう。
もちろん、濃く煮出せばそれだけ甘くなるが、
微量の毒性があるため、濃い甘茶を
大量に飲むと嘔吐してしまうことになる。
茶と異なりカフェインは含んでいないが、
多量の飲茶は控えるように。
なお、生薬として、アレルギーや
歯周病に効くとされており、
本邦の薬局方に記されている。
ただし、純粋な漢方ではなく、
本邦特有の薬だ。
ところで甘茶は仏教で重要な地位を占めており、
灌仏会という儀式において、
仏像にかける風習がある。
これは、シャカが誕生した際に、
八大竜王が祝いとして産湯に甘露を
注いだという伝説に因む。
この灌仏会で使われた甘茶には
虫除けの効能があると昔は信じられていた。
そのような成分は無いのだが、
一種のおまじないとして
病をもたらす虫の退散に使われたのだ。
さて、甘茶はよく甜茶と混同される。
甜茶は特定の植物を指す言葉ではなく、
茶以外の茶のように飲める甘い飲料とできる
植物の総称である。
つまり、甘茶も甜茶の指し示す範囲内の存在だ。
甘茶は甜茶だが、甜茶の中のひとつ
であることを覚えておくといいだろう。
追記
大事なことを書き忘れていた。
本邦のアジサイの変種である甘茶は
本邦原産の固有の植物である。
当然、仏像にかける風習も本邦独自のものだ。
アジサイの仲間の植物で、
見た目もガクアジサイにそっくりである。
若葉は茶として利用されるのだが、
名前の通り甘い。
含まれる成分の甘さはサッカリンの倍だ。
ただ、含有量はそこまででもないので
優しい甘みと言ってよいだろう。
もちろん、濃く煮出せばそれだけ甘くなるが、
微量の毒性があるため、濃い甘茶を
大量に飲むと嘔吐してしまうことになる。
茶と異なりカフェインは含んでいないが、
多量の飲茶は控えるように。
なお、生薬として、アレルギーや
歯周病に効くとされており、
本邦の薬局方に記されている。
ただし、純粋な漢方ではなく、
本邦特有の薬だ。
ところで甘茶は仏教で重要な地位を占めており、
灌仏会という儀式において、
仏像にかける風習がある。
これは、シャカが誕生した際に、
八大竜王が祝いとして産湯に甘露を
注いだという伝説に因む。
この灌仏会で使われた甘茶には
虫除けの効能があると昔は信じられていた。
そのような成分は無いのだが、
一種のおまじないとして
病をもたらす虫の退散に使われたのだ。
さて、甘茶はよく甜茶と混同される。
甜茶は特定の植物を指す言葉ではなく、
茶以外の茶のように飲める甘い飲料とできる
植物の総称である。
つまり、甘茶も甜茶の指し示す範囲内の存在だ。
甘茶は甜茶だが、甜茶の中のひとつ
であることを覚えておくといいだろう。
追記
大事なことを書き忘れていた。
本邦のアジサイの変種である甘茶は
本邦原産の固有の植物である。
当然、仏像にかける風習も本邦独自のものだ。
2019年6月14日金曜日
モモンガ
被膜により滑空飛行が可能な夜行性の
リスのような哺乳類である。
ムササビとは被膜の付き方、体の大きさが違うのだが、
昔の人々はこれを区別することがなかった。
というのも、真っ暗な夜の森で素早く飛び交う存在を
人間の目で見て判別することなどできず、
妖怪の類だと思われていたためだ。
妖怪としての呼称は野衾であるが、
モモンガもまた化け物という意味で使われる言葉だ。
悪いことをする子供に、モモンガァが来るぞと
脅していたのだろう。
人の視界を塞ぐヌリカベ型やヒダル型の
妖怪として知られるが、
年を経たものはより危険度が増す。
山地乳と書いてヤマチチと読む妖怪がそれで、
蝙蝠あるいは野衾が変化する。
夜、人の寝静まった頃に音もなく民家に入り込み、
眠っている人間の呼吸を吸い取る。
息を吸われた人間は寿命を奪われ、
ほどなくして死んでしまうという。
別の説ではもっとダイレクトに
生き血をすするとされる。
さて、そんな恐ろしい妖怪であったモモンガだが、
実際の食物は木の実や昆虫などで雑食である。
雑食故に人の出した生ごみなども食うため、
人里近くにもよく生息していた。
だが、人の生活は変化し、森や林は減少、
樹上から滅多に下りることのない
モモンガは生息可能な場所が減少していった。
なお、天敵はテンなどの肉食獣や
ヘビなどである。
これらの敵から逃れるために地上に
下りなくてもよい能力を獲得したわけだが、
もうひとつ重大な天敵が存在する。
フクロウだ。
非常に素早く飛ぶことのできるモモンガだが、
夜行性で無音のハンターと呼ばれる
フクロウには敵わない。
しゅっと格好良く木々を飛び回っている最中、
さっとフクロウにさらわれてしまうのだ。
日中の木の洞などで寝ている時も危険である。
ヘビなどもそうだが、人間に狩猟されてしまう。
上質で扱いやすい毛皮は人間に珍重されたのだが、
昔の人々はこの妙に皮の余ったネズミのような
生き物と、夜に怪しく飛び回る野衾が
同じ生き物だと知っていたのだろうか。
リスのような哺乳類である。
ムササビとは被膜の付き方、体の大きさが違うのだが、
昔の人々はこれを区別することがなかった。
というのも、真っ暗な夜の森で素早く飛び交う存在を
人間の目で見て判別することなどできず、
妖怪の類だと思われていたためだ。
妖怪としての呼称は野衾であるが、
モモンガもまた化け物という意味で使われる言葉だ。
悪いことをする子供に、モモンガァが来るぞと
脅していたのだろう。
人の視界を塞ぐヌリカベ型やヒダル型の
妖怪として知られるが、
年を経たものはより危険度が増す。
山地乳と書いてヤマチチと読む妖怪がそれで、
蝙蝠あるいは野衾が変化する。
夜、人の寝静まった頃に音もなく民家に入り込み、
眠っている人間の呼吸を吸い取る。
息を吸われた人間は寿命を奪われ、
ほどなくして死んでしまうという。
別の説ではもっとダイレクトに
生き血をすするとされる。
さて、そんな恐ろしい妖怪であったモモンガだが、
実際の食物は木の実や昆虫などで雑食である。
雑食故に人の出した生ごみなども食うため、
人里近くにもよく生息していた。
だが、人の生活は変化し、森や林は減少、
樹上から滅多に下りることのない
モモンガは生息可能な場所が減少していった。
なお、天敵はテンなどの肉食獣や
ヘビなどである。
これらの敵から逃れるために地上に
下りなくてもよい能力を獲得したわけだが、
もうひとつ重大な天敵が存在する。
フクロウだ。
非常に素早く飛ぶことのできるモモンガだが、
夜行性で無音のハンターと呼ばれる
フクロウには敵わない。
しゅっと格好良く木々を飛び回っている最中、
さっとフクロウにさらわれてしまうのだ。
日中の木の洞などで寝ている時も危険である。
ヘビなどもそうだが、人間に狩猟されてしまう。
上質で扱いやすい毛皮は人間に珍重されたのだが、
昔の人々はこの妙に皮の余ったネズミのような
生き物と、夜に怪しく飛び回る野衾が
同じ生き物だと知っていたのだろうか。
2019年6月13日木曜日
ムササビ
被膜により滑空飛行が可能な夜行性の
リスのような哺乳類である。
名前の由来は、宙を舞うために
非常に痩せていることから、
身細びと書いてむささびと読まれたことによる。
古語では身体を意味する身はムと読まれたのだ。
モモンガとは被膜の付き方、体の大きさが違うのだが、
昔の人々はこれを区別することがなかった。
というのも、電灯もない時代、山奥の森の中で
頭上を飛び交う存在を目視で見分けることなどできず、
得体のしれないものと認識されていたためだ。
野衾の名で呼ばれる際には明確に妖怪であり、
地方によっては大変恐れられた。
急に人の視界を塞ぎ、歩くことができなくなる
類の妖怪であり、ヌリカベ型、ヒダル型の
性質を持つと言える。
特にムササビやモモンガが由来と思われる野衾の場合、
飛んできて顔に張り付くことで視界を奪う。
野鉄砲という妖怪にいたっては、
狸型の妖怪が口から鉄砲のように野衾を飛ばし、
人の顔に張り付けてしまう。
なお、衾とはいわゆる布団の一種で、
