序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年4月9日月曜日

大豆

本邦において非常に身近な大豆は、
縄文の時代にはすでに利用されていたようだ。

植物でありながらタンパク質を得られる食品として、
肉嫌いや菜食主義者から絶大な支持を集めている。

大豆に限らずマメの仲間の多くは、
根粒菌と呼ばれる菌類と共生関係にある。

菌は植物が利用できない窒素をアンモニアへと合成し、
マメはアンモニアを有機酸へと変えて菌に渡す。

根粒菌が存在しているからこそ、
大豆には豊富な栄養が蓄えられているのだ。

しかし、実は大豆には毒がある。
動物の消化機能を阻害する力を持つ毒だ。
腹を下させることで、
豆を別の場所で発芽させるのが狙いだろう。

なお、この毒は加熱することで容易に分解する。
生食しなければ人体に影響はない。

さて、栄養豊富で収量も多い大豆だが、連作することができない。
連作とは収穫の終わった畑で前回と同じ作物を育てることを言う。

畑の土はそこで生育した植物によって性質が変わる。
土中の成分が変わると、適した作物も変わるわけだが、
同じものが育てられなくなることを連作障害と呼ぶ。

つまり、大豆を育てた後の畑では、
連作障害により大豆を育てられないのだ。

こうした事情があるため、大豆は優れた食品でありながら、
主食の地位を得ることはできなかった。

おそらくヨーロッパ人が興味を示さなかった理由も
この連作障害が大きかったのだろう。

ヨーロッパに大豆を伝えたのは本邦帰りの博物学者
エンゲルベルト・ケンペルだと言われている。
大豆はヨーロッパに醤油の原料として紹介され、
しょうゆが訛ってソイとなった。

しかし、ヨーロッパ人はソイビーンズを好まなかった。
他の作り慣れた豆の方が良かったのだろう。
近現代になってようやく、油を採る目的で大規模耕作が始まった。

現在は健康食品として注目を集めている大豆だが、
需要の中心はやはり油糧と飼料である。

本邦では醤油に味噌に豆腐に納豆その他諸々、
大人気なのだが、世界的にはマイナーな存在なのだ。