カラハリ砂漠東部に生息する小型の哺乳類である。
鼻先が長く、全身が黄色みがかった長い毛で覆われている。
耳は小さく退化しており、よく観察しないと無いように見える。
尻尾は細長く、先端が毬状に膨らんでいるのが特徴だ。
昆虫を主食とし、穴を掘っては地中の虫を捕らえ食べる。
長い鼻先を地中に差し入れることで、
微かな振動を感知できるようだ。
手のひらに乗る程度の大きさの体ではあるが、
非常に勇敢で、大型の哺乳類が接近すると
大きな鳴き声で威嚇する。
甲高い鳴き声はアブラゼミに似ているのだが、
人間の可聴域を超えた高周波を含み、
聴覚に優れた生き物に強い不快感を与える。
人間の場合でも、聞き続けると人によっては
気分が悪くなってしまう。
昔の人はこれを魔術的なものと考え、
チタモゲを呪われた獣と呼んで恐れた。
一部の民族では成人の通過儀礼の際に
このチタモゲを捕らえてくるというミッションが与えられ、
妻にしたいと思う女性にその毛皮を渡す風習がある。
なお、女性は毛皮を突き返すことが可能で、
受け取りを拒否された若者はもう一匹チタモゲを
捕獲してこなければならない。
そうして、次に女性に渡す毛皮は二枚となる。
渡される毛皮の数が多いほど、求婚は断り難いものとなるため、
一人の女性の愛を得るために何匹ものチタモゲを狩る者もいる。
ただし、その間に意中の女性が他の若者から毛皮を贈られ、
求婚を受け入れた場合、妻を横取りすることはできない。
このため、チタモゲの捕獲は他の若者との競争でもある。
一方、女性の側としては、多くの毛皮を贈られた方が
格式が高くなるため、モテる女性の場合には
意中の相手からの毛皮でも一度は断るのだという。
誰からも相手をされず、何枚もの毛皮を集める若者もいるが、
その年で最多の毛皮を集め、かつ結婚相手が
見つからなかった者はシャーマンになるよう勧められる。
シャーマンはチタモゲの毛皮をまとい、
呪術を取り仕切って人々の病を取り除く役割のため、
尊敬と畏怖の対象となるが、生涯独身でなければならない。
そもそもチタモゲは発見の難しい動物である。
捕獲するには過酷なカラハリ砂漠を数日にわたって
歩き回らなければならないのだ。
勇気と胆力の象徴となるのも頷ける話である。
序説
序説
かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...
2020年8月31日月曜日
チタモゲ
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