序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年5月31日木曜日

アナナス

パイナップルや鳳梨とも呼ばれる植物である。

果実が松ぼっくりのように見えるため、
松の果実、パインアップルと
呼ばれるようになった。

本邦や英語圏ではパイナップルの名が
よく使われるものの、世界的には
アナナスが一般的である。

種を撒いてから果実を収穫できるまでの
期間は、四年だと言われている。

このため、果実を切り取った株を用いて、
再生させるように栽培する。

元々はパラグアイ川周辺の植物であったが、
美味なため栽培されるようになり、
カリブなどにも普及していった。

そこへクリストバル・コロンが現れ、
インディアスの果実として
ヨーロッパヘ持ち帰ったのだ。

本邦へはオランダ船によってもたらされたが、
栽培できる気候が限られていたため、
市場に出回るようになったのは
明治期以降である。

新鮮なまま輸送することが難しかったため、
多くはシロップ漬けの缶詰とされたのだが、
林檎を使った偽物も出回ったという。

ところで、舌が痛くなるので私は
パイナップルは生で食べたくない。

痛みは、シュウ酸カルシウムの針状結晶と、
蛋白質を破壊する酵素のせいなのだが、
酷い場合には出血までするという。

想像するだけで口の中が痛くなってきた。

私はあまり好き嫌いが無く、
食べられないものも無いが、
生のパイナップルには可能な限り手を出さない。

だが、パイナップルの乗ったピザは至高である。
イタリア人は激怒するらしいが、
美味いものは美味い。

なお、パイナップルの乗ったハワイアンピザは
ハワイではなくカナダで生まれたものだ。
仕入過ぎた缶詰を処理するために思いついたらしい。

他にはポークステーキの上に
パイナップルソテーを乗せたものも非常に美味い。

すりおろして すきやき の隠し味にするということを
試したこともあるが、あれも美味かった。

甘みと酸みが肉の味を引き締め、
油をさっぱりとさせてくれる。

やはりパイナップルは
肉と共にいただくのがよろしかろう。

2018年5月30日水曜日

ナンジャモンジャゴケ

生物学者以外にとっては名前が
面白いだけのただの苔である。

生殖活動に関して、従来の苔とは一線を画した
他に類を見ない違いがあるらしいのだが、
地味なもので我々には些細な点に感じられる。

だが、胞子体が見当たらないということで、
苔の仲間ではないかもしれないという論争が起こり、
それでもどう見ても苔なので一旦苔として分類された。

その後染色体を調べた結果、一般的な苔よりも
染色体数が少ないことがわかり、
再び論争が巻き起こるかに見えたが、
別の新たな発見によって苔であることが
確定的に明らかになったという。

