序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年5月23日水曜日

カワラバト

くるっぽーと鳴く。

鳩の仲間は数多いが、本邦の街中で目にするのは
河原鳩と名付けられた種類である。
だが、この名はいささか馴染みが無い。

多くの場合はドバトと呼ばれているが、
これは元々塔鳩と呼ばれていたものが、
堂鳩となり、土鳩へと変化したものである。

本来は西方の乾燥地帯に生息する鳥であったが、
伝書鳩としての利用や、食用のために飼育され、
世界各地に広まっていった。

かつては本邦でも食用のため狩られていたが、
明治期に伝書鳩を保護するため
狩猟禁止となった。

なお、江戸時代に相場情報を素早く伝えるため
伝書鳩を利用した商人がいたが、
幕府はこれを不法な投機であると見做し、
処罰したと言われている。

実際、伝書鳩は軍用として重宝されたもので、
電波が利用されるようになるまでは、
最も速い通信手段であった。

さて、春から初夏にかけて、
ポーポーッポポー、ポーポーッポポーという
リズミカルな鳴き声を聞いたことはないだろうか。

何の音なのかと不思議がる人も多いが、
あれは鳩の鳴き声である。

ただし、ドバトではない。
キジバトという別の鳩である。

キジバトは本邦土着の鳩であり、
茶色い体に鱗状の模様がある。

ドバトに話を戻そう。
本邦では古くから神の使い、特に八幡神の使いとして
ドバトを大切にしてきた歴史がある。

しかし、近年ではその糞に含まれるカビやウイルス
問題となっており、空飛ぶドブネズミとまで呼ばれている。

実際、ドバトによる被害は少なくなく、
駆除したいところだが、彼らは法に保護されており、
傷付けることは禁止されている。

また、よく餌を与えている人物を見掛ける。
ドバトは繁殖力が高く、栄養状態が良いと、
一年の間に何度も卵を産んでしまう。

このため数が増え、前述の問題が
深刻化しているという現実もある。

鳩に餌を与えないでくださいという張り紙の前で
鳩が食べきれないほどのパンくずを撒く人々は
一体何を思って行動しているのだろうか。