序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2020年4月30日木曜日

ワラスボ

佐賀県の有明海の干潟に生息する魚である。

体はウナギのように細長く、
体の色は青みがかった灰色だ。

泥中に棲むため目は退化しており、
腹側のヒレが吸盤状になっている。

最も特徴的なのはその口だろう。
下顎が長く、上を向いた口にはずらりと牙が覗く。

かなりの強面だが、牙は人の皮膚を突き破れるほど
鋭くはなく、アゴの力も強くない。

だが生命力は強く、活け作りにされても
口がよく動いている。

指を噛ませて悲鳴をあげて見せるのは
旅の宴会の定番の遊びだ。

このワラスボ、かなり美味い魚である。
味が濃いのだ。
干物にすると素晴らしい出汁がとれる。

国内で唯一の生息地として
佐賀県の名産品になっているが、
大陸ではもう少しメジャーである。

氷河期、大陸と陸続きだった頃に分布していたものが
取り残されたのだろうと言われている。

漁の際にはガタスキーと呼ばれる板を乗りこなし、
スボカキという漁具を操る。

皮が少々泥臭いのだが、
それも含めて酒によく合う。

干物にすると泥臭さがとれるほか、
刺身にする時は皮を取り除けば
そう匂いを感じることもないだろう。

佐賀県が観光の広報にこの魚を大々的に
使っているため、意外と知名度が高い。

通称、有明のエイリアンである。