門外漢にとってはかなりどうでもいい話である。

ナンジャモンジャの話をしよう。

ナンジャモンジャとは得体の知れないもの、
特に樹木を指す言葉である。

色々な説があるが、
「お前は何者だ?」「妖怪である」という対話が
そのまま名前になったというものを紹介したい。

他にも仏教用語で論議をする際の難者と問者だったり、
なんという物だと聞かれてそのまま鸚鵡返しにしたなど
様々だが、長くなるので割愛する。

多くの場合、一ツ葉タゴという木がナンジャモンジャだが、
楡や犬桜、菩提樹など、各地にナンジャモンジャの木がある。

木に物の怪が住んでいたのか、
木自体が物の怪だったのかなど、説話は様々だが、
各地のナンジャモンジャを巡り歩く旅も面白そうだ。

なお、まのもの(魔物)、けのもの(化物、怪物、獣)など、
モノというのは妖を指す言葉である。
沖縄で言うところのマジムン、ケンムンのムンもモノである。

それはそうと、ロシア生まれの
不思議なキャラクターの描かれたカードに
それぞれ名前をつけ、名前を憶えて誰よりも早く
呼ぶというコミュニケーションゲームがある。

その邦題がナンジャモンジャなのだが、
幼児からお年寄りまで楽しめる素敵なゲームなので、
人の集まる機会があったらぜひ導入してみてほしい。

2018年5月29日火曜日

ウェルウィッチア

ナミブ砂漠にのみ分布する奇妙な植物である。

本邦では砂漠万年青や奇想天外とも呼ばれる。
奇想天外とはあまりの言い草ではないだろうか。

塊状の茎を持ち、二枚だけの葉を持つ。
この葉の長さが尋常ではない。

なんと土俵の直径ほども伸びるのだ。
片方の葉だけである。
両方とも伸びるので全長は凄まじい。

だが、実際には曲がりくねって
茎の周囲に留まるため、
そこまで大きくは感じない。

また、葉が二枚しかないようにも見えない。
これは月日と共に葉が裂けていき、
周囲に溜まっていくためである。

根はなんとバスの全長ほどにまでなり、
水を求め地下深くに伸びてゆく。
砂漠ならではの特性だろう。

砂漠という過酷な環境に生えていながら、
寿命はとてつもなく長い。

確認されているだけでも、紀元前後に
発生したと推定される個体が存在する。
もっと古いものもあるかもしれない。

しかし、古いウェルウィッチアは見つかるのだが、
新しい若いものは見当たらないという。

一説によると、ある時期を境に地下水の層が
より深い位置まで下がってしまい、
新しい株は根が水に届く前に
枯れるようになってしまったそうだ。

なお、この植物の種を採取し、
乾燥地帯ではない場所で育てると、
印象の違う姿に成長する。

本邦でも園芸用に栽培している者は
少なくないようだ。

もしかすると、本来は砂漠の植物では
なかったのかもしれない。

2018年5月28日月曜日

タイム

立麝香草とも呼ばれるハーブである。

薬草として歴史があり、
抗菌防腐効果を持つため、
エジプトにおけるミイラ保存にも用いられた。

ギリシアでは浴室や神殿をタイムの煙で燻し、
カビを予防したとも伝えられている。

ゼグレート、消化不良、痙攣に効能があり、
利尿作用や強壮作用も期待できる。

タイムのハーブティーでうがいをすることで、
風邪の菌やウイルスを殺せるともいう。

また、効果は立証されていないが、
自律神経を整える働きを持ち、
その香りは悪夢を払うとされた。

膝丈ぐらいまでの低木で、
紫やピンクの小さな花をいくつもつける。

暑さにも寒さにも乾燥にも強いが、
高い湿度には弱い。

繁殖力が旺盛で、枝から増やすこともできる。
枝を折って地面に置いておくだけで、
そこから根が伸びて繁茂するのだ。

なお、古代バビロニアには既に
この植物の栽培法を記した園芸書が存在した。

香辛料としてはぴりっとした爽やかな香りを活かし、
スープの香り付けや魚の臭み消しとして
ヨーロッパからアラビアにかけて利用されてきた。

最もよく知られた利用法はブーケガルニだろう。
ローズマリーローレルと共に主原料となっている。

新大陸にも持ち込まれており、
カリブ料理やケイジャン料理、
クレオール料理でよく用いられる。
クラムチャウダーには欠かせない。

本邦にも息吹麝香草というタイムの一種が自生しているが、
香辛料としての利用については寡聞にして知らない。

ところでタイムはその清々しい香りから、
人間の力を高めるとされてきた。
勇気のシンボルであり、ローマの兵士たちは
出陣の前にタイムを浸した水を浴びていた。

中世ヨーロッパにもその名残があり、
貴婦人がタイムの小枝を縫い付けたスカーフを
騎士たちに贈ったという。

2018年5月27日日曜日

ローレル

月桂樹とも呼ばれる地中海地域の樹木である。

ギリシア神話においては、太陽神に馬鹿にされた愛の神が
報復のために太陽神の恋心をかきたてたせいで
被害を受けた精霊ダプネが変じたものだとされている。

太陽神アポロンはダプネを忘れられず、
彼女が変じた月桂樹の枝を身に付け続けたという。

さて、アポロンの祭典であるピューティアの大祭において、
音楽演奏と詩歌の腕が競われ、
その勝者には月桂樹の冠が贈られていた。

卓越した詩人に贈られる月桂冠だが、
やがては勝利のシンボルともなり、
ローマ時代には闘技会の優秀者にも与えられた。

ローレルは楠の仲間で木材としても用いられるが、
幹は太くなりにくいため、
大きなものは比較的高価である。

葉は薬草や香辛料として用いられ、
樟脳を薄くしたような香りである。

清涼感をもたらすとともに、
肉などの臭みを消す目的で使用され、
特に煮込み料理で好まれる。

ただし、長時間煮てしまうと汁に苦味が移るため、
使用に際しては少しコツがいる。

薬草としては食欲の増進や消化の助けとなり、
民間伝承ではあるが肝臓にも良いとされる。

なお、ベイリーフというよく似た香草が存在する。

ベイリーフとローレルは一部において混同されており、
ローレルの名で売られてしまっているベイリーフもある。

インドでカシアと呼ばれているベイリーフは
スープ類には向いていないので、
購入の際には注意が必要だ。

ちなみにベイリーフは葉脈が縦に走っており、
ローレルは横にいくつも並んでいる。

乾燥させたものを砕いて瓶詰にしている場合、
香りも嗅げず見分けるのは困難なので、
本当に迷惑な勘違いである。

2018年5月26日土曜日

ローズマリー

迷迭香とも呼ばれるシソの仲間の植物である。

古来、香草や香辛料として愛好されており、
その強い香りから魔除けとしても利用された。

名前はラテン語の「海の雫」に由来し、
これは青紫の花の色から名付けられたという。

キリスト教が台頭すると、
ヨシュアの母マリアと関連付けられ、
神聖なハーブとして扱われた。

樟脳のようなややツンとくる香りを持ち、
この匂いは虫が嫌う。

私も鉢植えで育てているが、
虫が寄らないので手間がかからない。

薬草としても用いられており、
炎症抑制やウイルスへの感染防止に
効果があるとされる。

ヨーロッパのペスト大流行時には、
病気の原因は悪い空気だと考えられたため、
このローズマリーの香りによって
それを払拭しようと試みられた。

気休め程度だが、ある程度の効果は
あったものと思われる。

香辛料としての利用では、
肉を焼く際にまぶしたり
刺し込んだりするのが効果的で、
油をさっぱりさせてくれる。

花は食用であり、爽やかな香りを持つので、
肉料理の薬味感覚で使うのがいいだろう。

ただし、花の咲く時期がよくわかっておらず、
栄養状態が悪化した際に子孫を残すために
花をつけるという説もある。
このため、計画的に花や種を得るのが難しい。

飲料水に枝を浸し、爽やかな香りを付けることも多く、
やはり肉料理とよく合う。

香水も人気があり、
特に加齢臭を抑えるのに役立つため、
男性向きの香りと言える。

ローズマリー入りの石鹸なども
試してみるといいだろう。

2018年5月25日金曜日

セロリ

芹の仲間の野菜だ。
セロリとセリの名が似ているのは偶然である。

野菜として食べられるようになったのは
近代に入ってからの事で、
それ以前は薬草や香辛料として用いられていた。

古代においては、その香りに呪術的な効能を求め、
祭礼用の飾りとされていたという。

薬草としては、胃潰瘍の緩和、
利尿、浄血、血圧低下、鎮静、痙攣止めなど、
幅広く効用が認められている。

長期的に摂取することで、
眩暈や頭痛を抑えるとも言われており、
自律神経の失調にも効果があるらしい。

また、干した葉を湯船に浸すことで、
血行促進、疲労回復効果のある入浴剤ともなる。

ただし、種には刺激の強い成分が含まれており、
種や、そこから精製した油の摂取は
流産や早産の危険性を高めるとされる。

昔からその強い香りによって
肉、特にレバーなどの臭みを消すために使われた。
また、スープやシチューにも好んで使われる。

ブーケガルニと呼ばれるタイムローレルなどと
混合した香辛料は、スープの材料として
そこそこの知名度があると思う。

