本邦において非常に身近な大豆は、
縄文の時代にはすでに利用されていたようだ。
植物でありながらタンパク質を得られる食品として、
肉嫌いや菜食主義者から絶大な支持を集めている。
大豆に限らずマメの仲間の多くは、
根粒菌と呼ばれる菌類と共生関係にある。
菌は植物が利用できない窒素をアンモニアへと合成し、
マメはアンモニアを有機酸へと変えて菌に渡す。
根粒菌が存在しているからこそ、
大豆には豊富な栄養が蓄えられているのだ。
しかし、実は大豆には毒がある。
動物の消化機能を阻害する力を持つ毒だ。
腹を下させることで、
豆を別の場所で発芽させるのが狙いだろう。
なお、この毒は加熱することで容易に分解する。
生食しなければ人体に影響はない。
さて、栄養豊富で収量も多い大豆だが、連作することができない。
連作とは収穫の終わった畑で前回と同じ作物を育てることを言う。
畑の土はそこで生育した植物によって性質が変わる。
土中の成分が変わると、適した作物も変わるわけだが、
同じものが育てられなくなることを連作障害と呼ぶ。
つまり、大豆を育てた後の畑では、
連作障害により大豆を育てられないのだ。
こうした事情があるため、大豆は優れた食品でありながら、
主食の地位を得ることはできなかった。
おそらくヨーロッパ人が興味を示さなかった理由も
この連作障害が大きかったのだろう。
ヨーロッパに大豆を伝えたのは本邦帰りの博物学者
エンゲルベルト・ケンペルだと言われている。
大豆はヨーロッパに醤油の原料として紹介され、
しょうゆが訛ってソイとなった。
しかし、ヨーロッパ人はソイビーンズを好まなかった。
他の作り慣れた豆の方が良かったのだろう。
近現代になってようやく、油を採る目的で大規模耕作が始まった。
現在は健康食品として注目を集めている大豆だが、
需要の中心はやはり油糧と飼料である。
本邦では醤油に味噌に豆腐に納豆その他諸々、
大人気なのだが、世界的にはマイナーな存在なのだ。