最も活発に走り回るペンギンである。
だが、別名のオンジュンペンギンは温順、
つまり温和で従順な性格という意味である。
ペンギンの中ではかなりやんちゃな奴なのだが。
ジェンツーとはポルトガル語で異教徒を意味する
言葉に由来した名前である。
目の周りから頭頂部を通って
白い帯が半周しているのだが、
これをターバンに見立てたのだろう。
大変好奇心が旺盛で、移り気である。
同じアデリー族の他の二種が大人しいことを考えると
何故ジェンツーだけがこれほど落ち着きがないのかと
不思議に思えるほどだ。
その自由気ままな姿は水族館でも十全に発揮され、
人気を博している。
アデリーペンギン族の特徴として、
巣材の小石を他の巣から盗み出すというものがあるのだが、
ジェンツーペンギンの場合はそれが少々雑である。
一応こっそりとは近付くのだが、
小石をくわえたらもう隠れることなど忘れてしまう。
一個目、二個目ぐらいまでは慎重に行くのだが、
次第に堂々と取りに行くようになるのだ。
時には留守の巣を乗っ取ってしまうこともある。
ふてぶてしいのだ。
急にテンションが上がって走り回ることがある。
あっちへ行ったりこっちへ行ったり大忙しだ。
水族館ではよく他の種類のペンギンに
ちょっかいを出してはつつかれている。
自然環境下では南極周辺で暮らしているのだが、
人間がやってくると興味を持って
わらわらと集まって来る。
ひとしきり見慣れぬものをつついた後は、
飽きて三々五々と散って行く。
熱しやすく冷めやすいのかもしれない。
秩序とは無縁な印象を受けるペンギンだが、
何故か海に飛び込む時だけは礼儀正しい。
列を作って順番に海へ入っていく。
地上で走り回る姿からも想像できるが、
最も速く泳ぐペンギンである。
びゅんびゅんと飛ぶように泳ぐ。
好みの餌というものは無く、
獲れるものをとりあえず食べる。
好き嫌いはしない方なのだ。
海から上がる時も一斉に飛び上がる。
どういうわけか海の出入りだけは
秩序立っている。
一方、他の種類よりも鳴き方に
バリエーションがあるせいか、
コロニーはいつも騒がしい。
結婚生活は堅実で、離婚率が低いのだが、
愛情を示すために頻繁に鳴き交わしている
お陰かもしれない。
私はジェンツーペンギンが一番好きだ。
優美な顔つきと、見ていて飽きない行動が魅力である。