葉、茎、根、実とほとんどの部分を
食べることができ、栄養価も高い。

本邦へはオランダ商人によって持ち込まれたが、
その強い香りは受け入れられず、
料理に使われるようになったのは
現代に入ってからである。

加藤清正が半島から持ち帰ったという伝説もあり、
一部地域では清正人参とも呼ばれているが、
これは広東セロリと呼ばれる種類と思われる。

本邦では火を通さずに食べられることが多いが、
その独特の香りから嫌う者が多い。
私は好きだが。

ポトフなど、ヨーロッパ式の煮込み料理に使用すれば、
香りも穏やかとなり、美味しくいただけるだろう。

2018年5月24日木曜日

ズッキーニ

中央アメリカ原産の野菜である。

見た目は暗い色の胡瓜といった風情だが、
南瓜の一種である。

ただし、普段我々が食べている南瓜は西洋南瓜であり、
ズッキーニはペポ南瓜に分類される。

なお、ズッキーニとはイタリア語で
小さな南瓜を意味するズッキーナからきている。

本邦では前述の胡瓜のような形状のものが主流だが、
洋梨形や球形も存在する。
また、色もオレンジや斑入りとバリエーションがある。

南瓜と比べると控えめなものの、
十分体に良いと言える栄養を含んでいる。

調理の際の性質は茄子に似ており、
油を良く吸い食感も良いため、
様々な料理に入れることが可能だ。

皮は硬いが、そのまま食べることができ、
果肉と皮の間に最も栄養が多く含まれているため、
剥かずに食べることを推奨する。

意外なことに生食が可能で、
熱によって破壊される栄養素もあるため
サラダなどに加えるのも良いだろう。

萎れた黄色いチューリップのような花も食用となり、
花弁の中に肉などを詰めて揚げたり
炒めたりして食べる。

ピーマンの肉詰めよりも柔らかく、
香りも強くないと言えば想像しやすいだろうか。
ロールキャベツにも似ているかもしれない。

成りかけの果実が付いた花ズッキーニは
一度に二つの食感を味わうこともでき、
非常に美味である。

ただし、イタリアではほとんどの場合、
雄花のみを食用とする。

恐らく雌花を食べてしまえば
本命の果実を収穫することができないからだろう。

2018年5月23日水曜日

カワラバト

くるっぽーと鳴く。

鳩の仲間は数多いが、本邦の街中で目にするのは
河原鳩と名付けられた種類である。
だが、この名はいささか馴染みが無い。

多くの場合はドバトと呼ばれているが、
これは元々塔鳩と呼ばれていたものが、
堂鳩となり、土鳩へと変化したものである。

本来は西方の乾燥地帯に生息する鳥であったが、
伝書鳩としての利用や、食用のために飼育され、
世界各地に広まっていった。

かつては本邦でも食用のため狩られていたが、
明治期に伝書鳩を保護するため
狩猟禁止となった。

なお、江戸時代に相場情報を素早く伝えるため
伝書鳩を利用した商人がいたが、
幕府はこれを不法な投機であると見做し、
処罰したと言われている。

実際、伝書鳩は軍用として重宝されたもので、
電波が利用されるようになるまでは、
最も速い通信手段であった。

さて、春から初夏にかけて、
ポーポーッポポー、ポーポーッポポーという
リズミカルな鳴き声を聞いたことはないだろうか。

何の音なのかと不思議がる人も多いが、
あれは鳩の鳴き声である。

ただし、ドバトではない。
キジバトという別の鳩である。

キジバトは本邦土着の鳩であり、
茶色い体に鱗状の模様がある。

ドバトに話を戻そう。
本邦では古くから神の使い、特に八幡神の使いとして
ドバトを大切にしてきた歴史がある。

しかし、近年ではその糞に含まれるカビやウイルス
問題となっており、空飛ぶドブネズミとまで呼ばれている。

実際、ドバトによる被害は少なくなく、
駆除したいところだが、彼らは法に保護されており、
傷付けることは禁止されている。

また、よく餌を与えている人物を見掛ける。
ドバトは繁殖力が高く、栄養状態が良いと、
一年の間に何度も卵を産んでしまう。

このため数が増え、前述の問題が
深刻化しているという現実もある。

鳩に餌を与えないでくださいという張り紙の前で
鳩が食べきれないほどのパンくずを撒く人々は
一体何を思って行動しているのだろうか。

2018年5月22日火曜日

南瓜

オレンジ色の果肉を持ち、
火を通すとほくほくとした食感と
甘みを楽しむことのできる野菜である。

カボチャという呼び名は実は外来語である。
ポルトガル人が持ち込んだ植物で、
彼らはカンボジアから本邦へ運び込んだ。

このため、カンボジアが訛り、カボチャとなったのだ。

英語ではパンプキンとして知られているが、
これは皮がオレンジ色の品種を指す呼び名である。

我々が普段口にしている緑の皮を持つカボチャは、
スクウォッシュという聞きなれない英語名である。

さて、カンボジアから持ち込まれたと書いたが、
カボチャはインドシナ半島が原産ではない。
中央アメリカに起源を持つ新大陸の植物なのだ。

古くから料理に使われている印象が強いが、
その歴史は意外と浅い。

もっとも、原産地の中央アメリカでは、
主食であるトウモロコシよりも栽培の歴史は長い。

火を通すと甘くなるのは、
でんぷんを糖へと変える酵素を持つためである。

酵素による糖化なので、
じっくりゆっくり火を通した方が甘くなり、
また、貯蔵による熟成でも甘くなる。

種もナッツとして食用にされているが、
本邦ではこれを単体で売っていることは
そう多くないように思う。

種は生薬としても用いられており、
腸内の寄生虫を駆除する、
いわゆる虫下しとして重宝された。

よく知られた風習に冬至にカボチャを
食べるというものがあるが、
実はこれ、明治期以降に普及した習慣である。

迷信の類というよりは、
冬に不足しがちな栄養素を補給しましょう
というニュアンスが近い。

なお、ハロウィンのジャック・オー・ランタンに
使われているパンプキンは、鑑賞用もしくは
飼料用に栽培されているため、
人間が食べてもあまり美味しいものではない。
腐るまで放置されることも多いという。

2018年5月21日月曜日

キュウリウオ

オホーツク海や北太平洋に生息する
胡瓜の匂いのする魚である。

シシャモを一回り大きくしたような魚で、
北海道では食用としてよく流通する。

本州以南でも、子持ちシシャモとして、
売られていることがあり、
シシャモではないためある種の
偽装ではないかという批判もある。

もっとも、シシャモは近縁であるため、
大雑把に言ってしまえば同じ種類の
魚であると言えないこともない。

焼き魚や唐揚げ、干物にして食べられるが、
独特の青臭さが嫌いでなければ、
刺身にしても美味い。

ロシアでも干物がよく食べられており、
寒い海の特産品といった風情がある。

なお、この魚の胡瓜のような匂いは、
胡瓜の持つノナジエナールという成分を
持つことに由来する。

つまり、胡瓜と同じ成分を持つため、
同じ匂いがしているのだ。
似ているのではなく本物であった。

胡瓜の匂いのする魚などと言うと、
世にも珍しい存在のように聞こえるが、
実はよく知られた川魚、鮎もこの
ノナジエナールという成分を持つ。

ワカサギもアユと同じくキュウリウオの仲間だが、
シシャモ同様に胡瓜の匂いはしない。

恐らく、この匂い成分は、
食べている藻類に由来しているのだろう。

2018年5月20日日曜日

胡瓜

胡瓜の字を素直に読むなら こうり だが、
熟すと黄色くなることから黄瓜とも呼ばれていたため、
きゅうり の呼び名が定着した。

原産地はヒマラヤで、本邦へは早い時期に伝来し、
平安時代には栽培されていた。

黄色く熟したものはやや甘いのだが、
満足できる甘さではなく、はっきり言って不味いため、
爽やかさを求めて緑のうちに食べるようになった。

熟した胡瓜は江戸時代の書物において、
瓜の中で最も低質なものと書かれており、
食べるべからずとまで酷評されている。

香りはノナジエナールという成分に由来しており、
その独特な臭気を嫌う者も少なからずいる。

ほとんどが水分であり、
含まれる栄養素も極めて低いが、
歯ごたえとすっきりとした食感から、
暑い時期や地域において大変好まれる。

若干ではあるが利尿作用と血圧を下げる効能があり、
体内の熱を下げたり、アルコールの代謝を促す
働きも期待できないわけではない。

現在では通年収穫されているが、
元々は夏野菜の代表格であり、
実際に夏に食べるととても美味しい野菜である。

ところで、胡瓜といえば河童の好物である。
なぜ彼らが胡瓜を好きなのか、
その由来は様々な伝説となっているが、
これといった決め手はない。

恐らく、数多の伝承が混じった結果だと思うのだが、
長くなるので割愛する。

河童は代表的な妖怪として知られているが、
その成り立ちが複雑すぎて、
簡単に説明することは不可能である。

もしも、妖怪好きを自称する者が、
河童とはこうであると断言するようであれば、
その人物が持つという妖怪知識は、もしかしたら
少し疑ってかかった方が良いかもしれない。

