序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年4月2日月曜日

ワオキツネザル

狐猿の仲間である。
マダガスカル島南部に生息する。
茶色い体毛を持ち、尻尾は白黒の縞模様である。

生物学者はキツネザルにレムールという名を付けた。
レムールとはローマで言うところの死霊レムレースの単数形である。

レムレースはいわゆるポルターガイスト現象などを起こす
悪い霊のことなのだが、何故こんな名前を付けたのだろうか。

そのレムールたちの中でワオキツネザルには
カッタという名が与えられている。
猫である。

死霊猫レムール・カッタというわけだ。
意味がわからない。
不思議である。

冒頭にマダガスカル島南部に生息すると書いたが、
何故かマダガスカル北の小島、コモロ諸島にも生息している。
流木にでも乗って旅立ったのだろうか。
不思議である。

ワオキツネザルは縄張り意識の強い猿である。
手首から分泌する体液を木に付着させ、縄張りを主張する。

だが、匂いを付けてそれでおしまいとはいかない。
彼らは群れ対群れの大規模抗争を行うのだ。
その様はまさに戦争である。

しかし、一番興味深い点は、
この戦争、雌しか参加しないのである。
不思議である。

戦いは赤ん坊を背負ったまま、飛び蹴りを
繰り出し合うという壮絶なもので、
山の尾根などの境界線でよく勃発する。

雄は何をしているかというと、何もせずにぼーっと暮らしている。
だが、その暮らしは気楽なものではない。

群れの中で圧倒的に偉いのは、子を育て戦に出張る雌である。
雄は立場が無い。

雄が食事をしているところに雌が寄って来ると、
夢中で食べていたものをぽいと放り捨てて
どこかへ逃げていく。
雌は当然のようにその食べ物をいただく。

何故このような社会が出来上がったのか、
不思議である。