序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年8月16日金曜日

スズは柔らかい金属である。
よく延び、比較的低い温度で融解する。

潰すのではなく曲げるように力を加えると、
簡単に折れ、その際にスズ鳴きと呼ばれる
独特の金属音を発する。

さて、スズの利用方法だが、錆びにくく、
軽いため、食器としての利用が盛んだった。

若干ではあるが毒性があるため、より軽く、
無毒のアルミニウムに取って代わられたが、
現在でも使われることがある。

錫単体の食器よりも、アンチモンとの合金、
ピューターあるいは白鑞(しろめ)として
加工性を高めたものが好まれた。

錫は合金素材としての有用性が非常に高い。
特に銅との合金、青銅は人類史にとって
無くてはならない存在であった。

ただし、錫は銅や鉄と違い、
どこでも手に入る金属ではない。

産出地が非常に偏っており、
手に入らない地域では青銅器の発達が遅れた。

錫の入手が容易であった地域で
古代文明が発達したと言っても
過言ではないほどだ。

アルミニウムが大々的に使われるようになってからは
需要が減少した錫だが、鉛との合金である
はんだ は、金属同士を溶接する際に重要である。

また、錆びにくい性質を利用するために、
メッキ材としても広く使われている。

なお、銅に錫メッキを施したものは
ブリキと呼ばれている。

ところで、元素記号はスタンナムの略なのだが、
これは元々は銀と鉛の合金のことで、
時代と共に意味の変わった言葉である。