2018年5月19日土曜日

グラジオラス

連なった花が剣のようだとして、
ラテン語で剣を意味するグラディウスから
名付けられた植物である。

グラディウスとは剣全般を意味する言葉であったが、
特定の形状の剣の名前でもある。

ローマの名将、大スキピオのイスパニア遠征の際に
現地で使われていた剣が大層切れ味が良いと評判になった。

一般的な剣と比べて幅が広く、刃渡りの短いその剣は、
軟鉄と銑鉄を巧みに組み合わせて造られており、
当時の武器としては恐るべき切れ味を誇っていたという。

このイスパニア式の剣は、やがてローマ軍の制式装備となり、
剣を意味するグラディウスという言葉は、
この形式の剣の名称へと変わっていった。

時期によって変遷はあるが、一般的なローマ兵は、
スクトゥムと呼ばれる大きな楕円形の盾と、
ピルムという名の投げ槍を使用していた。

鎧はロリカと呼ばれ、最も知られているのは
セグメンタータというラメラーである。

投げ槍を放った後はグラディウスで白兵戦に臨んだのだが、
マケドニアでの戦いの際には、この剣の
あまりの切れ味の良さに敵兵は戦慄したという。

武具の話はいい加減この辺りで切り上げて、
本題のはずの花に話を移そう。

本邦ではオランダ菖蒲とも呼ばれていることからもわかるように、
アヤメの仲間の植物である。

花色は様々であり、非常に多彩な品種が流通しているが、
特に赤、白、黄色が人気のようだ。

花には蜜が蓄えられており、それを吸うことも可能なため、
子供たちのおやつとして扱われている地域もある。

栽培の際は春に球根を植え、真夏には早くも開花を迎える。
種で増やすこともできないわけではないが、
園芸では球根から増やすのが普通だ。

本邦へは江戸期に伝来したが、
栽培方法が確立できず、一度は途絶え、
明治になって再び持ち込まれた。

唐菖蒲と呼ばれることもあるのは、
江戸期に外国から伝わったことに因むのだろう。

なお、花言葉は「忘却」である。

もっとも、花言葉というものは時代や地域によって
言っていることがまちまちであり、
誰かが勝手に増やしているのではないかという疑いすらある。
あまり気にする必要はないだろう。

2018年5月18日金曜日

ビスマス

古くから鉛やと混同されてきた金属である。
名前はドイツ語の白い塊に由来する。

単体では淡く赤みがかった銀白色の
脆く柔らかい半金属で、
液体時より固体時の方が体積が大きい。

燐や砒素、アンチモンと同じ系列の元素だが、
毒性は無いどころか整腸剤に使われている。

本邦では蒼鉛と呼ばれていたが、
これは輝蒼鉛鉱という青みがかった
鉱物として産出するためである。

昔の人々はこれを鉛鉱石だと考え、
鉛を精錬しようとして果たされず、
首を傾げたことだろう。

本邦では足尾銅山などで副産物として採掘され、
ビスマス単体の鉱山は発見されていない。

融点が低く、毒性が無いことから、
はんだ における鉛の代替品とされる。

超伝導物質として用いられる他、
重さを活かした用途も見出されている。

また、ウッド合金のような低い温度で
融解することに意味を持つ合金にも使われている。

もっとも、コーヒーの温度で溶け、
しかも毒性のあるウッド合金が
何の役に立つのか私は寡聞にして知らない。

さて、ビスマスには鑑賞用という
変わった使い方も存在する。

ビスマス人工結晶と呼ばれるものがそれだが、
衝撃的な美しさを誇る。

骸晶と呼ばれる特徴的な形状は、
古代文明の遺跡かと思わせるような構造物であり、
規則正しく並んだ方形にはうっとりとしてしまう。

だが、なにより特徴的なのはその色である。

ビスマスの表面は酸化により皮膜ができるのだが、
この皮膜はなんと虹色に輝く。

不思議な構造に煌く虹色。
初めて見た時には異世界の物質か何か
だと思うかもしれない。

実はこの人工結晶、ご家庭のコンロと
フライパンで簡単に作ることができる。

ただし、ビスマスは比較的高価な金属である。
飾って満足の出来る大きさの結晶を作ろうと思ったならば、
良い酒が買えるだけの金額が必要になる。

2018年5月17日木曜日

パセリ

セリの仲間の香草である。
芹とパセリの名が似ているのは偶然である。

地中海原産の植物だが、
近縁のものは世界中に存在する。
例えばパクチーとして知られる植物がそれだ。

好みの分かれる独特の味と香りを持つが、
ローマ時代より香草として用いられており、
一説によると最も消費量の多いハーブだという。

肉や魚の生臭さを消す効果が高いため、
乾燥させ粉末として香辛料として用いたり、
火を通して独特の香りを抑えてから食べる。

本邦では料理の付け合わせとして
生のまま供されることがほとんどだが、
あまり好まれず、添え物と考え食べない者が多い。

しかし、野菜の中でも最高峰の栄養価を誇り、
不足しがちな栄養を補完してくれる。
なので私はなるべく食べるようにしている。

時折、パセリには毒があるという話を聞く。

確かに刺激の強い成分を含んでいるが、
パセリばかりをもりもり食べるようなことでも
しない限りは問題ない。

ただし、例外がある。
妊娠中はあまり食べない方が良い。

というのも、パセリに含まれる成分によって、
流産してしまう可能性があるからだ。

古くは堕胎薬の材料にもされており、
効果は証明されている。

香り付け程度に入っているものまで
神経質に取り除く必要は無いが、
念のため添え物を食べるのは避けるのがいいだろう。

妊婦でさえなければ、女性の月のものを
安定させる効果も期待できる。

老若男女を問わず是非食べて欲しい。

2018年5月16日水曜日

カカオ

神の食べ物と呼ばれた植物である。

中央アメリカ原産のこの植物は、
オルメカ文明の頃から
人の手によって栽培されてきた。

白い房が垂れ下がるように咲く花のうち、
受粉したものが両手の平ほどの大きさの実をつける。
実は緑か黄色か赤で楕円形をしている。

この楕円形の実はチョコレートのパッケージに
よく描かれているので知名度が高いだろう。

実の中には結構な数の種が塊となって詰まっており、
この種がいわゆるカカオ豆と呼ばれるものだ。

カカオ豆は塊のまま数日発酵させ、
ひとつひとつの豆に分離する。

その後、粉に挽くなどして、
カカオパウダーやカカオバターが精製される。

マヤやアステカでこの食べ物は神聖視されていた。
通貨としても使われていた形跡がある。

カカオをヨーロッパに紹介したのは
クリストバル・コロンだとされているが、
当時はその利用法が知られておらず、
変わった形の植物としか認識されていなかった。

その後、エルナン・コルテスが飲料の製法と共に持ち帰り、
砂糖や香辛料を加えたものが愛されるようになった。

アメリカ大陸では刺激のある香辛料を加えて
飲まれていたが、ヨーロッパ人は砂糖を入れた
ショコラドリンクに夢中となった。

収穫量を増やすため、
人々はカカオをアフリカでも栽培するようになり、
近代には東南アジアでも作られるようになった。

ただし、高温多湿で規則的な降雨、
そして水はけの良い土壌が必要な性質を持つため、
栽培可能な地域は限られている。

また、小さな苗のうちは日陰で育てなければならない。
この性質のせいでプランテーションによる大量栽培は難しい。

バナナと共に育てると、その葉が丁度良い影を作るという。
このため、複数の作物を作る小規模農家の
強い味方とも言われている。

コーヒー紅茶と並んで砂糖の生産及び流通を
後押しした歴史を持つカカオだが、
現在も先物市場の投機対象とされており、
世界経済に影響を与えている。

2018年5月15日火曜日

コーヒー

茉莉花のような芳香を持つ白い花を咲かせる低木である。
果実は赤く、甘みがある。

覚醒作用、解熱鎮痛作用、強心作用、利尿作用を
持つ成分を含んでおり、特に眠気覚ましとして、
種子を焙煎して煮出した飲料が用いられる。

飲料は黒に近い茶色をしており、香り高い。
味は苦味が強く、若干の酸味を持つが、
これは品種や淹れ方によっても変わってくる。

若い頃に西洋人の知り合いから
この国のコーヒーは何故酸味が強いのかと
訊ねられたことがある。

当時はコーヒー党ではなく、
知識も持ち合わせていなかったため、
違いがあるとは知らなかったと答えたが、
今なら説明ができる。

好まれる品種が異なるというのもあるが、
これはの違いによるものである。

一般的に硬水で淹れたコーヒーは
苦味とコクが強く出るが味わいは少々大雑把になる。
対して軟水で淹れたコーヒーは苦味が抑えられ、
酸味やその他の味わいが色濃く出ることになる。