これに突然覆われることで目の前が
真っ暗になるという意味合いの妖怪である。
他にも山地乳という妖怪も
野衾が長い年月を経て変化するものだと
考えられていた。
さて、そんな恐ろしい妖怪であったムササビだが、
日中は木の洞などで寝ている。
それを人間は捕え、食糧や毛皮として利用してきた。
縄文時代の遺跡からもムササビの骨が出てくる。
毛皮は上質で、寝ているところを狙えるため
捕獲が容易なこともあり、乱獲されていた。
このため、かなり古い時代ですらも、
資源枯渇を避けるためにムササビを
狩猟することを禁ずる令が出ているほどだ。
近代では物資の乏しかった大戦中、
上等なムササビの毛皮は非常に高価となる。
戦後は鳥獣保護法において、
狩猟が禁じられた。
ムササビの仲間は世界中に生息しており、
同じように滑空飛行ができる別種としては、
ウロコオリス、フクロモモンガ、
ヒヨケザルが存在する。
特にフクロモモンガはモモンガと
名付けられているが、
有袋類であることが興味深い。
ちなみに、開発によって森の減ってきている
本邦ではムササビの絶滅が危惧されている。
リスのような哺乳類である。
名前の由来は、宙を舞うために
非常に痩せていることから、
身細びと書いてむささびと読まれたことによる。
古語では身体を意味する身はムと読まれたのだ。
モモンガとは被膜の付き方、体の大きさが違うのだが、
昔の人々はこれを区別することがなかった。
というのも、電灯もない時代、山奥の森の中で
頭上を飛び交う存在を目視で見分けることなどできず、
得体のしれないものと認識されていたためだ。
野衾の名で呼ばれる際には明確に妖怪であり、
地方によっては大変恐れられた。
急に人の視界を塞ぎ、歩くことができなくなる
類の妖怪であり、ヌリカベ型、ヒダル型の
性質を持つと言える。
特にムササビやモモンガが由来と思われる野衾の場合、
飛んできて顔に張り付くことで視界を奪う。
野鉄砲という妖怪にいたっては、
狸型の妖怪が口から鉄砲のように野衾を飛ばし、
人の顔に張り付けてしまう。
なお、衾とはいわゆる布団の一種で、
これに突然覆われることで目の前が
真っ暗になるという意味合いの妖怪である。
他にも山地乳という妖怪も
野衾が長い年月を経て変化するものだと
考えられていた。
さて、そんな恐ろしい妖怪であったムササビだが、
日中は木の洞などで寝ている。
それを人間は捕え、食糧や毛皮として利用してきた。
縄文時代の遺跡からもムササビの骨が出てくる。
毛皮は上質で、寝ているところを狙えるため
捕獲が容易なこともあり、乱獲されていた。
このため、かなり古い時代ですらも、
資源枯渇を避けるためにムササビを
狩猟することを禁ずる令が出ているほどだ。
近代では物資の乏しかった大戦中、
上等なムササビの毛皮は非常に高価となる。
戦後は鳥獣保護法において、
狩猟が禁じられた。
ムササビの仲間は世界中に生息しており、
同じように滑空飛行ができる別種としては、
ウロコオリス、フクロモモンガ、
ヒヨケザルが存在する。
特にフクロモモンガはモモンガと
名付けられているが、
有袋類であることが興味深い。
ちなみに、開発によって森の減ってきている
本邦ではムササビの絶滅が危惧されている。
2019年6月12日水曜日
オレタチ
カラタチという植物がある。
ミカンの仲間で、
唐橘 からたちばな と呼ばれていた。
ミカンに似た果実が成るのだが、
苦すぎ、酸っぱすぎるため、
食用には向かない。
鋭いトゲが生えるため、昔は塀代わりの
生垣としてよく植えられていたが、
ブロック塀の登場で姿を消した。
アクの強い味のカラタチだが、
強い酒に漬け、香りを付けた果実酒が
大陸の方ではよく作られるらしい。
また、未成熟な果実は乾燥させ、
健胃、利尿、去痰作用のある
生薬として使われたともいう。
現在はこのカラタチにミカンを接ぎ木すると、
病気に強くなり、果実が成るのが早くなるため、
果樹園などで活躍している。
さて、接ぎ木によってミカンが
有益な性質を獲得するのであれば、
ミカンとカラタチを交配させれば
より良い品種が作れるのではないだろうか。
だが、残念ながらミカンとカラタチでは
雑種が生まれることはない。
そこで生命科学研究の成果である
細胞融合を行うことが考えられた。
細胞融合とは文字通りふたつの細胞を合体させ、
ひとつの細胞にしてしまう技術である。
なんでもかんでも融合できるわけではなく、
異種の細胞であれば近縁である必要がある。
オレンジとカラタチであれば可能な範囲だ。
世間ではスーパーマリオブラザーズが
人気を博した頃、農林水産省果樹研究所と
キッコーマンの共同研究により、
オレンジとカラタチの細胞融合が成功した。
オレンジとカラタチの雑種なので
オレタチと名付けられた果樹の誕生である。
うまくいけばカラタチを台木にすることなく、
病気に強く結実の早い柑橘類が出来上がる
はずだったのだが、そうは問屋が卸さない。
オレタチはオレンジのように甘い
などということはなく、
カラタチ譲りの酸みが強かった。
そして、苦みが強く、何より匂いが悪い。
とても食べられたものではなかったのだ。
無念、オレタチの戦いはここまでだ。
もちろん、まったくの無駄だったわけではない。
オレタチを作る過程で獲得されたノウハウは、
その後の細胞融合植物研究に役立てられた。
ヒネ、メロチャ、ネギタマ、トマピーノ。
とりあえずネーミングセンスを疑う。
ミカンの仲間で、
唐橘 からたちばな と呼ばれていた。
ミカンに似た果実が成るのだが、
苦すぎ、酸っぱすぎるため、
食用には向かない。
鋭いトゲが生えるため、昔は塀代わりの
生垣としてよく植えられていたが、
ブロック塀の登場で姿を消した。
アクの強い味のカラタチだが、
強い酒に漬け、香りを付けた果実酒が
大陸の方ではよく作られるらしい。
また、未成熟な果実は乾燥させ、
健胃、利尿、去痰作用のある
生薬として使われたともいう。
現在はこのカラタチにミカンを接ぎ木すると、
病気に強くなり、果実が成るのが早くなるため、
果樹園などで活躍している。
さて、接ぎ木によってミカンが
有益な性質を獲得するのであれば、
ミカンとカラタチを交配させれば
より良い品種が作れるのではないだろうか。
だが、残念ながらミカンとカラタチでは
雑種が生まれることはない。
そこで生命科学研究の成果である
細胞融合を行うことが考えられた。
細胞融合とは文字通りふたつの細胞を合体させ、
ひとつの細胞にしてしまう技術である。
なんでもかんでも融合できるわけではなく、
異種の細胞であれば近縁である必要がある。
オレンジとカラタチであれば可能な範囲だ。
世間ではスーパーマリオブラザーズが
人気を博した頃、農林水産省果樹研究所と
キッコーマンの共同研究により、
オレンジとカラタチの細胞融合が成功した。
オレンジとカラタチの雑種なので
オレタチと名付けられた果樹の誕生である。
うまくいけばカラタチを台木にすることなく、
病気に強く結実の早い柑橘類が出来上がる
はずだったのだが、そうは問屋が卸さない。
オレタチはオレンジのように甘い
などということはなく、
カラタチ譲りの酸みが強かった。
そして、苦みが強く、何より匂いが悪い。
とても食べられたものではなかったのだ。
無念、オレタチの戦いはここまでだ。
もちろん、まったくの無駄だったわけではない。
オレタチを作る過程で獲得されたノウハウは、
その後の細胞融合植物研究に役立てられた。
ヒネ、メロチャ、ネギタマ、トマピーノ。
とりあえずネーミングセンスを疑う。
2019年6月11日火曜日
ポマト
植物の中には意外なものが
近縁の種であることが多いが、
ジャガイモとトマトも近い種である。
しかし、近いとは言っても知っての通り
まったくのベツモノであり、
当然、雑種が生まれることもない。
だが、生物化学研究は細胞融合という
驚異の技術を誕生させた。
これは二つ以上の細胞を文字通り融合させ、
