アサガオの仲間で薄桃色の花を咲かせる植物だ。
ただし、花は咲かせにくいため、
アサガオに接ぎ木するなどして
無理矢理開花させ、人工授粉が行われる。
ペルーが原産地とされ、マガリャネスの
南アメリカ西岸到達以降に世界中に伝播した。
本邦へは大陸経由でもたらされたため、
唐芋とも呼ばれる。
そして、鹿児島で大々的に栽培を開始したため、
薩摩芋の呼び名が定着した。
享保の大飢饉においては、サツマイモを生産していた
地域のみ餓死者が出なかったという。
このことが知られて以来栽培地域が広がって行った。
芋としてのサツマイモにはデンプンが
豊富なわけだが、自前の酵素の中に
デンプンを糖化するものが備わっている。
つまり、日光に晒す、低温で蒸すなど、
ある程度以上の温度でしばらく置くことで、
デンプンが糖へと変わり甘くなる。
食べる以外にも焼酎の原料として著名で、
鹿児島は芋、宮崎は蕎麦、大分は麦、熊本は米、
などと言い九州を代表する名物である。
サツマイモから作られるアルコールは、
燃料としての研究も行われており、
大戦時には航空機燃料とできないか期待された。
乗組員である鹿屋の薩摩隼人が
芋焼酎で元気になって出撃したという意味では
航空燃料と言えなくもないかもしれない。
冗談ついでにサツマイモにまつわる
昔のジョークも紹介しよう。
サツマイモを栗の美味さに近いものとして
九里までもう少しの八里半と呼ぶことがあった。
この場合、栗の方が上だが、
栗よりも美味いとする言い方もある。
九里四里うまい十三里である。
川越街道が江戸まで十三里であり、
川越がサツマイモの産地であったという
何重にも意味の込められたうまい言い回しだ。
さて、外国でのサツマイモ事情も
少しだけ紹介しよう。
ヤム芋という芋があるのだが、
ソフトスイートポテトと呼ばれる
サツマイモの品種によく似ている。
このことからソフトスイートポテトが
ヤムと呼ばれ、アメリカなどでは流通している。
実際見た目も味も似ているのだが、
植物としての種類は大きく異なる。
ヤムの呼び名が定着した結果、
特定の品種以外のサツマイモもヤムと
呼ばれることが多くなった。
そして本来のヤムイモは生産地域以外では
あまり見ることができなくなったようだ。
そういえば、サツマイモは毒を持つことがある。
普通にしていれば毒は持たないのだが、
虫やカビに襲われると、
抵抗のために毒を作りだす。
この毒は加熱で破壊できないため、
傷んだサツマイモを食べてはいけない。
焼酎の材料として蒸留してさえ、
毒由来の苦味がついてしまうという。