南アメリカ南部に住まう
フンボルトペンギン族のペンギンである。
マゼラン海峡を挟んだ東西で暮らし、
フォークランド諸島にも足を延ばす。
パタゴニアペンギンとも呼ばれるが、
パタゴニア平原に住んでいるわけではない。
ヒナを育てている頃は非常に穏やかなのだが、
早春の恋の時期になると喧嘩ばかりしている。
賑やかで幸せなな暮らしをしているペンギンだ。
ペンギンのヒナは茶色、
もしくは灰色の毛で覆われており、
ピーピーと黄色い声をあげる。
フンボルト族のヒナは灰色である。
ヒナは親の口から胃の内容物を与えられて育ち、
ある程度の大きさになると
ヒナだけで集まって暮らすようになる。
このヒナの集団をクレイシと呼ぶ。
これはペンギンの標準であるが、
種類によってはこの限りではない。
マゼランペンギンの場合、この基本形に忠実である。
卵は普通、二個産み、大抵は一羽のみ成鳥となる。
一部の種類では二個とも必死になって育てるが、
ひとつはスペアと割り切るのがペンギンのスタンダードである。
ペンギンの特徴的な行動の中にトボガンと呼ばれるものがある。
これは雪や氷の上を腹這いになって滑ることを言うのだが、
アメリカ先住民の言葉で小型のそりを指す言葉だ。
観察しているとトボガンが上手い個体と下手な個体がいる。
一生懸命足で漕ぐのだが、前に進まず、
結局立って歩いたりするのだ。可愛い。
また、雪が積もっているのを見ると、
ダイブしてトボガンを始めるが、
うまく雪を掻き分けられずに諦めてしまう場合もある。
そんなペンギンたちだが、海の中に入ると一変する。
水中を飛ぶように泳ぐのだ。
その速度は尋常ではなく、種類によっては
非常に深い所まで潜ることも可能だ。
空を飛ぶことを捨てた鳥ペンギンは、
海を泳ぐことに特化した鳥なのだ。