雑種細胞と呼ばれる新たな細胞を
生み出すというものだ。
なんでもかんでも合体できるわけではないが、
ジャガイモとトマトの細胞融合は成功した。
ジャガイモにトマトを接ぎ木した
ジャガトマと呼ばれるものもあるが、
これとはわけが違う。
完全にジャガイモとトマトの雑種、
ポマトの誕生である。
ジャガトマのようにトマトとジャガイモの
両方を同時に得られる植物を
作ろうとしたわけではない。
トマトは寒さに弱いがジャガイモは強い。
このジャガイモの耐寒性をトマトへと
継承できないかと実験的に作られたのだ。
ポマトはトマトのような果実が成り、
ジャガイモのような地下茎を形成するが、
目論見通りの耐寒トマトとはならなかった。
しかも、ポマトから得られる果実も
地下茎も味は原種よりはるかに劣り、
良いとこ取りというわけにはいかなかった。
さて、いかにも最新の科学によって
生み出されたかのように書いたが、
ポマトを作り出したのは西ドイツの研究所である。
つまり、かなり昔の話だ。
当時は未来の植物として大いに期待されたが、
結果は前述の通り残念なものだった。
なお、近年少しだけ話題になったトムテトは
ポマトではなくジャガトマである。
近縁の種であることが多いが、
ジャガイモとトマトも近い種である。
しかし、近いとは言っても知っての通り
まったくのベツモノであり、
当然、雑種が生まれることもない。
だが、生物化学研究は細胞融合という
驚異の技術を誕生させた。
これは二つ以上の細胞を文字通り融合させ、
雑種細胞と呼ばれる新たな細胞を
生み出すというものだ。
なんでもかんでも合体できるわけではないが、
ジャガイモとトマトの細胞融合は成功した。
ジャガイモにトマトを接ぎ木した
ジャガトマと呼ばれるものもあるが、
これとはわけが違う。
完全にジャガイモとトマトの雑種、
ポマトの誕生である。
ジャガトマのようにトマトとジャガイモの
両方を同時に得られる植物を
作ろうとしたわけではない。
トマトは寒さに弱いがジャガイモは強い。
このジャガイモの耐寒性をトマトへと
継承できないかと実験的に作られたのだ。
ポマトはトマトのような果実が成り、
ジャガイモのような地下茎を形成するが、
目論見通りの耐寒トマトとはならなかった。
しかも、ポマトから得られる果実も
地下茎も味は原種よりはるかに劣り、
良いとこ取りというわけにはいかなかった。
さて、いかにも最新の科学によって
生み出されたかのように書いたが、
ポマトを作り出したのは西ドイツの研究所である。
つまり、かなり昔の話だ。
当時は未来の植物として大いに期待されたが、
結果は前述の通り残念なものだった。
なお、近年少しだけ話題になったトムテトは
ポマトではなくジャガトマである。
2019年6月10日月曜日
アテネ
知恵の女神に捧げられた都市であり、
哲学の殿堂として知られている
現在のギリシャ共和国の首都だ。
古代のギリシア世界の中心であり、
エーゲ海を支配した強大な都市国家であった。
芸術と学問の都であり、
西洋およびアラビアの科学の泉源でもある。
だが、ローマの興隆以来、ビザンツ、オスマンの
属国として歴史の表舞台から姿を消し、
現在はかつての栄光は遺跡に残されるのみだ。
もちろん、今でも考古学者の集う地であり、
舞台芸術も盛んであるが、様々な問題を
抱えた都市および国家に成り下がった。
ところで、ギリシャやギリシアと我々は
かの地を呼んでいるが、
これは例外的な呼称である。
ローマ人はあの地域をグラエキアと呼び、
この名が英語のグリークやポルトガル語の
ゲレシアへと変化する。
本邦へはポルトガル人によって紹介されたため、
ゲレシアの名で伝わったが、
これが訛りギリシヤとなった。
本邦の言語ではギリシヤは言いにくいため、
やがてギリシャとなったが、学問の世界では
ラテン語読みでギリシアと書かれることが多い。
サラセン人はこの地方をアルユーナーンと
呼んでいたが、これはイオニアから訛ったもので、
前述のグラエキアと共に、ギリシアの地方名由来だ。
では、当のギリシア人たちは自分たちの
国をなんと呼んでいるかというと、
エラダの形容詞系エリニキである。
エラダは古代ギリシア語ではヘラスであったが、
これも本来は地方名のひとつに過ぎない。
ヘラスからエラダへと変化していることから
想像がつくと思うが、現在のギリシア語は
古代から比べると大きく変貌を遂げた。
ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国、
三つの帝国の支配下の中で、
文化が大きく変わっていった結果だ。
さて、アテネの街に話を戻そう。
しかし、世界最大級の観光都市アテネの
名所をここで紹介する意義はあるだろうか。
大聖堂とマスジットぐらいは紹介しておこう。
カテドラルは生神女福音大聖堂、
通称ミトロポリス大聖堂だ。
正教会関連用語は本邦でさかんに訳され、
カトリックとは異なる趣を持っている。
生神女とはキリスト教の聖母マリアのことだ。
オスマントルコ支配下では
イスラーム勢力の一端であったため、
キリスト教の勢いは弱かった。
したがって、この大聖堂が建てられたのは
近代に入ってからである。
オスマン時代に築かれたツィスタラキスの
マスジットは現在は郷土芸術博物館となっている。
このマスジット、ハドリアヌスの図書館の
大理石の柱が使われたとされているが、
建築を行った知事ツィスタラキスはスルタンから
古代の遺物を棄損した罪で裁かれている。
このぐらいでアテネの紹介は終えよう。
歴史の重すぎる街の紹介はやはり難しい。
哲学の殿堂として知られている
現在のギリシャ共和国の首都だ。
古代のギリシア世界の中心であり、
エーゲ海を支配した強大な都市国家であった。
芸術と学問の都であり、
西洋およびアラビアの科学の泉源でもある。
だが、ローマの興隆以来、ビザンツ、オスマンの
属国として歴史の表舞台から姿を消し、
現在はかつての栄光は遺跡に残されるのみだ。
もちろん、今でも考古学者の集う地であり、
舞台芸術も盛んであるが、様々な問題を
抱えた都市および国家に成り下がった。
ところで、ギリシャやギリシアと我々は
かの地を呼んでいるが、
これは例外的な呼称である。
ローマ人はあの地域をグラエキアと呼び、
この名が英語のグリークやポルトガル語の
ゲレシアへと変化する。
本邦へはポルトガル人によって紹介されたため、
ゲレシアの名で伝わったが、
これが訛りギリシヤとなった。
本邦の言語ではギリシヤは言いにくいため、
やがてギリシャとなったが、学問の世界では
ラテン語読みでギリシアと書かれることが多い。
サラセン人はこの地方をアルユーナーンと
呼んでいたが、これはイオニアから訛ったもので、
前述のグラエキアと共に、ギリシアの地方名由来だ。
では、当のギリシア人たちは自分たちの
国をなんと呼んでいるかというと、
エラダの形容詞系エリニキである。
エラダは古代ギリシア語ではヘラスであったが、
これも本来は地方名のひとつに過ぎない。
ヘラスからエラダへと変化していることから
想像がつくと思うが、現在のギリシア語は
古代から比べると大きく変貌を遂げた。
ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国、
三つの帝国の支配下の中で、
文化が大きく変わっていった結果だ。
さて、アテネの街に話を戻そう。
しかし、世界最大級の観光都市アテネの
名所をここで紹介する意義はあるだろうか。
大聖堂とマスジットぐらいは紹介しておこう。
カテドラルは生神女福音大聖堂、
通称ミトロポリス大聖堂だ。
正教会関連用語は本邦でさかんに訳され、
カトリックとは異なる趣を持っている。
生神女とはキリスト教の聖母マリアのことだ。
オスマントルコ支配下では
イスラーム勢力の一端であったため、
キリスト教の勢いは弱かった。
したがって、この大聖堂が建てられたのは
近代に入ってからである。
