茶は古来より水を浄化する薬草として用いられてきた。
含まれる殺菌成分により、きれいではない水を
飲むことができるようになるためだ。
苦味をありがたがるのはチャイナや本邦など一部地域で、
大抵は乳や蜂蜜を加えて飲みやすくする。
蜂蜜は高級品であり、身分の高い者や金持ちが使用していたが、
砂糖が安価かつ安定的に供給されるようになると、
誰でも気軽に甘い茶を楽しむことができるようになった。
砂糖による革命である。
茶の存在が砂糖の需要を後押ししていった。
私は昔、アラビアでグリーンティーを出された際に、
ミルクと砂糖をどうするか訊ねられたことがある。
内心、馬鹿なと思いながらストレートで頼んだところ、
出てきたものを一口飲んで後悔した。
水が違うのだろう。
茶の木が生育するための水、茶を淹れる際に使った水。
それらの影響で茶の味は別物になってしまうのだ。
繰り返しになるが、本来の茶は、飲めない水を
飲めるようにするための薬草なのだ。
なお、アルコールを避ける地域では酒のように茶を飲む。
茶を多く飲むほど男らしいとされる土地もあるようだ。
サラセン人は酒を飲まないが、宴会の際には
男だけで茶やコーヒーを飲みながら蜂蜜菓子に興じる。
文化が違うのだ。
チャイナ、そして本邦では茶は独特な地位を獲得した。
特に本邦では水が清浄なため、
本来の目的は用を成さない。
純粋な嗜好品として文化の一部となっていった。
茶は葉を摘んだ後、乾燥させて保存するが、
この際に発酵させることで、
緑茶から紅茶や烏龍茶へと変貌する。
紅茶は茶をイングランドへ船で輸送する際に、
意図せず発酵してしまったことで誕生したという。
イングランド人の茶好きは有名だが、
流行の始めの頃は偽物が横行したという。
一般庶民の口に本物は入らなかったのだ。
本邦でも茶は身分ある者の飲み物だった。
水呑み百姓という言葉からも窺い知れる。
茶については世界中に独自の文化があるため、
いくら書いても書ききれない。
ここでは紹介程度に留めておこう。