本邦の水は軟水であり、
ヨーロッパの多くの地域の水は硬水である。
よって、本邦のコーヒーは酸味が強く感じられたのだろう。

さて、エチオピア原産のコーヒーはサラセン人が
十字軍に悩まされていた時代になってようやく
焙煎して煮出す飲み方が見出された。

ヨーロッパへはオスマン帝国を通じて知られるようになり、
砂糖の普及と共に爆発的に広まっていった。

抽出法も、トルコ人が飲んでいた挽いた豆を煮出し、
上澄みだけを飲むやり方から次第に進化していく。

フランス人が布で濾す方法を考案し、
更には漏斗を利用したパーコレータを生み出す。
そしてドイツ人がサイフォンを発明すると、
イタリア人はエスプレッソマシンを作り出した。

布で濾す方法も紙を使用するようになり、
現代ではごく簡単にコーヒーを味わうことができる。

紙と言えば、茶やコーヒーのような
書かねばならぬ情報が多すぎる記事では
圧倒的に紙面が不足する。

甚だ不本意ではあるが、
コーヒーの紹介はこのぐらいにしておこう。

2018年5月14日月曜日

茶は古来よりを浄化する薬草として用いられてきた。

含まれる殺菌成分により、きれいではない水を
飲むことができるようになるためだ。

苦味をありがたがるのはチャイナや本邦など一部地域で、
大抵は乳や蜂蜜を加えて飲みやすくする。

蜂蜜は高級品であり、身分の高い者や金持ちが使用していたが、
砂糖が安価かつ安定的に供給されるようになると、
誰でも気軽に甘い茶を楽しむことができるようになった。

砂糖による革命である。
茶の存在が砂糖の需要を後押ししていった。

私は昔、アラビアでグリーンティーを出された際に、
ミルクと砂糖をどうするか訊ねられたことがある。

内心、馬鹿なと思いながらストレートで頼んだところ、
出てきたものを一口飲んで後悔した。

水が違うのだろう。
茶の木が生育するための水、茶を淹れる際に使った水。
それらの影響で茶の味は別物になってしまうのだ。

繰り返しになるが、本来の茶は、飲めない水を
飲めるようにするための薬草なのだ。

なお、アルコールを避ける地域では酒のように茶を飲む。
茶を多く飲むほど男らしいとされる土地もあるようだ。

サラセン人は酒を飲まないが、宴会の際には
男だけで茶やコーヒーを飲みながら蜂蜜菓子に興じる。
文化が違うのだ。

チャイナ、そして本邦では茶は独特な地位を獲得した。
特に本邦では水が清浄なため、
本来の目的は用を成さない。
純粋な嗜好品として文化の一部となっていった。

茶は葉を摘んだ後、乾燥させて保存するが、
この際に発酵させることで、
緑茶から紅茶や烏龍茶へと変貌する。

紅茶は茶をイングランドへ船で輸送する際に、
意図せず発酵してしまったことで誕生したという。

イングランド人の茶好きは有名だが、
流行の始めの頃は偽物が横行したという。
一般庶民の口に本物は入らなかったのだ。

本邦でも茶は身分ある者の飲み物だった。
水呑み百姓という言葉からも窺い知れる。

茶については世界中に独自の文化があるため、
いくら書いても書ききれない。
ここでは紹介程度に留めておこう。

2018年5月13日日曜日

サトウキビ

甘い汁を生み出す背の高い草である。
幹は堅く立派に成長する。

古い書物にはミツバチの力を借りずに
糖蜜を生み出す奇跡の植物と書かれている。

この植物の汁を絞り、乾燥させると砂糖ができる。
人間は甘いものを食べると幸せを感じるため、
砂糖を手に入れるために様々な努力をしてきた。

サトウキビの原産地は東南アジアとも
インドとも言われている。

本邦には鑑真の手によって伝来したが、
多くの陽光と一定以上の気温が必要なため、
栽培できる地域は限られていた。

西方へはアレクサンドロス大王の
インド遠征を契機に伝播したという。

その後、ペルシアをサラセン人が
征服したことで更に西進。
製糖技術もこの頃に発達したものだ。

サラセン人はイベリア半島でも
サトウキビ栽培を行っていたのだが、
ヨーロッパ人によってイベリアが再征服されると、
彼らにも栽培と製糖の技術が伝わった。

ヨーロッパの科学は元はと言えば
サラセン人の科学なのだ。

砂糖はアジアの、アラビアのコーヒー
新大陸のカカオといった嗜好品と共に
需要がぐんぐんと増大していった。
その需要量は現代においても増加し続けている。

始まりの頃、砂糖は薬として扱われており、
薬品商によって流通していたという。

しかし、莫大な利益を生み出す砂糖は
それを専門に売買する商人を誕生させ、
彼らの資金は大航海時代の原動力となった。

マデイラカナリアスなどで生産されていた砂糖は、
新大陸の発見によりその栽培規模が拡大していく。

サトウキビの汁は絞ってから時間が経つと、
酵素によって分解され甘みを失ってしまう。
このため、短期間で作業工程を進めなければならない。

そこで活用されたのがアフリカから商品として
入ってきた奴隷たちである。

ヨーロッパ人はアフリカで奴隷を買い付け、
新大陸でそれを売って砂糖を購入、
国へ帰り砂糖を売り捌いたのだ。

砂糖と新大陸の銀によって生み出された資本は、
ヨーロッパの商業を急激に成長させ、
資本主義経済を形成していくことになる。

ところで、サトウキビの利用は砂糖だけに留まらない。
糖分を抜き取った後の汁は廃糖蜜と呼ばれ、
そこからアルコールを作り出している。

このアルコールはラム酒や焼酎という形で作られるが、
純度を高めて燃料とされるケースも多い。

バイオマス燃料などと呼ばれ、
サトウキビの需要を押し上げている原因でもある。
近年は燃料研究が盛んとなり価格の高騰を招いているという。

また、汁の搾りかすにも利用法がある。
紙の素材や、化学製品の溶剤、蝋などが作り出される。
なんと有益な植物だろうか。

なお、産地では幹をそのまま食したり、
汁をそのまま料理に使うこともある。
やや酸味があるのが特徴的だ。

果実、蜂蜜、麦芽糖、サトウキビ、テンサイ、
そして合成甘味料と、甘味の進化は続いている。

2018年5月12日土曜日

ドウケツペンギン

巨大な白いペンギンである。
正しくはアンタクティカドウケツペンギンと言う。

南極大陸の内陸に巨大な山脈がある。
その山脈にはいくつもの洞窟が口を開けており、
内部で繋がり複雑な構造をしている。

このペンギンは、そうした洞窟に暮らしており、
暗闇の中で生きてきた。

ミスカトニック大学の探検隊によって発見された
このペンギンの大きさは成人男性の背丈を超え、
見上げるほどだったという。もはや怪物である。

日の差さない環境に適応した結果、
目は退化し小さく、ほとんど見えない。
また、全身が真っ白である。

あまり動くことなく洞窟内でじっとしているらしい。
ショッゴスの排泄物や老廃物を食べながら、
省エネルギーな生き方をしているようだ。

時折ショッゴスに捕食されているようで、
洞窟内には古い骨が散乱していたという。

ある教授はショッゴスは意図的にこのペンギンの
近くで排泄を行い、彼らに食料を
