北の海にたゆたう大型の海藻である。
本邦での食用の歴史は古く、えびすめと呼ばれ
万葉の時代から流通していた。
ほぼ食材として利用される昆布だが、
戦国時代には城の石垣を造る際に、
石材を滑らせる敷物としていたらしい。
大阪を中心に食文化が広がっているが、
江戸で比較的好まれなかった理由には
水質の違いがあるという。
実際の差がどれほどかはわからないが、
上方の水はより軟水で、江戸の水は硬度が高いという。
これにより、昆布の出汁の出方が違うため、
江戸では昆布より鰹節の方が好まれたというのだ。
しかし個人的にはやはり流通の事情が大きいと思う。
日本海を通り京大阪へ入るルート、いわゆる北前と、
太平洋岸を回るルートでは運びやすさが違う。
北前航路は古くから開発されていたためだ。
ところで普段あまり意識しないが、
昆布は外国では食べられることが少ない。
ロシアでも海のキャベツと呼ばれ食用にされるが
一部地域限定の流通となっている。
チャイナでも北東沿岸部では食べられていたが、
いわゆる中華料理ではあまり使われない。
ただし、養殖昆布の輸出量は世界一である。
変わりどころではニュージーランドの昆布がある。
マオリ人たちはこれを食用とし、
保存食作りにも利用していたという。
近年は欧米に出汁の概念が広まりつつあり、
昆布への興味が高まっている。
いずれはこれまで利用されていなかった地域の
昆布が世界的に流通するようになるかもしれない。