序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年5月29日火曜日

ウェルウィッチア

ナミブ砂漠にのみ分布する奇妙な植物である。

本邦では砂漠万年青や奇想天外とも呼ばれる。
奇想天外とはあまりの言い草ではないだろうか。

塊状の茎を持ち、二枚だけの葉を持つ。
この葉の長さが尋常ではない。

なんと土俵の直径ほども伸びるのだ。
片方の葉だけである。
両方とも伸びるので全長は凄まじい。

だが、実際には曲がりくねって
茎の周囲に留まるため、
そこまで大きくは感じない。

また、葉が二枚しかないようにも見えない。
これは月日と共に葉が裂けていき、
周囲に溜まっていくためである。

根はなんとバスの全長ほどにまでなり、
水を求め地下深くに伸びてゆく。
砂漠ならではの特性だろう。

砂漠という過酷な環境に生えていながら、
寿命はとてつもなく長い。

確認されているだけでも、紀元前後に
発生したと推定される個体が存在する。
もっと古いものもあるかもしれない。

しかし、古いウェルウィッチアは見つかるのだが、
新しい若いものは見当たらないという。

一説によると、ある時期を境に地下水の層が
より深い位置まで下がってしまい、
新しい株は根が水に届く前に
枯れるようになってしまったそうだ。

なお、この植物の種を採取し、
乾燥地帯ではない場所で育てると、
印象の違う姿に成長する。

本邦でも園芸用に栽培している者は
少なくないようだ。

もしかすると、本来は砂漠の植物では
なかったのかもしれない。