序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年5月27日日曜日

ローレル

月桂樹とも呼ばれる地中海地域の樹木である。

ギリシア神話においては、太陽神に馬鹿にされた愛の神が
報復のために太陽神の恋心をかきたてたせいで
被害を受けた精霊ダプネが変じたものだとされている。

太陽神アポロンはダプネを忘れられず、
彼女が変じた月桂樹の枝を身に付け続けたという。

さて、アポロンの祭典であるピューティアの大祭において、
音楽演奏と詩歌の腕が競われ、
その勝者には月桂樹の冠が贈られていた。

卓越した詩人に贈られる月桂冠だが、
やがては勝利のシンボルともなり、
ローマ時代には闘技会の優秀者にも与えられた。

ローレルは楠の仲間で木材としても用いられるが、
幹は太くなりにくいため、
大きなものは比較的高価である。

葉は薬草や香辛料として用いられ、
樟脳を薄くしたような香りである。

清涼感をもたらすとともに、
肉などの臭みを消す目的で使用され、
特に煮込み料理で好まれる。

ただし、長時間煮てしまうと汁に苦味が移るため、
使用に際しては少しコツがいる。

薬草としては食欲の増進や消化の助けとなり、
民間伝承ではあるが肝臓にも良いとされる。

なお、ベイリーフというよく似た香草が存在する。

ベイリーフとローレルは一部において混同されており、
ローレルの名で売られてしまっているベイリーフもある。

インドでカシアと呼ばれているベイリーフは
スープ類には向いていないので、
購入の際には注意が必要だ。

ちなみにベイリーフは葉脈が縦に走っており、
ローレルは横にいくつも並んでいる。

乾燥させたものを砕いて瓶詰にしている場合、
香りも嗅げず見分けるのは困難なので、
本当に迷惑な勘違いである。