提供していると推測している。

つまり、家畜を育てるように
ペンギンを太らせてからいただくというのだ。

ショッゴスの知能がどれほどであるかは
議論の余地があるが、
この説が事実だとすると相当高いに違いない。

ショッゴスの話はともかくとして、
ドウケツペンギンはかなり古い時代、
まだ南極大陸が暖かかった時代に
大陸内部へ移り住んだとされる。

その後の気候変動に伴い外界から隔離され、
独自の進化の道を歩んだのだ。

暗闇の世界で彼らが生き残れたのは
幾つもの偶然が重なってのことだろう。

2018年5月11日金曜日

ノルデンショルトペンギン

太古の昔に絶滅した非常に大きなペンギンである。

正しくはノルデンショルトジャイアントペンギンという。
また、アンスロポルニスの名で呼ばれることも多い。

その体長は人間の成人男性にも匹敵する。
正直、想像し難い大きさだ。

化石は南極大陸周辺の島々や、オーストラリア、
ニュージーランドで見つかっている。

恐らくは、恐竜が生きていた時代から
存在したのだと思われ、
その後の気候変動をある程度生き延びた。

だが、寒冷化にはよく適応したものの、
それが仇となってその後の温暖化には
耐えられなかったようだ。

ところでペンギンが白黒模様な理由を考えてみたい。
彼らは背が黒く腹が白い。

海中から彼らを見上げた場合、
白い腹は明るい水面に溶け込むだろう。

上空から見下ろした場合、
黒い背中は暗い水面に溶け込むだろう。

カウンターシェイディングという迷彩である。

魚や、海軍の飛行機でよく見るカラーリングで、
敵からの識別を困難にさせる。

ところが、近年の研究によると、
古代のペンギンは白黒模様では
なかった可能性があるというのだ。

一体どんな色をしていたのかまでは分からないが、
マカロニペンギンの眉毛のように、
目立つカラフルな色彩だったのかもしれない。

2018年5月10日木曜日

エンペラーペンギン

ペンギン最大だと思われていた王様ペンギンより
大きいペンギンである。
彼らは皇帝ペンギンと名付けられた。

その身長は人間の成人男性の腹にまで届く。
実際に間近で見るとその大きさに驚くだろう。

というのも、知名度はエンペラーペンギンの方が高いが、
水族館などで目にするのはキングペンギンである。
キングペンギンの大きさがイメージの元となっているのだ。

南極で生まれ、南極で育つその姿は、
他のペンギンと比べてよりドラマチックである。

他のペンギンよりもより内陸に住むため、
猛烈な吹雪と低気温の中を生き抜かねばならないのだ。

例えば、両親が採餌係と抱卵係を交代する際、
足の上に乗せたヒナを受け渡す必要がある。
だが、落としてしまったり時間をかけすぎると、
ヒナはあっという間に寒さで死んでしまう。

非常に過酷な環境で子育てをしているのだ。

彼らは生きるためにハドルと呼ばれる陣形を組む。
皆で同じ方を向いて密集し、
小刻みに前進する。

これを円を描くように行い、
常に互いを温め合うようにしている。
吹雪の中で体温を維持するにはこれしかないのだろう。

ハドルを組む関係上、縄張り意識は皆無で、
仲間同士の喧嘩も滅多にない。
非常に温和なペンギンだ。

抱卵は想像を絶する苦行である。
他の南極大陸で繁殖するペンギン同様に、
オスは長期間の絶食に耐えなければならない。

ヒナは他のペンギンとは一線を画す見た目をしている。
頭は白黒の模様であり、首から下は灰色だ。
人気があるのでイラストを見たことがあるだろう。

ある程度の大きさに育つと、彼らはヒナの集団、
クレイシを組み海を目指す。
氷山、クレバス、アザラシ、道中は危険に満ちている。

子供を失った親は、他所の子供を
自分の子供にして育てようとする。
この性質は親を失った子供の生存を助けるが、
エンペラーペンギンの数少ない争いの種となる。

親のいる子供を誘拐しようとするのだから、
奪われる方はたまったものではない。

なお、彼らは鳴き声をよく聞き分ける。
集団の中、パートナーや子供を見分ける際に、
その声を頼りにしているのだ。

我々人間には同じ鳴き声に聞こえるが、
微かな音紋の違いを敏感に察知することができるのだ。

2018年5月9日水曜日

キングペンギン

かなり大柄な南極大陸周辺に住むペンギンである。

王様ペンギンと呼ばれるのは、
他のペンギンたちよりも大きく、
ゆったりと動くためである。

下くちばし、胸元、後頭部脇の辺りが
オレンジ色をしており、
頭は黒いが他の部分は灰色に近い。

イワシを好むが、いない場合はイカやタコを食べる。
イワシも頭足類もいない場合は甲殻類を食べる。
好みがはっきりしたグルメのようだ。

キングペンギンはコロニー内では
あまり歩き回らないが、その分
隣近所とのちょっとした喧嘩が絶えない。

巣は作らないにも関わらず
縄張りの概念があるようだ。

トランペットのようと評される鳴き声が特徴的で、
朗々と響くその声は優雅ですらある。

餌を獲りに海へ行く際には、
列を作って礼儀正しく歩く。
御出勤といった風情である。

大人の礼儀正しさと比べると、
ヒナは少々粗暴である。

ヒナは茶色く、大人よりも一回り大きい。
体長はそう変わらないのだが、
横幅が太いのだ。

ヒナの集まり、クレイシでは喧嘩が絶えず、
隙あらば自分が生き残るために
他のヒナを出し抜こうとする。

そうした争いを勝ち抜いたからこそ、
大人になってからは悠然とした態度を
とれるのかもしれない。

なお、キングペンギン族は
卵を年にひとつしか産まない。
そのひとつを大切に育てるのだ。

氷の大地に触れぬよう、卵は親の足の上に乗せられる。
そこにお腹がかぶさり、寒さから守られるのだ。

しかし、ヒナがある程度育つと、
一転して放任主義に変わる。

泰然自若としているように見えながら、
意外と複雑な内面を持っているのかもしれない。

2018年5月8日火曜日

ジェンツーペンギン

最も活発に走り回るペンギンである。

だが、別名のオンジュンペンギンは温順、
つまり温和で従順な性格という意味である。
ペンギンの中ではかなりやんちゃな奴なのだが。

ジェンツーとはポルトガル語で異教徒を意味する
言葉に由来した名前である。

目の周りから頭頂部を通って
白い帯が半周しているのだが、
これをターバンに見立てたのだろう。

大変好奇心が旺盛で、移り気である。

同じアデリー族の他の二種が大人しいことを考えると
何故ジェンツーだけがこれほど落ち着きがないのかと
不思議に思えるほどだ。

その自由気ままな姿は水族館でも十全に発揮され、
人気を博している。

アデリーペンギン族の特徴として、
巣材の小石を他の巣から盗み出すというものがあるのだが、
ジェンツーペンギンの場合はそれが少々雑である。

一応こっそりとは近付くのだが、
小石をくわえたらもう隠れることなど忘れてしまう。
一個目、二個目ぐらいまでは慎重に行くのだが、
次第に堂々と取りに行くようになるのだ。