オスマン時代に築かれたツィスタラキスの
マスジットは現在は郷土芸術博物館となっている。
このマスジット、ハドリアヌスの図書館の
大理石の柱が使われたとされているが、
建築を行った知事ツィスタラキスはスルタンから
古代の遺物を棄損した罪で裁かれている。
このぐらいでアテネの紹介は終えよう。
歴史の重すぎる街の紹介はやはり難しい。
2019年6月9日日曜日
白亜
炭酸カルシムの鱗片をもつ藻類などが堆積して
できた石灰岩の一種である。
固結していないため、脆く柔らかい。
チョークと呼ばれ、黒板に文字を書くチョークは
元々はこの岩石が用いられていた。
本来は白堊と書き、堊の字はアクと読むものの、
いつしかハクアと読まれるようになり、
字体の簡単な同音の亜の字に置き換えられた。
時代区分の白亜紀の名は、この白亜を形成する
生物たちが生きた時代である。
六千年にも及ぶ白亜紀は温暖湿潤な気候で
安定しており、多くの動植物が栄えた期間だ。
特に裸子植物から被子植物へと植物の主流が
変化した時期であり、この時代から
ほとんど進化していないものも少なくない。
動物に関しては爬虫類の全盛期であり、
ジュラ紀から続く恐竜の時代と言える。
脆弱な哺乳類は胎盤、あるいは育児嚢を発達させ、
現在の姿へと進化した。
また、鳥の類も恐竜から分岐進化したが、
この時代に主流であった鳥たちは
ほとんど絶滅してしまっている。
鳥だけではない、白亜紀の終わりには
非常に多くの生物が絶滅した。
長らく大量絶滅の原因は憶測されるだけであったが、
現在ではユカタン半島への隕石の衝突が
気候変動をもたらしたためだと考えられている。
気候の変化に耐えられなかった植物は死に絶え、
食料の減少と寒さが爬虫類たちを死に追いやった。
そんな中、恒温動物であり小型の哺乳類たちが
生き延び、後の世の繁栄へと繋がっていく。
ただ、炭酸カルシウムを持つ生物の大量死が
白亜を生み出したわけではない。
長い長い安定した時間の中で溜まりに溜まった
死骸が沈殿して凝塊したのが白亜である。
なお、白亜が露出した有名な地形として、
ヨーロッパからブリテン島を見たときに
目につくドーバー海峡の白い壁がある。
ローマ人はこの白い絶壁を見て、
ブリテン島をアルビオンと呼んだ。
イギリスの雅名として古くから使われている。
ちなみに本邦で白亜と言った場合、
チョークのことではなく、
白く塗られた壁を指すことが多い。
白亜の城や白亜の神殿といった表現である。
こうした用法が人口に膾炙した結果、
白亜というと美しく荘厳なものという
イメージが強くなっている。
できた石灰岩の一種である。
固結していないため、脆く柔らかい。
チョークと呼ばれ、黒板に文字を書くチョークは
元々はこの岩石が用いられていた。
本来は白堊と書き、堊の字はアクと読むものの、
いつしかハクアと読まれるようになり、
字体の簡単な同音の亜の字に置き換えられた。
時代区分の白亜紀の名は、この白亜を形成する
生物たちが生きた時代である。
六千年にも及ぶ白亜紀は温暖湿潤な気候で
安定しており、多くの動植物が栄えた期間だ。
特に裸子植物から被子植物へと植物の主流が
変化した時期であり、この時代から
ほとんど進化していないものも少なくない。
動物に関しては爬虫類の全盛期であり、
ジュラ紀から続く恐竜の時代と言える。
脆弱な哺乳類は胎盤、あるいは育児嚢を発達させ、
現在の姿へと進化した。
また、鳥の類も恐竜から分岐進化したが、
この時代に主流であった鳥たちは
ほとんど絶滅してしまっている。
鳥だけではない、白亜紀の終わりには
非常に多くの生物が絶滅した。
長らく大量絶滅の原因は憶測されるだけであったが、
現在ではユカタン半島への隕石の衝突が
気候変動をもたらしたためだと考えられている。
気候の変化に耐えられなかった植物は死に絶え、
食料の減少と寒さが爬虫類たちを死に追いやった。
そんな中、恒温動物であり小型の哺乳類たちが
生き延び、後の世の繁栄へと繋がっていく。
ただ、炭酸カルシウムを持つ生物の大量死が
白亜を生み出したわけではない。
長い長い安定した時間の中で溜まりに溜まった
死骸が沈殿して凝塊したのが白亜である。
なお、白亜が露出した有名な地形として、
ヨーロッパからブリテン島を見たときに
目につくドーバー海峡の白い壁がある。
ローマ人はこの白い絶壁を見て、
ブリテン島をアルビオンと呼んだ。
イギリスの雅名として古くから使われている。
ちなみに本邦で白亜と言った場合、
チョークのことではなく、
白く塗られた壁を指すことが多い。
白亜の城や白亜の神殿といった表現である。
こうした用法が人口に膾炙した結果、
白亜というと美しく荘厳なものという
イメージが強くなっている。
2019年6月8日土曜日
大理石
方解石と呼ばれる炭酸カルシウム結晶の岩石である。
特に、方解石同士が再結晶化して
大きな結晶となったものである。
輝く石を意味する言葉が語源のマーブルの名を持ち、
美しいことから古くより石材として重宝されてきた。
大理石の名は、現在の雲南省付近に存在した
大理国で産出したことから付けられた。
石灰岩の一種であるため古代生物の甲殻由来の
ものが存在し、中には化石が内部に
残されているものもある。
ただし、結晶質の石灰岩が大理石であるため、
化石が多く残っているようなものは
本来大理石とは呼べない。
しかし、本邦では建材に使われる石灰岩は
概ね大理石と呼ばれており、
その定義にずれが生じている。
さて、大理石で作られたものといえば
何を思い浮かべるだろうか。
古代ギリシアの神殿の数々や
インドのタージ・マハルなどの建造物、
ミケランジェロの彫刻などなど
数え上げればきりがない。
イタリアのカッラーラ、ギリシアのペンテリコなど、
有名な産地のものが高級石材として取引されるが、
比較的一般的な鉱物であるため、
世界中に産地が存在する。
本邦でも もちろん産出するのだが、
彫刻や建材にはあまりされない。
というのも、本邦の大理石は建材としてみた場合、
少々見劣りがする品質であるため、
工業用の石灰岩として消費されるのだ。
中には十分な美しさのものもあるため、
国産大理石を使った製品も無いわけではない。
山口県は特に良質な大理石の産地として知られる。
白鷹や薄雲、銀波や淡雪など、
雅な名前が付けられているのが印象的だ。
さて、大理石と言えば白く、マーブル柄と呼ばれる
紋様の入ったものを想像すると思う。
だが、中にはピンク色やオレンジ色、緑のものもあり、
トルコのアクシェヒルなどは黒く、
千差万別の大理石が存在することがわかる。
ヨーロッパ各国はこうした大理石をふんだんに
使った大理石宮殿を競って建造したため、
巨大な宝石細工とでも言うべき建築物が散在する。
高級石材の代名詞にもなっている大理石。
建築マニアにも地質マニアにも石材マニアにも
愛されるこの岩石は、今後も人気であり続けるだろう。
特に、方解石同士が再結晶化して
大きな結晶となったものである。
輝く石を意味する言葉が語源のマーブルの名を持ち、
美しいことから古くより石材として重宝されてきた。
大理石の名は、現在の雲南省付近に存在した
大理国で産出したことから付けられた。
石灰岩の一種であるため古代生物の甲殻由来の
ものが存在し、中には化石が内部に
残されているものもある。
ただし、結晶質の石灰岩が大理石であるため、
化石が多く残っているようなものは
本来大理石とは呼べない。
しかし、本邦では建材に使われる石灰岩は
概ね大理石と呼ばれており、
その定義にずれが生じている。
さて、大理石で作られたものといえば
何を思い浮かべるだろうか。
古代ギリシアの神殿の数々や
インドのタージ・マハルなどの建造物、
ミケランジェロの彫刻などなど
数え上げればきりがない。
イタリアのカッラーラ、ギリシアのペンテリコなど、
有名な産地のものが高級石材として取引されるが、
比較的一般的な鉱物であるため、
