序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年4月16日月曜日

カラス麦

畑に勝手に生える偽の麦である。

雑草であったカラス麦を栽培化したものは
燕麦と呼んで区別する。
また、オーツ麦とも呼ばれている。

小麦に混ざり雑草として生えてくるカラス麦は、
人が除去していくうちに、小麦に似たものばかりが、
生き残るようになっていった。

似すぎた結果、穀物として
利用できるまでになってしまったのである。

小麦も大麦もメソポタミアで栽培が始まったが、
燕麦はヨーロッパで栽培されるようになった穀物だ。

雑草が穀物に変わるまでの歳月が
どの程度のものだったのかは不明だが、
長く苦しい戦いがあったに違いない。

燕麦は暑さや乾燥に弱い。
小麦より寒さに強く、湿気に強いため、雪解け水で
ぬかるむようなヨーロッパ北部で盛んに栽培された。

ローマ帝国がヨーロッパを席捲すると、
流通に改革が起こり、冷涼地域に住む人々の口にも
小麦が届けられるようになった。

こうなると食味の劣る燕麦は飼料用穀物となり、
人が食べるものではなくなっていった。

とはいえ、大切な馬の食べ物である。
それなりの熱意を持って栽培されていたという。

また、小麦の流通事情の悪かった北欧では
ライ麦と共に食卓に上り続けた。

小麦のように粉に挽く必要は無く、
そのまま煮て食べることができたため、
石臼を持たない貧農にとっても主食であった。

貧乏というネガティブなイメージの付いた燕麦だが、
アメリカ合衆国でシリアルがもてはやされるようになると、
健康に良いという触れ込みで流行する。

近年では ふすま やブランなどと呼ばれパンにも使われている。

雑草からスタートし、敬遠され、
貧乏人の代名詞となっていた燕麦は、
今、健康食品として人気を博している。

なかなかに興味深い歴史を持つ穀物である。