序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年9月10日火曜日

トチと読み、橡とも書かれる落葉広葉樹である。

落葉広葉樹とは、寒い季節に落ちる広い葉を持つ木、
という意味なので詳しく書く必要はないだろう。

本邦のトチの実は食用にできるが、
マロニエと呼ばれるヨーロッパのトチの実は
まずいうえに毒がある。

だが、石鹸の材料として古くから利用されており、
解熱剤を精製することも可能だという。

本邦のトチの実はアク抜きこそ非常に手間だが、
飢饉の際の食料として重宝され、
私有地に生えているものでも伐採を禁ずる
地域があったほどだ。

食料事情が良くなった近代以降は木材としての
利用が増えた。黄金色の芯材は美しく、
非常に人気が高い。

しかし、あちこちで伐採が進んだ結果、
大木と呼べるものはほとんどなくなってしまい、
現在は高級木材となっている。

木材としての需要が高く、品薄となったのは
ヨーロッパにおいても同様であり、
ウォールナット材と共に高価な木材である。

木目は非常に美しいのだが、
トチは松ほどではないが曲がりくねり、
乾燥時に割れ易いため扱いにくい木材でもある。

ところで、マロニエの名はマロン、つまり栗の
仲間だと思われていた名残である。

街路樹として人気があり、
パリのシャンゼリゼ通りのマロニエの並木は
とても有名な観光スポットだ。

エトワール凱旋門からまっすぐに長く続く
あの道をもう一度歩いてみたいものだ。

現在の状況は分からないが、私が訪れた当時は
シャンゼリゼには高級な店舗が並ぶため、
物乞いなどが少なく、快適だった覚えがある。

それはそうと、トチの木といえば、
児童文学で有名なモチモチの木である。