序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年5月9日水曜日

キングペンギン

かなり大柄な南極大陸周辺に住むペンギンである。

王様ペンギンと呼ばれるのは、
他のペンギンたちよりも大きく、
ゆったりと動くためである。

下くちばし、胸元、後頭部脇の辺りが
オレンジ色をしており、
頭は黒いが他の部分は灰色に近い。

イワシを好むが、いない場合はイカやタコを食べる。
イワシも頭足類もいない場合は甲殻類を食べる。
好みがはっきりしたグルメのようだ。

キングペンギンはコロニー内では
あまり歩き回らないが、その分
隣近所とのちょっとした喧嘩が絶えない。

巣は作らないにも関わらず
縄張りの概念があるようだ。

トランペットのようと評される鳴き声が特徴的で、
朗々と響くその声は優雅ですらある。

餌を獲りに海へ行く際には、
列を作って礼儀正しく歩く。
御出勤といった風情である。

大人の礼儀正しさと比べると、
ヒナは少々粗暴である。

ヒナは茶色く、大人よりも一回り大きい。
体長はそう変わらないのだが、
横幅が太いのだ。

ヒナの集まり、クレイシでは喧嘩が絶えず、
隙あらば自分が生き残るために
他のヒナを出し抜こうとする。

そうした争いを勝ち抜いたからこそ、
大人になってからは悠然とした態度を
とれるのかもしれない。

なお、キングペンギン族は
卵を年にひとつしか産まない。
そのひとつを大切に育てるのだ。

氷の大地に触れぬよう、卵は親の足の上に乗せられる。
そこにお腹がかぶさり、寒さから守られるのだ。

しかし、ヒナがある程度育つと、
一転して放任主義に変わる。

泰然自若としているように見えながら、
意外と複雑な内面を持っているのかもしれない。