時には留守の巣を乗っ取ってしまうこともある。
ふてぶてしいのだ。

急にテンションが上がって走り回ることがある。
あっちへ行ったりこっちへ行ったり大忙しだ。

水族館ではよく他の種類のペンギンに
ちょっかいを出してはつつかれている。

自然環境下では南極周辺で暮らしているのだが、
人間がやってくると興味を持って
わらわらと集まって来る。

ひとしきり見慣れぬものをつついた後は、
飽きて三々五々と散って行く。
熱しやすく冷めやすいのかもしれない。

秩序とは無縁な印象を受けるペンギンだが、
何故か海に飛び込む時だけは礼儀正しい。
列を作って順番に海へ入っていく。

地上で走り回る姿からも想像できるが、
最も速く泳ぐペンギンである。
びゅんびゅんと飛ぶように泳ぐ。

好みの餌というものは無く、
獲れるものをとりあえず食べる。
好き嫌いはしない方なのだ。

海から上がる時も一斉に飛び上がる。
どういうわけか海の出入りだけは
秩序立っている。

一方、他の種類よりも鳴き方に
バリエーションがあるせいか、
コロニーはいつも騒がしい。

結婚生活は堅実で、離婚率が低いのだが、
愛情を示すために頻繁に鳴き交わしている
お陰かもしれない。

私はジェンツーペンギンが一番好きだ。
優美な顔つきと、見ていて飽きない行動が魅力である。

2018年5月7日月曜日

ヒゲペンギン

アゴヒモペンギンとも呼ばれる
アデリー族のややマイナーなペンギンである。

顔が白く、目の周りだけ黒い。
耳の辺りから顎に掛けて黒い筋が回っている。

この黒い筋がヒゲやヘルメットの緒に
見えることからこの名で呼ばれている。

個人的にはあまりヒゲに見えないため、
アゴヒモペンギンの方がしっくりくる。
むしろヘルメットペンギンと呼びたい。

ヒゲペンギンは南極大陸の周辺に生息している。
多くのペンギン同様、岩場にたむろする。

あまり鳴かないが、その声は奇妙な唸り声と言われる。
また、雄鶏のような鳴き声も上げる。

すべてのペンギンの中でもかなり上品な部類で、
大人しく、それでいて人懐っこい。

だが、巣を作る時にだけは大胆になる。
小石を集めて巣材とするのだが、
他所の巣にこっそりと忍び寄り、
不在時や後を向いているタイミングを狙って盗み取るのだ。

南極周辺は小石が少なくない。
集めようと思えば簡単に集められるのだが、
彼らは横着をしたがる。

ただし、これはヒゲペンギンだけの特性ではなく、
アデリー族全体の趣味嗜好である。
その中でもヒゲペンギンは最も静かに盗み取る。

ところで、ヒゲペンギンはいまひとつ知名度が低い。
水族館で見られる場所は多くなく、
イラストとして描かれる機会も少ない。

個体数が少ないわけでも生息範囲が狭いわけでもないのに、
何故か世に知られていないのだ。
むしろペンギンの中では多い方であるのだが。

もっとも、静かに暮らしているヒゲペンギンたちにとって、
人間からの人気などどうでもいいことだろう。

2018年5月6日日曜日

アデリーペンギン

驚いたような顔をしたペンギンである。

目の周りが白く、その部分が白眼に見るため、
大変ユニークな見た目をしている。

三種類のアデリーペンギン族の一種で、
南極大陸外縁部に生息している。

南極探検家デュモン・デュルヴィル
によって名付けられたのだが、
アデリーとは彼の妻の名前である。

活発に動くペンギンだがあまり騒がしくはなく、
同じアデリー族のジェンツーペンギンとは対照的だ。
氷雪の中を寡黙に生き抜いているのである。

幸いなことに絶滅の危険性は少なく、
人の手の入らない南極で生を謳歌している。
近年も衛星写真により新たなコロニーが発見された。

調査の進んでいなかったデンジャー群島に生息していた
アデリーペンギンの数はこれまでに見積もられていた
個体数に匹敵するほどであったという。

だが、南極での暮らしは楽なものではない。
放っておけば卵は凍り、ヒナも凍え死ぬ。

父親は絶食しながら卵を温め、
母親が餌を獲りに出かける。
帰りを待つ期間はなんと一ヶ月にも及ぶ。

その期間を耐え忍ぶと、
母親が帰り役割を交代することができる。
以降は短いスパンで交互に抱卵と採餌を繰り返す。

ヒナが産まれてからは幾分楽になるが、
まだ体温調節ができないヒナを温めなければならない。

ヒナはある程度育つと、ヒナだけで集まり
クレイシと呼ばれる集団を形成する。
こうなると、両親は共に餌を獲りに行くことが可能だ。

なお、アデリーペンギンは離婚率が高い。
毎年違うパートナーとつがうのが普通で、
育児中に母親が他所へ行ってしまうことも少なくない。

父親の浮気も多く、巣材に使う石を他のメスから
プレゼントされると簡単に誘惑されてしまうのだ。

だが、こうした無節操さが繁栄につながっているのだろう。
もちろん、南極という特殊な環境に
置かれていればこそであるが。

天敵はアザラシである。
攻撃的なイメージの無いアザラシだが、
採餌のために移動中のアデリーペンギンを狙う。

また、トウゾクカモメは卵を掠め取る。
ヒナが襲われることも少なくない。

南極だからといって天敵から逃れることはできないのだ。

2018年5月5日土曜日

マゼランペンギン

南アメリカ南部に住まう
フンボルトペンギン族のペンギンである。

マゼラン海峡を挟んだ東西で暮らし、
フォークランド諸島にも足を延ばす。

パタゴニアペンギンとも呼ばれるが、
パタゴニア平原に住んでいるわけではない。

ヒナを育てている頃は非常に穏やかなのだが、
早春の恋の時期になると喧嘩ばかりしている。
賑やかで幸せなな暮らしをしているペンギンだ。

ペンギンのヒナは茶色、
もしくは灰色の毛で覆われており、
ピーピーと黄色い声をあげる。
フンボルト族のヒナは灰色である。

ヒナは親の口から胃の内容物を与えられて育ち、
ある程度の大きさになると
ヒナだけで集まって暮らすようになる。
このヒナの集団をクレイシと呼ぶ。

これはペンギンの標準であるが、
種類によってはこの限りではない。
マゼランペンギンの場合、この基本形に忠実である。

卵は普通、二個産み、大抵は一羽のみ成鳥となる。
一部の種類では二個とも必死になって育てるが、
ひとつはスペアと割り切るのがペンギンのスタンダードである。

ペンギンの特徴的な行動の中にトボガンと呼ばれるものがある。
これは雪や氷の上を腹這いになって滑ることを言うのだが、
アメリカ先住民の言葉で小型のそりを指す言葉だ。

