序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年4月13日金曜日

カナリアス

アフリカ、モロッコの南西に位置する
イスパニア領の諸島である。

ラテン語で犬の島を意味する名前が付けられており、
由来にはいくつかの説があるのだが、
大プリニウスが言っていた野犬が多いため
という理由を紹介しておく。

カナリアと言うと鳥の金糸雀を
思い浮かべる向きが多いだろう。
あの鳥はこの島々から名付けられている。

ただし、カナリア諸島は原産地のひとつというだけで、
この島々の固有種というわけではない。

さて、このカナリアス。
中世までは世界の果て、西端だと思われていた。

幸福の島という別名があるのだが、
これは恐らく死後の世界という意味合いが
あったのだと思われる。

イスパニア人が征服した際の記録には
地獄の島と書かれているのだが、
ヨーロッパ人の最果てへの恐怖が窺い知れる。

その一方で、気候的には暮らしやすく、
人間は大昔から住んでいた。

北アフリカから渡ったベルベル人が住んでいたところに、
ノルマン人が乗り込んできたりと、
住民の入れ替わりが幾度もあったという。

イスパニアが海洋探検に乗り出すと、
彼らの制圧するところとなり、
重要な拠点となっていった。

補給港としても重要なのだが、
最大のポイントはサトウキビ栽培にある。

砂糖はヨーロッパに資本主義の発端をもたらすほどの商品で、
アメリカ大陸から大量の銀が運ばれてくるようになるまでは、
砂糖商が大きな顔をしていた。

コーヒーカカオ紅茶がヨーロッパに入るに従って、
需要はうなぎ登りとなり、人類の砂糖消費量は
現代に至るまで増加の一途を辿っている。

もっとも、アメリカ大陸のプランテーションで
栽培する方がサトウキビ量産は楽であるため、
カナリアスでの生産量は下火となった。