序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年5月10日木曜日

エンペラーペンギン

ペンギン最大だと思われていた王様ペンギンより
大きいペンギンである。
彼らは皇帝ペンギンと名付けられた。

その身長は人間の成人男性の腹にまで届く。
実際に間近で見るとその大きさに驚くだろう。

というのも、知名度はエンペラーペンギンの方が高いが、
水族館などで目にするのはキングペンギンである。
キングペンギンの大きさがイメージの元となっているのだ。

南極で生まれ、南極で育つその姿は、
他のペンギンと比べてよりドラマチックである。

他のペンギンよりもより内陸に住むため、
猛烈な吹雪と低気温の中を生き抜かねばならないのだ。

例えば、両親が採餌係と抱卵係を交代する際、
足の上に乗せたヒナを受け渡す必要がある。
だが、落としてしまったり時間をかけすぎると、
ヒナはあっという間に寒さで死んでしまう。

非常に過酷な環境で子育てをしているのだ。

彼らは生きるためにハドルと呼ばれる陣形を組む。
皆で同じ方を向いて密集し、
小刻みに前進する。

これを円を描くように行い、
常に互いを温め合うようにしている。
吹雪の中で体温を維持するにはこれしかないのだろう。

ハドルを組む関係上、縄張り意識は皆無で、
仲間同士の喧嘩も滅多にない。
非常に温和なペンギンだ。

抱卵は想像を絶する苦行である。
他の南極大陸で繁殖するペンギン同様に、
オスは長期間の絶食に耐えなければならない。

ヒナは他のペンギンとは一線を画す見た目をしている。
頭は白黒の模様であり、首から下は灰色だ。
人気があるのでイラストを見たことがあるだろう。

ある程度の大きさに育つと、彼らはヒナの集団、
クレイシを組み海を目指す。
氷山、クレバス、アザラシ、道中は危険に満ちている。

子供を失った親は、他所の子供を
自分の子供にして育てようとする。
この性質は親を失った子供の生存を助けるが、
エンペラーペンギンの数少ない争いの種となる。

親のいる子供を誘拐しようとするのだから、
奪われる方はたまったものではない。

なお、彼らは鳴き声をよく聞き分ける。
集団の中、パートナーや子供を見分ける際に、
その声を頼りにしているのだ。

我々人間には同じ鳴き声に聞こえるが、
微かな音紋の違いを敏感に察知することができるのだ。