世界中に産地が存在する。
本邦でも もちろん産出するのだが、
彫刻や建材にはあまりされない。
というのも、本邦の大理石は建材としてみた場合、
少々見劣りがする品質であるため、
工業用の石灰岩として消費されるのだ。
中には十分な美しさのものもあるため、
国産大理石を使った製品も無いわけではない。
山口県は特に良質な大理石の産地として知られる。
白鷹や薄雲、銀波や淡雪など、
雅な名前が付けられているのが印象的だ。
さて、大理石と言えば白く、マーブル柄と呼ばれる
紋様の入ったものを想像すると思う。
だが、中にはピンク色やオレンジ色、緑のものもあり、
トルコのアクシェヒルなどは黒く、
千差万別の大理石が存在することがわかる。
ヨーロッパ各国はこうした大理石をふんだんに
使った大理石宮殿を競って建造したため、
巨大な宝石細工とでも言うべき建築物が散在する。
高級石材の代名詞にもなっている大理石。
建築マニアにも地質マニアにも石材マニアにも
愛されるこの岩石は、今後も人気であり続けるだろう。
2019年6月7日金曜日
石灰岩
含まれる成分のうち半分以上が
炭酸カルシウムの岩石である。
白いイメージがあるが、
炭酸カルシウムの含有量で色が変わるため、
茶色や黒のものも存在する。
石灰質の甲殻を持つ生物の死骸が堆積して
できたものと、炭酸カルシウム含有量の多い
水質の沈殿物が凝塊してできたものがある。
全く異なる成因を持つふたつの石灰岩だが、
性質は同じであるものの、用途は微妙に異なる。
石灰岩は建材として使用される岩石であり、
石材として用いられる場合には
英語でライムストーンと呼ばれることが多い。
特に白いものは彫刻の材料や化粧石として、
建築物の装飾に用いられ、
頑強なものは建材に使われてきた。
生物由来の石灰岩の場合、化石の形状が
残されているものもあり、こうしたものは
建物の内装として好まれる。
本邦の国会議事堂の内装にこうした化石の
見られる石灰岩が使われていることは
有名で、悠久の歴史に由来する重厚感がある。
石灰岩には他にもその化学的性質を
活かす利用法が存在する。
代表的なものはセメントだろう。
いわゆるコンクリートの材料である。
漆喰の原料もこれだ。
また、製鉄の際の融剤として、
不純物を取り除くために用いられる。
炭酸カルシウムがアルカリ性であるため、
酸性土壌を中和させるためにも使われるなど、
人類の歴史において非常に役立ってきた。
カルストと呼ばれる地形を
生み出すことでも知られ、
世界中に石灰岩由来の絶景が存在する。
大理石やチョークも石灰岩の一種
であることを考えると、
人とのかかわりの深い岩石だと言えるだろう。
炭酸カルシウムの岩石である。
白いイメージがあるが、
炭酸カルシウムの含有量で色が変わるため、
茶色や黒のものも存在する。
石灰質の甲殻を持つ生物の死骸が堆積して
できたものと、炭酸カルシウム含有量の多い
水質の沈殿物が凝塊してできたものがある。
全く異なる成因を持つふたつの石灰岩だが、
性質は同じであるものの、用途は微妙に異なる。
石灰岩は建材として使用される岩石であり、
石材として用いられる場合には
英語でライムストーンと呼ばれることが多い。
特に白いものは彫刻の材料や化粧石として、
建築物の装飾に用いられ、
頑強なものは建材に使われてきた。
生物由来の石灰岩の場合、化石の形状が
残されているものもあり、こうしたものは
建物の内装として好まれる。
本邦の国会議事堂の内装にこうした化石の
見られる石灰岩が使われていることは
有名で、悠久の歴史に由来する重厚感がある。
石灰岩には他にもその化学的性質を
活かす利用法が存在する。
代表的なものはセメントだろう。
いわゆるコンクリートの材料である。
漆喰の原料もこれだ。
また、製鉄の際の融剤として、
不純物を取り除くために用いられる。
炭酸カルシウムがアルカリ性であるため、
酸性土壌を中和させるためにも使われるなど、
人類の歴史において非常に役立ってきた。
カルストと呼ばれる地形を
生み出すことでも知られ、
世界中に石灰岩由来の絶景が存在する。
大理石やチョークも石灰岩の一種
であることを考えると、
人とのかかわりの深い岩石だと言えるだろう。
2019年6月6日木曜日
ストレリチア
極楽鳥という華美な鳥がいる。
その鳥のような形の花を咲かせるため
極楽鳥花と呼ばれる植物である。
花は特徴的な大きな水平のがくを持ち、
翼を上方へ広げたような花弁が乗っている。
大きながくは蜜を吸いに来る太陽鳥という
鳥が止まれるように発達したものだ。
太陽鳥の足には花粉がたっぷりと付けられ、
よそのストレリチアに止まった際に受粉する。
原産地はアフリカ南部であり、
代表的な種、レギナエは極楽鳥の名の通り
非常に派手な色彩を持つ。
アルバとニコライは黒いがくに
白い花弁がつくため、地味な印象だ。
ノンリーフと呼ばれるユンケアは
花は滅多に咲かず、葉も小さいが、
観葉植物として人気である。
なお、オーガスタと呼ばれるものもあり、
これは本来アルバの別名なのだが、
ニコライがこの名で流通している。
おそらく流行に際して販売業者が
名前を間違え、それが一般化したのだろう。
よくある話だ。
ストレリチアという名はメクレンブルクの
シュトレーリッツ公爵の令嬢に由来する。
イングランド王ジョージ三世に
嫁いだシャルロッテは有名なキューガーデンの
設立を後援したほどの植物愛好家として知られる。
おそらく植物学者を支援したのだろう、
その家名がストレリチアの名の由来となっている。
話は逸れるが、シャーロット王妃は
モーツァルトのパトロンであった。
バッハの息子も支援している。
また、ウェッジウッドを愛好し、
この陶磁器がクイーンズウェア、
女王の愛用品の称号を名乗ることを許している。
ストレリチア・レギナエのレギナエとは
女王を意味する言葉である。
一方、ストレリチア・ニコライのニコライは
ロシア皇帝ニコライ一世に由来すると
されているが、その孫であるニコライ大公が
本当の由来だという文献も見受けられる。
いずれにせよ、この南国の花に
ロシアの皇族の名が付けられた経緯が
書かれた文献は、不勉強にして知らない。
アルバは白いという意味で、
オーガスタについては、いつの時代の
どのオーガスタさんが由来か
調べられなかった。
ユンケアはおそらく葦のようなという意味であろう。
羅和辞典がどこかへいってしまった。
ところでこのストレリチア、
本邦では生け花に使われることが多い。
少しお高いようだが、
特に正月に松と共に生けられるのが
トレンドのようだ。
松の葉が鳥の翼のようになり、
ストレリチアの花が冠羽を持つ鳥の
クチバシのように見える生け方が主流だ。
もっとも、生け花のことはよく知らないので
見た限りでの感想であり、
実際の意義などは私には分からないのだが。
その鳥のような形の花を咲かせるため
極楽鳥花と呼ばれる植物である。
花は特徴的な大きな水平のがくを持ち、
翼を上方へ広げたような花弁が乗っている。
大きながくは蜜を吸いに来る太陽鳥という
鳥が止まれるように発達したものだ。
太陽鳥の足には花粉がたっぷりと付けられ、
よそのストレリチアに止まった際に受粉する。
原産地はアフリカ南部であり、
代表的な種、レギナエは極楽鳥の名の通り
非常に派手な色彩を持つ。
アルバとニコライは黒いがくに
白い花弁がつくため、地味な印象だ。
ノンリーフと呼ばれるユンケアは
花は滅多に咲かず、葉も小さいが、
観葉植物として人気である。
なお、オーガスタと呼ばれるものもあり、
これは本来アルバの別名なのだが、
ニコライがこの名で流通している。
おそらく流行に際して販売業者が
名前を間違え、それが一般化したのだろう。
よくある話だ。
ストレリチアという名はメクレンブルクの
シュトレーリッツ公爵の令嬢に由来する。
イングランド王ジョージ三世に
嫁いだシャルロッテは有名なキューガーデンの
