序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年4月7日土曜日

昆布

北の海にたゆたう大型の海藻である。

本邦での食用の歴史は古く、えびすめと呼ばれ
万葉の時代から流通していた。

ほぼ食材として利用される昆布だが、
戦国時代には城の石垣を造る際に、
石材を滑らせる敷物としていたらしい。

大阪を中心に食文化が広がっているが、
江戸で比較的好まれなかった理由には
水質の違いがあるという。

実際の差がどれほどかはわからないが、
上方の水はより軟水で、江戸の水は硬度が高いという。

これにより、昆布の出汁の出方が違うため、
江戸では昆布より鰹節の方が好まれたというのだ。

しかし個人的にはやはり流通の事情が大きいと思う。
日本海を通り京大阪へ入るルート、いわゆる北前と、
太平洋岸を回るルートでは運びやすさが違う。

北前航路は古くから開発されていたためだ。

ところで普段あまり意識しないが、
昆布は外国では食べられることが少ない。

ロシアでも海のキャベツと呼ばれ食用にされるが
一部地域限定の流通となっている。

チャイナでも北東沿岸部では食べられていたが、
いわゆる中華料理ではあまり使われない。
ただし、養殖昆布の輸出量は世界一である。

変わりどころではニュージーランドの昆布がある。
マオリ人たちはこれを食用とし、
保存食作りにも利用していたという。

近年は欧米に出汁の概念が広まりつつあり、
昆布への興味が高まっている。

いずれはこれまで利用されていなかった地域の
昆布が世界的に流通するようになるかもしれない。