海に生えている植物のような動物である。
突起の沢山ある赤い電球のような見た目であり、
海のパイナップルと呼ばれることもある。
本邦では主に東北地方で食されており、
西側では存在自体を知らない人も多いだろう。
外皮は硬く食べられないため、
内臓を取り出して食べる。
オレンジ色のぷりぷりとした内臓は、
甘み、苦み、若干の酸み、海の塩味が楽しめる。
控えめに言って、日本酒の肴とするために
存在するような味である。
ただし、鮮度が落ちるのが早く、
独特の臭気を発するようになってしまう。
このえぐみが好きだと言う者もあるが、
ホヤを食べたことはあるが好きではないと
答える者の多くは鮮度の落ちたものを食べたのだと思う。
磯臭いものが苦手だという場合は仕方がないが、
ウニやカキが食べられるのなら
ホヤの美味しさもきっと理解できるはずだ。
フランスやチリでも食材として利用されている。
映画「フレンチ・コネクション」において、
ワイルドな食べ方をしている場面があるので
機会があれば観てみてほしい。
さて、ホヤは岩などに根を張るように張り付き、
海中のプランクトンを食べる生き物である。
動きの無いイソギンチャクのようなものだ。
しかし、見た目からは想像もつかないが脊椎動物に近く、
軟体動物や甲殻類、植物とはかなり異なる。
その証拠とでも言うべきものが、ホヤの幼体である。
彼らはいわゆるオタマジャクシとして産まれてくるのだ。
そこから植物然とした見た目に変態するのだから、
世の中分からないものである。
ちなみに、植物のようだと言う点に
拘っているのには理由がある。
ホヤは植物の専売特許とでも言うべき堅い細胞壁、
セルロースを作り出せる唯一の動物なのだ。
ホヤの硬い外皮はセルロースに由来するのである。
食べられるのは内臓だけなので、
間違って外皮を煮込まぬよう注意されたし。