観察しているとトボガンが上手い個体と下手な個体がいる。
一生懸命足で漕ぐのだが、前に進まず、
結局立って歩いたりするのだ。可愛い。

また、雪が積もっているのを見ると、
ダイブしてトボガンを始めるが、
うまく雪を掻き分けられずに諦めてしまう場合もある。

そんなペンギンたちだが、海の中に入ると一変する。
水中を飛ぶように泳ぐのだ。
その速度は尋常ではなく、種類によっては
非常に深い所まで潜ることも可能だ。

空を飛ぶことを捨てた鳥ペンギンは、
海を泳ぐことに特化した鳥なのだ。

2018年5月4日金曜日

フンボルトペンギン

ペルビアンペンギンとも呼ばれる
南アメリカ西岸に生息するペンギンである。

名前の通りフンボルトペンギン族であり、
その姿は非常によく知られている。

胸の黒い筋は太く、首は白い。
くちばしの根元はピンク色で、
顔にはくっきりとした白い筋がある。

ガラパゴスペンギン以上に
フンボルト海流の恩恵を受けており、
心地よい気候の中でゆるゆると暮らしている。

ただし、やはりエルニーニョの影響で
数を減らしているようだ。

本邦では大正帝の御代に上野の恩賜動物園へと
寄贈されたのが初上陸である。
これはフンボルトペンギンに限らず、
すべてのペンギンの中で最初の事例である。

また、本邦ではフンボルトペンギンの
繁殖が確立されており、気候が合っていることも
相まって最も多いペンギンとなっている。

一説によると、飼育されているフンボルトペンギンの
一割が本邦にいるとされるほどだ。

自然環境下ではペリカンの仲間と共に岩場で生活している。
このペリカンもまた白黒模様であるため、
遠目では一塊となった彼らを見分けることは難しい。

卵を産む際には浅い穴を掘り巣とするのだが、
穴掘りは意外なほど上手いものである。
ただし、掘っている途中でよくわからなくなり
足がむなしく空中を漕ぐ場面も見受けられる。

そういえば、本邦においてもっとも有名な
フンボルトペンギンは東武動物園にいた
グレープ君だろう。

彼はアニメとのコラボレーション企画で展示されていた
フンボルトペンギンの擬人化少女のパネルに
恋をしてしまったことで知られている。

ペンギンとしてはお年寄りに分類される年齢だった
グレープ君は、老いらくの恋の中、天寿を全うした。

多くのペンギンは二本足で歩く我々人間のことを、
仲間だと誤認する傾向にあるという。

飼育員に求愛ディスプレイを行う例も少なくないため、
グレープ君の恋も決してレアケースとは言えないかもしれない。
ペンギンは愛情豊かな生き物なのだ。

2018年5月3日木曜日

ガラパゴスペンギン

特異な生物が多く住むことで知られる
ガラパゴス諸島でのみ見られるペンギンである。

フンボルト族であり、ケープペンギン
マゼランペンギンフンボルトペンギンと似ている。

他の三種類との見分けは比較的容易である。
違いは、腹の黒い筋が無いことと、顔がほぼ黒いこと、
そして上くちばしが黒く、下くちばしも先端が黒い。

顔に白い筋があるのだが、
他のフンボルト族と比べると目立たない。

さて、ガラパゴス諸島といえば赤道に近い。
なぜそんな場違いな所にペンギンがいるのか。
気温は本邦における真夏のそれである。

知っての通りペンギンは暑さに弱い生き物だ。
彼らがガラパゴスで暮らすことができる理由は海流にある。
寒流であるフンボルト海流が南極から流れ込むことで、
海水温を下げ、かろうじて彼らの暮らしを維持しているのだ。

また、犬のようにあえぐことで
体温を調節する姿も見受けられる。

主食はボラとニシンであるが、小型のものを好んで食べる。
たまに甲殻類を食べる姿も見受けられる。

なお、フンボルト族のペンギンは、
つがいの間でくちばしを鳴らし交わすのだが、
ガラパゴスペンギンのそれは慎ましやかで静かである。
まるで優しくキスをしているようにも見える。

海上でエルニーニョ現象が発生すると、
水温が上昇し、多くのガラパゴスペンギンが死んでしまう。
ダイレクトに影響を受けるのだ。

ガラパゴス諸島の生き物は絶滅しないよう
手厚く保護されているのだが、
このペンギンは確実に数を減らしている。

2018年5月2日水曜日

ケープペンギン

ペンギンと聞いて多くの人が思い浮かべるのは
この種類のペンギンかコウテイペンギンだろう。

ケープペンギンはフンボルトペンギン族の中でも
アフリカ南部に生息する種類である。

アフリカペンギンやブラックフット、
ジャッカスペンギンとも呼ばれる。

ほのぼのとした日常を送る平和なペンギンであり、
おそらく最も幸せそうに見える者たちである。

とはいえ、人間による環境の変化はじわじわと
彼らの生活を脅かしており、
確実にその数を減らしている。

ケープタウンでは街中を歩いていることもあり、
人間との共生ができているように見えるが、
彼らの暮らしを様々な面から圧迫してしまっている。

反面、飼育が容易なペンギンであり、
水族館などでよく見ることができる。

比較的暖かさに耐性を持つことから、
水族館での飼育コストが低いと聞く。

他のフンボルト族のペンギンとの見分けのポイントは、
足が全体的に黒いことと、
アイシャドーのようなピンク色である。

アイシャドーはマゼランペンギンにもあるが、
マゼランペンギンの方がやや色が濃く、
少しだけ下方にずれている。

また、マゼランペンギンとの最大の違いは、
首の黒い帯の有無である。

ケープペンギンの場合、
胸の黒い筋の上には黒い帯が無く白い。
また、マゼランペンギンには腹の斑点が無い。

細かく違いを述べたのには理由がある。
フンボルト族の四種類のペンギンは
いずれもよく似ており、見分けが難しいのだ。

鳴き声はロバのいななきに似ている。
別名のジャッカスペンギンとは、
まぬけなペンギンという意味だが、
このまぬけというニュアンスはロバに由来する。

2018年5月1日火曜日

マカロニペンギン

黄色い眉毛を持つペンギンの種類である。

シュレーター、フィヨルドランド、マカロニ、
イワトビ、ロイヤル、スネアーズの
六種類に分かれている。

シュレーターペンギンは
ニュージーランド東方の孤島に暮らしている。

人間が上陸するのが難しい岩の島であり、
周囲の海流も相まって観察は容易ではない。

フィヨルドランドペンギンは
ニュージーランド南部の西海岸に住む。

一風変わった走り方をするペンギンで、
他の種類と比べ人間への警戒心が強い。

マカロニペンギンはアメリカとアフリカにかけての
南極近海の島々で見ることができる。

生息数は多いのだが、断崖に住んでいるため、
野生のものを目にするのは簡単ではない。
水族館にはよくいる。

イワトビペンギンはインド洋南部と南大西洋の島々に住み、
ピョンピョンと跳ねながらの移動が特徴的だ。

水族館の人気者で、多くの館で飼育されている。
マカロニペンギン族の中でもこのペンギンだけは
独立した記事を書いても良かったかもしれない。

ロイヤルペンギンはオーストラリア南東の
マックォーリー島でのみ繁殖するレアなペンギンである。

この島には特別な許可を受けた者のみが渡航できる。
顔の白い少々ペンギンらしくない面持ちの彼らに会うのは難しい。

スネアーズペンギンはニュージーランドの
スネアーズ諸島の固有種だ。

赤く鋭い眼光が印象的なペンギンで、
岩の海岸への上陸に時間を費やすことで知られる。

以上がマカロニペンギン族である。
いくらなんでも紹介が雑すぎる気もするが、
たまにはこういう日があってもいいだろう。