序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年11月9日金曜日

フローライト

蛍石のことである。

蛍の火のように緑色をしているため
この名が付いたと思われがちだが、
カラーバリエーションは多い。

蛍石は熱すると発光するため、
この名が付けられた。

ただし、加熱すると割れてはじける。
儚い存在なのだ。

フローライトの名は
灯りが流れるという意味ではない。
フロールアイト、アイトは
ラテン語で石を指す言葉だ。

つまり流れる石という意味合いになる。
何が流れるかというと、
金属精錬の際の不純物だ。

蛍石は鉱石から金属を精錬する際に、
融剤として使われてきた。

蛍石に含まれる弗素化合物が
鉱石の中の不純物の融点を下げ、
精錬したい金属以外の物質を先に溶かす。

こうして浮き上がった鉱滓を除き、
金属の精錬を行ってきたのだ。

レンズの素材としても使われる。
フローライトレンズは軽量でかつ、
色を変化させにくいため、
高級なカメラや顕微鏡、望遠鏡に用いられる。

ただし、蛍石は高価な宝石ではないが、
大きなものは産出し難い。

このため、ごく小さなものを除けば、
フローライトレンズは
値段が高くなってしまう。

宝石としての蛍石は硬度が低く、
さほど珍しくないため
いわゆるジュエリーとしては扱われない。

アクセサリーを作っても
簡単に傷付いたり割れたりしてしまう。

それでもその美しさは人を魅了するため、
脆さを差し引いてでも蛍石で何かを
作りたいという者は少なくない。

近年では結晶体のままインテリアとして
飾られることが多いが、
小さな器や彫刻が古くから伝来している。

なお、パワーストーンショップへ行くと
手頃な値段で買うことができる。
ちなみに人工的に作りだすことも可能だ。

パワーストーンとしての売り文句は、
やはり光を放つことに着目するようで、
天才的な閃きなどと結び付けられている。

古来、貴石や宝石には力が宿るとされ、
魔除けや呪物として珍重されてきたので
その文化自体は素晴らしいものだと思う。

だが、販売のために新しい意味を
でっちあげるのはいかがなものだろうか。