設立を後援したほどの植物愛好家として知られる。
おそらく植物学者を支援したのだろう、
その家名がストレリチアの名の由来となっている。
話は逸れるが、シャーロット王妃は
モーツァルトのパトロンであった。
バッハの息子も支援している。
また、ウェッジウッドを愛好し、
この陶磁器がクイーンズウェア、
女王の愛用品の称号を名乗ることを許している。
ストレリチア・レギナエのレギナエとは
女王を意味する言葉である。
一方、ストレリチア・ニコライのニコライは
ロシア皇帝ニコライ一世に由来すると
されているが、その孫であるニコライ大公が
本当の由来だという文献も見受けられる。
いずれにせよ、この南国の花に
ロシアの皇族の名が付けられた経緯が
書かれた文献は、不勉強にして知らない。
アルバは白いという意味で、
オーガスタについては、いつの時代の
どのオーガスタさんが由来か
調べられなかった。
ユンケアはおそらく葦のようなという意味であろう。
羅和辞典がどこかへいってしまった。
ところでこのストレリチア、
本邦では生け花に使われることが多い。
少しお高いようだが、
特に正月に松と共に生けられるのが
トレンドのようだ。
松の葉が鳥の翼のようになり、
ストレリチアの花が冠羽を持つ鳥の
クチバシのように見える生け方が主流だ。
もっとも、生け花のことはよく知らないので
見た限りでの感想であり、
実際の意義などは私には分からないのだが。
2019年6月5日水曜日
蒟蒻
サトイモの仲間の植物であり、芋である。
ただし、シュウ酸カリウムを多く含むため、
そのままでは食べることができない。
口や喉や消化管の粘膜がやられてしまうのだ。
本来はまともに食べることのできない植物
なのだが、人間はそんなものでも
料理という文明の力で食物としてしまった。
コンニャクというと本邦独自の食品という
錯覚を覚えるが、原産地は南アジアであり、
雲南省や四川省ではよく食べられている。
ただ、魔芋という名で呼ばれているあたり、
やはり生で食べてはいけない
イメージが強いのだろう。
本邦で輸入物のコンニャクを見かけないのは
蒟蒻農家を保護するために設けられた
こんにゃく芋への高い関税のためだ。
過去には最大で十七倍もの関税率に
引き上げられたことすらある。
さて、食品としてのコンニャクだが、
カロリーがほとんど無いうえに、
ヒトの消化管ではほぼ消化できない。
なぜそんなものを食べるのかというと、
ふたつの理由が存在する。
ひとつめは空腹を紛らわすためである。
栄養は乏しいが腹は膨れる。
現代では減量用食品としてよく知られている。
ふたつめはその豊富な食物繊維により、
消化管を清掃する目的である。
つまりはお通じを良くするのだ。
本邦においては鎌倉期までは
コンニャクは薬という認識であった。
整腸剤である。
それが、お寺の精進料理の発達によって
食材としての地位を確立するようになり、
江戸期には庶民の食べ物として広まった。
中島藤右衛門という人物が
現在のコンニャクの製法を考案したという。
面白いことに、樹脂のゴムが手に入り難かった
大戦期の本邦において、コンニャクは
樹脂代わりに使われた。
ゴムほどの耐久性があるわけではないが、
防水性と気密性があるため、
コンニャク糊というものを防水加工に使用した。
江戸期に和傘を作るために使われたこの技術は
風船爆弾という珍兵器を生み出すことになる。
気球に爆弾を仕掛け、偏西風に乗せて飛ばすことで、
アメリカ領に無差別攻撃を仕掛けるというものだ。
実は人類史上初の大陸間攻撃兵器である。
なお、戦果は民間人六名の死亡と、
小規模の山火事であったという。
これが心理面に与えた打撃は大きかった。
恐怖を煽るテロルであり、アメリカの厭戦気分を
助長させるための作戦であったと思われる。
焼夷弾ではなく生物兵器が搭載されている
可能性を考え、風船爆弾の届いた地域では
厳重な警戒態勢がとられたようだ。
アメリカ政府は事態を重く見て徹底的な
報道管制を敷き、戦意維持に努めたという。
本土が攻撃されないという安心が破られたのだ。
風船爆弾。コンニャクを塗った気球と聞くと、
冗談のような兵器であるが、
製造コストに対する効果は大きかったように思う。
和紙とヘチマとコンニャクで、
大海渡るテロリズム。
話題を変えよう。
落語の演目に蒟蒻問答というものがある。
私はこれが大好きだ。
禅問答の難解さを茶化したものなのだが、
オチのネタばらしが秀逸で、
あらすじを読んだだけで笑ってしまう。
無言で仕草を見せる部分がある仕方噺のため、
音声だけで楽しめる落語ではないが、
動画のある現代ではいつでも楽しめる。
騙されたと思って視聴してみてほしい。
できれば事前にあらすじなどを読まず、
ネタばらしのところで爆笑してもらいたい。
ただし、シュウ酸カリウムを多く含むため、
そのままでは食べることができない。
口や喉や消化管の粘膜がやられてしまうのだ。
本来はまともに食べることのできない植物
なのだが、人間はそんなものでも
料理という文明の力で食物としてしまった。
コンニャクというと本邦独自の食品という
錯覚を覚えるが、原産地は南アジアであり、
雲南省や四川省ではよく食べられている。
ただ、魔芋という名で呼ばれているあたり、
やはり生で食べてはいけない
イメージが強いのだろう。
本邦で輸入物のコンニャクを見かけないのは
蒟蒻農家を保護するために設けられた
こんにゃく芋への高い関税のためだ。
過去には最大で十七倍もの関税率に
引き上げられたことすらある。
さて、食品としてのコンニャクだが、
カロリーがほとんど無いうえに、
ヒトの消化管ではほぼ消化できない。
なぜそんなものを食べるのかというと、
ふたつの理由が存在する。
ひとつめは空腹を紛らわすためである。
栄養は乏しいが腹は膨れる。
現代では減量用食品としてよく知られている。
ふたつめはその豊富な食物繊維により、
消化管を清掃する目的である。
つまりはお通じを良くするのだ。
本邦においては鎌倉期までは
コンニャクは薬という認識であった。
整腸剤である。
それが、お寺の精進料理の発達によって
食材としての地位を確立するようになり、
江戸期には庶民の食べ物として広まった。
中島藤右衛門という人物が
現在のコンニャクの製法を考案したという。
面白いことに、樹脂のゴムが手に入り難かった
大戦期の本邦において、コンニャクは
樹脂代わりに使われた。
ゴムほどの耐久性があるわけではないが、
防水性と気密性があるため、
コンニャク糊というものを防水加工に使用した。
江戸期に和傘を作るために使われたこの技術は
風船爆弾という珍兵器を生み出すことになる。
気球に爆弾を仕掛け、偏西風に乗せて飛ばすことで、
アメリカ領に無差別攻撃を仕掛けるというものだ。
実は人類史上初の大陸間攻撃兵器である。
なお、戦果は民間人六名の死亡と、
小規模の山火事であったという。
これが心理面に与えた打撃は大きかった。
恐怖を煽るテロルであり、アメリカの厭戦気分を
助長させるための作戦であったと思われる。
焼夷弾ではなく生物兵器が搭載されている
可能性を考え、風船爆弾の届いた地域では
厳重な警戒態勢がとられたようだ。
アメリカ政府は事態を重く見て徹底的な
報道管制を敷き、戦意維持に努めたという。
本土が攻撃されないという安心が破られたのだ。
風船爆弾。コンニャクを塗った気球と聞くと、
冗談のような兵器であるが、
製造コストに対する効果は大きかったように思う。
和紙とヘチマとコンニャクで、
大海渡るテロリズム。
話題を変えよう。
落語の演目に蒟蒻問答というものがある。
私はこれが大好きだ。
禅問答の難解さを茶化したものなのだが、
オチのネタばらしが秀逸で、
あらすじを読んだだけで笑ってしまう。
無言で仕草を見せる部分がある仕方噺のため、
音声だけで楽しめる落語ではないが、
動画のある現代ではいつでも楽しめる。
騙されたと思って視聴してみてほしい。
