絶滅したオリジナルのペンギンである。
どういうことかというと、
ペンギンという名は本来この鳥の名である。
我々の知るペンギンはこの鳥に似ていたことから
南極ペンギンと呼ばれるようになったのだ。
生物種としては完全に別の生き物である。
人間の幼児ほどの体長を持つ白黒の水鳥で、
飛ぶことはできない。
カラーリングはペンギンと聞いて思い描くものだが、
目の上からくちばしにかけて楕円状に白い。
足は黒く、我々の知るペンギンと異なり、
関節部も露出している。
飛ぶことはできないが翼もフリッパーではなく、
まさに水鳥の格好である。
生息地は北極海方面であった。
カナダ東部のニューファンンドランド島に
特に多かったようである。
我々の知るペンギン同様に好奇心旺盛で
危機感の薄いこの鳥は、人間を恐れることなく
むしろ積極的に寄ってきたという。
このため捕獲が容易であり、
「石を拾うよりも簡単」と言われていた。
肉と卵を食用にし、脂肪を燃料とするため乱獲されたのだが、
人間の航海技術の発達によってそれが加速、
各地で回復不能なほど個体数が減少していった。
最後に残されていた繁殖地は海底火山の噴火によって海に沈み、
本邦における幕末の頃に絶滅した。
悲しい話だが、この鳥の絶滅を目の当たりにしたからこそ、
人々は南極ペンギンに同じ運命を
辿らせずに済んだのかもしれない。