序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年5月7日月曜日

ヒゲペンギン

アゴヒモペンギンとも呼ばれる
アデリー族のややマイナーなペンギンである。

顔が白く、目の周りだけ黒い。
耳の辺りから顎に掛けて黒い筋が回っている。

この黒い筋がヒゲやヘルメットの緒に
見えることからこの名で呼ばれている。

個人的にはあまりヒゲに見えないため、
アゴヒモペンギンの方がしっくりくる。
むしろヘルメットペンギンと呼びたい。

ヒゲペンギンは南極大陸の周辺に生息している。
多くのペンギン同様、岩場にたむろする。

あまり鳴かないが、その声は奇妙な唸り声と言われる。
また、雄鶏のような鳴き声も上げる。

すべてのペンギンの中でもかなり上品な部類で、
大人しく、それでいて人懐っこい。

だが、巣を作る時にだけは大胆になる。
小石を集めて巣材とするのだが、
他所の巣にこっそりと忍び寄り、
不在時や後を向いているタイミングを狙って盗み取るのだ。

南極周辺は小石が少なくない。
集めようと思えば簡単に集められるのだが、
彼らは横着をしたがる。

ただし、これはヒゲペンギンだけの特性ではなく、
アデリー族全体の趣味嗜好である。
その中でもヒゲペンギンは最も静かに盗み取る。

ところで、ヒゲペンギンはいまひとつ知名度が低い。
水族館で見られる場所は多くなく、
イラストとして描かれる機会も少ない。

個体数が少ないわけでも生息範囲が狭いわけでもないのに、
何故か世に知られていないのだ。
むしろペンギンの中では多い方であるのだが。

もっとも、静かに暮らしているヒゲペンギンたちにとって、
人間からの人気などどうでもいいことだろう。