できれば事前にあらすじなどを読まず、
ネタばらしのところで爆笑してもらいたい。
2019年6月4日火曜日
風鳥
極楽鳥とも呼ばれる華美な鳥である。
英語ではバードオブパラダイスと呼ばれる。
極楽鳥の名はこの和訳だが、
和名はフウチョウで統一されている。
オーストラリアからニューギニアにかけての
熱帯地域に生息するこの鳥の足は
現地では薬になると考えられていた。
このため、ヨーロッパには足の無い個体が
持ち込まれることになり、
元々足の無い鳥として紹介されることになる。
そして、常に空を飛び、地上や木の枝に
止まらない鳥だと勘違いされてしまう。
決して地面に降り立つことのない鳥、
すなわち天国に住まう鳥ということで、
極楽鳥の名が与えられた。
風を食って生きているという
荒唐無稽な説まで飛び出した。
一方、学名では足が無いことに着目され、
足の無いという意味の名が付けられている。
こうした誤った情報が遠回りをして
漢字圏に伝わり、風鳥の名が与えられた。
約百年後、生物学者がきちんと足のある
風鳥を現地で発見し、ようやく図鑑に
足のある姿で描かれるようになる。
さて、極楽鳥といえば、非常に目立つ姿で
独特の求愛ダンスを踊ることで知られている。
これらは雄の特徴であり、
雌はとても地味な姿をしている。
風鳥の仲間は種類によって
実に様々な見た目をしており、
求愛ダンスもそれぞれ異なる。
よって、具体的なことは、
各風鳥の紹介の際に書くことにしよう。
英語ではバードオブパラダイスと呼ばれる。
極楽鳥の名はこの和訳だが、
和名はフウチョウで統一されている。
オーストラリアからニューギニアにかけての
熱帯地域に生息するこの鳥の足は
現地では薬になると考えられていた。
このため、ヨーロッパには足の無い個体が
持ち込まれることになり、
元々足の無い鳥として紹介されることになる。
そして、常に空を飛び、地上や木の枝に
止まらない鳥だと勘違いされてしまう。
決して地面に降り立つことのない鳥、
すなわち天国に住まう鳥ということで、
極楽鳥の名が与えられた。
風を食って生きているという
荒唐無稽な説まで飛び出した。
一方、学名では足が無いことに着目され、
足の無いという意味の名が付けられている。
こうした誤った情報が遠回りをして
漢字圏に伝わり、風鳥の名が与えられた。
約百年後、生物学者がきちんと足のある
風鳥を現地で発見し、ようやく図鑑に
足のある姿で描かれるようになる。
さて、極楽鳥といえば、非常に目立つ姿で
独特の求愛ダンスを踊ることで知られている。
これらは雄の特徴であり、
雌はとても地味な姿をしている。
風鳥の仲間は種類によって
実に様々な見た目をしており、
求愛ダンスもそれぞれ異なる。
よって、具体的なことは、
各風鳥の紹介の際に書くことにしよう。
2019年6月3日月曜日
ヤカツ
小さな黄色い花が五つばかり
かたまって咲く植物である。
冶葛と書く。
漢方の生薬では鉤吻と呼ばれており、
本邦には奈良期に渡来した。
正倉院には薬品を納める部屋もあるのだが、
鉤吻壺、あるいは冶葛の壺というものが現存する。
解熱鎮痛剤として使われていた薬草だが、
この植物の持つ効能はいささか激しすぎる。
早い話が、どちらかというと毒である。
毒と薬は表裏一体の存在で、
人体に何らかの影響を与える物質
という意味では同じものだ。
それが良い効果であれば薬であり、
悪い効果であれば毒である。
このヤカツも正しい使い方をすれば
効果の高い薬となるのだろう。
だが、はっきり言ってヤカツを薬として
使うのは難易度が高すぎる。
世界最強の毒草とまで言われる植物だからだ。
毒と一口に言っても様々な物質があり、
人体のどの部位にどのように作用するのか、
その物質によって異なってくる。
複数の毒性物質を持つ動植物も珍しくないが、
ヤカツはいわば毒のスーパーマケットである。
含まれる毒性物質の種類がとても多いのだ。
ある毒性物質はある生き物には耐性があるなど、
効かないケースが多々ある。
だが、これだけ豊富に取り揃えられていると
どれかは効き目があるということになるだろう。
つまり、ヤカツの毒で倒れぬ動物を
探す方が難しい。
もし人間が食べてしまったらどうなるか。
様々な異常が起こるが、
最終的には呼吸器の麻痺で死ぬ。
ヤカツのどの部位を食べたかによっても
症状は違ってくるのだが、
根、芽、茎、葉、花、種子、すべて毒だ。
前述の鉤吻、薬として使う場合には
乾燥させた根を粉末にする。
ほとんどの医学書に内服は厳禁と書かれており、
どうやら飲み薬ではなく、
塗り薬として使われていたようだ。
誤飲はもとより、塗り薬が手についたまま
舐めてしまえば事故が起こる。
極めて慎重に扱わなければならぬ
薬だったことは想像に難くない。
どの程度効果があるかは知らないが、
喘息の治療薬にもなると言われている。
喘息は現在でも解明されていない部分の多い
病で、治療が難しい。
医療の発達していない昔であれば
それはもう、治すためならば
毒にも頼りたくなったことだろう。
かたまって咲く植物である。
冶葛と書く。
漢方の生薬では鉤吻と呼ばれており、
本邦には奈良期に渡来した。
正倉院には薬品を納める部屋もあるのだが、
鉤吻壺、あるいは冶葛の壺というものが現存する。
解熱鎮痛剤として使われていた薬草だが、
この植物の持つ効能はいささか激しすぎる。
早い話が、どちらかというと毒である。
毒と薬は表裏一体の存在で、
人体に何らかの影響を与える物質
という意味では同じものだ。
それが良い効果であれば薬であり、
悪い効果であれば毒である。
このヤカツも正しい使い方をすれば
効果の高い薬となるのだろう。
だが、はっきり言ってヤカツを薬として
使うのは難易度が高すぎる。
世界最強の毒草とまで言われる植物だからだ。
毒と一口に言っても様々な物質があり、
人体のどの部位にどのように作用するのか、
その物質によって異なってくる。
複数の毒性物質を持つ動植物も珍しくないが、
ヤカツはいわば毒のスーパーマケットである。
含まれる毒性物質の種類がとても多いのだ。
ある毒性物質はある生き物には耐性があるなど、
効かないケースが多々ある。
だが、これだけ豊富に取り揃えられていると
どれかは効き目があるということになるだろう。
つまり、ヤカツの毒で倒れぬ動物を
探す方が難しい。
もし人間が食べてしまったらどうなるか。
様々な異常が起こるが、
最終的には呼吸器の麻痺で死ぬ。
ヤカツのどの部位を食べたかによっても
症状は違ってくるのだが、
根、芽、茎、葉、花、種子、すべて毒だ。
前述の鉤吻、薬として使う場合には
乾燥させた根を粉末にする。
ほとんどの医学書に内服は厳禁と書かれており、
どうやら飲み薬ではなく、
塗り薬として使われていたようだ。
誤飲はもとより、塗り薬が手についたまま
舐めてしまえば事故が起こる。
極めて慎重に扱わなければならぬ
薬だったことは想像に難くない。
どの程度効果があるかは知らないが、
喘息の治療薬にもなると言われている。
喘息は現在でも解明されていない部分の多い
病で、治療が難しい。
医療の発達していない昔であれば
それはもう、治すためならば
毒にも頼りたくなったことだろう。
2019年6月2日日曜日
月下美人
クジャクサボテンの仲間で
大変美しい花を咲かせる。
まず、名前が美しい。
月夜にたたずむ麗人である。
英語ではクイーンオブザナイト、
夜の女王である。
オランダ人のパイプという呼び方もあるが、
蕾の状態は確かにパイプのようでもある。
花は夜に咲き、朝にしぼむ。
一晩しか開花しないのだ。
白い大輪の花は甘い芳香を強く漂わせ、
コウモリを呼び寄せる。
虫ではなくコウモリに花粉を媒介させるのだ。
果実はいわゆるドラゴンフルーツの類で甘い。
花も食べることができ、
台湾ではスープの具にされている。
さて、月下美人だが、私は昔、祖母と共に
この植物を育てたことがある。
