紫蘇とは荏胡麻の仲間の香り高い草である。
紫蘇の蘇という字は、よみがえるという意味だが、
伝説の名医華佗がこの植物から作った薬によって、
食中毒で死にかけていた者を蘇らせたことに由来するという。
葉、種、茎を、蘇葉、蘇子、蘇梗と呼んで漢方薬に用いるが、
解熱、鎮痛、咳止め、便秘の改善、
嘔吐止め、食欲増進の効果が期待されている。
だが、やはり本邦では紫蘇といえば薬味として
料理に用いるのが一般的だろう。
青紫蘇の若葉は大葉と呼ばれ、天ぷらにする他、
料理の見栄えを良くするための付け合わせによく使われる。
さっぱりとした香りのため、
肉類に巻いて調理するのも望ましい。
また、赤紫蘇は梅干し作りに使われ、
梅干し特有の赤色を着けると共に、
防腐効果を発揮する。
紫蘇の実もまた薬味として使われ、
料理の高級感を演出する際に重宝される。
栄養面でも優れており、特にビタミンや鉄分を補強してくれる。
なお、塩漬け紫蘇を乾燥させ細かく刻んだものを
「ゆかり」と呼ぶが、このゆかりは縁のことである。
緑(みどり)ではない、由縁や縁結びの縁である。
紫の一本ゆえに武蔵野の草は皆がらあわれとぞ見る。
という歌が古今和歌集にあるのだが、
伊勢物語においてこの歌が由来と思われる美談が書かれている。
詳しいことをここに長々と書いても仕方がないので省くが、
この話が元で紫はゆかりと呼ばれるようになった。
青草の中、紫の草が一本、それがゆかりの草、紫蘇なのだ。