蕾が大きくなり、そろそろ咲くぞという日の晩、
祖母と大叔母と共に夜更かしをして
開花を待ったのは良い思い出だ。
掌に余るほどの大きさの花が開いていく様子は、
本で読み、写真を見て想像していたよりも
はるかに感動的なものだった。
しばらく祖母たちと花を愛で、
翌朝、しぼんでいるのを確認した。
なお、月下美人という名ではあるが、
月光は特に生育にも開花にも関係がない。
原産地はメキシコの熱帯雨林であり、
絶滅の恐れがあるとして取引が制限されている。
この関係から、本邦では長らく単一株の
挿し木や株分けで増やしたものが
園芸品種として育てられてきた。
同一個体同士では受粉しても結実しないため、
かつては果実を得ることはできなかった。
今では他の株から分けられたものが
取引されているため、
本邦においても果実を得ることができる。
フルーツとしての月下美人は、
食用月下美人という雅さに欠ける名で流通する。
見た目、味共にドラゴンフルーツである。
花のスープに関しては、自宅で咲かせた当時は
食用になることを知らなかったため
試したことがないが、美味いらしい。
花を分解して具にするのだが、とろみ成分を持つ。
軽く蒸してからスープに入れるのが
美味しく調理するコツらしい。
ちなみに台湾では曇花と呼ばれているらしく、
おそらく太陽の下で咲かないことに
由来するのだろうと勝手に思っている。
曇花スープは咳や淡を改善し、
肺を清浄にして胃痛を和らげる
薬膳として飲まれるようだ。
ところで、年に一回満月の晩にのみ咲く
という俗説があるが、前述のとおり月光は
関係がなく、環境次第で何度も花をつける。
それほど育てにくい植物というわけでもないので、
一夜の感動を味わうために
栽培してみるのもいいのではないだろうか。
大変美しい花を咲かせる。
まず、名前が美しい。
月夜にたたずむ麗人である。
英語ではクイーンオブザナイト、
夜の女王である。
オランダ人のパイプという呼び方もあるが、
蕾の状態は確かにパイプのようでもある。
花は夜に咲き、朝にしぼむ。
一晩しか開花しないのだ。
白い大輪の花は甘い芳香を強く漂わせ、
コウモリを呼び寄せる。
虫ではなくコウモリに花粉を媒介させるのだ。
果実はいわゆるドラゴンフルーツの類で甘い。
花も食べることができ、
台湾ではスープの具にされている。
さて、月下美人だが、私は昔、祖母と共に
この植物を育てたことがある。
蕾が大きくなり、そろそろ咲くぞという日の晩、
祖母と大叔母と共に夜更かしをして
開花を待ったのは良い思い出だ。
掌に余るほどの大きさの花が開いていく様子は、
本で読み、写真を見て想像していたよりも
はるかに感動的なものだった。
しばらく祖母たちと花を愛で、
翌朝、しぼんでいるのを確認した。
なお、月下美人という名ではあるが、
月光は特に生育にも開花にも関係がない。
原産地はメキシコの熱帯雨林であり、
絶滅の恐れがあるとして取引が制限されている。
この関係から、本邦では長らく単一株の
挿し木や株分けで増やしたものが
園芸品種として育てられてきた。
同一個体同士では受粉しても結実しないため、
かつては果実を得ることはできなかった。
今では他の株から分けられたものが
取引されているため、
本邦においても果実を得ることができる。
フルーツとしての月下美人は、
食用月下美人という雅さに欠ける名で流通する。
見た目、味共にドラゴンフルーツである。
花のスープに関しては、自宅で咲かせた当時は
食用になることを知らなかったため
試したことがないが、美味いらしい。
花を分解して具にするのだが、とろみ成分を持つ。
軽く蒸してからスープに入れるのが
美味しく調理するコツらしい。
ちなみに台湾では曇花と呼ばれているらしく、
おそらく太陽の下で咲かないことに
由来するのだろうと勝手に思っている。
曇花スープは咳や淡を改善し、
肺を清浄にして胃痛を和らげる
薬膳として飲まれるようだ。
ところで、年に一回満月の晩にのみ咲く
という俗説があるが、前述のとおり月光は
関係がなく、環境次第で何度も花をつける。
それほど育てにくい植物というわけでもないので、
一夜の感動を味わうために
栽培してみるのもいいのではないだろうか。
2019年6月1日土曜日
レウコクロコディウム
気持ちが悪すぎるため、
この生物について改めて調べたくない。
なので、今回はうろ覚えで
記事を書かせてもらう。
ちなみに私がこの生物のことを知ったのは
高校の図書室においてだ。
寄生虫の本だった。
そう、レウコクロコディウムは寄生虫だ。
宿主はカタツムリである。
中間宿主は鳥だ。
カタツムリを補食した鳥の体内では
悪さをすることなく、糞と共に排出される。
糞から出た幼生は植物の葉と共に
カタツムリに食べられ、その体内に入る。
成長したレウコクロコディウムはやがて
カタツムリの頭部へと移動する。
通常であれば、カタツムリは
天敵である鳥に見つからぬよう
なるべく葉陰で過ごす。
しかし、この寄生虫に冒された個体は
これ見よがしに鳥の目につく場所を
うろつくようになってしまう。
脳をやられて行動を
コントロールされてしまうのだ。
この程度のことであれば、
例えばハリガネムシは宿主の昆虫を
水に飛び込ませるなどもっと酷い。
だが、レウコクロコディウムが
おぞましいのはここからだ。
カタツムリにはご存じ、触覚がある。
これが彼らの目なのだが、
レウコクロコディウムはこの中で急成長する。
目立つ縞模様を持つ大きな体に育った
レウコクロコディウムは、
カタツムリの触覚をぱんぱんに膨らませる。
そして、ぐるぐると動き出すのだ。
カタツムリは、天敵に見つかりやすい場所で、
目立つ縞模様の膨らんだ目玉を
振り回すようになる。
鳥は簡単に栄養豊富な餌、
カタツムリを補食できる。
レウコクロコディウムは鳥に運ばれ、
新天地で子孫に命を繋ぐ。
今の時代、様々な事象がインターネットにより
簡単に検索でき、画像や動画を
見ることができる。
この気味の悪い生き物の晴れ舞台を
高解像度で見ることができる。
お薦めはしないぞ。
この生物について改めて調べたくない。
なので、今回はうろ覚えで
記事を書かせてもらう。
ちなみに私がこの生物のことを知ったのは
高校の図書室においてだ。
寄生虫の本だった。
そう、レウコクロコディウムは寄生虫だ。
宿主はカタツムリである。
中間宿主は鳥だ。
カタツムリを補食した鳥の体内では
悪さをすることなく、糞と共に排出される。
糞から出た幼生は植物の葉と共に
カタツムリに食べられ、その体内に入る。
成長したレウコクロコディウムはやがて
カタツムリの頭部へと移動する。
通常であれば、カタツムリは
天敵である鳥に見つからぬよう
なるべく葉陰で過ごす。
しかし、この寄生虫に冒された個体は
これ見よがしに鳥の目につく場所を
うろつくようになってしまう。
脳をやられて行動を
コントロールされてしまうのだ。
この程度のことであれば、
例えばハリガネムシは宿主の昆虫を
水に飛び込ませるなどもっと酷い。
だが、レウコクロコディウムが
おぞましいのはここからだ。
カタツムリにはご存じ、触覚がある。
これが彼らの目なのだが、
レウコクロコディウムはこの中で急成長する。
目立つ縞模様を持つ大きな体に育った
レウコクロコディウムは、
カタツムリの触覚をぱんぱんに膨らませる。
そして、ぐるぐると動き出すのだ。
カタツムリは、天敵に見つかりやすい場所で、
目立つ縞模様の膨らんだ目玉を
振り回すようになる。
鳥は簡単に栄養豊富な餌、
カタツムリを補食できる。
レウコクロコディウムは鳥に運ばれ、
新天地で子孫に命を繋ぐ。
今の時代、様々な事象がインターネットにより
簡単に検索でき、画像や動画を
見ることができる。
この気味の悪い生き物の晴れ舞台を
高解像度で見ることができる。
お薦めはしないぞ。
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