大麦は穀物の王として栽培が始まった。
大麦と小麦の大小は粒の大きさではなく、
優劣を意味する文字である。
古代においては小麦よりも大麦の方が優れていたのだ。
大麦はパンや麺への加工には向かないが、
殻を取り潰せば、あとは火を通すだけで食べられる。
粉を挽くなどの労力が不要なのだ。
更に、大麦を少し発芽させた麦芽というものが存在する。
麦芽からは麦芽糖を生成することが可能だ。
麦芽糖である。糖なのである。甘いのだ。
古代人にとって他に甘いものとは果実と蜂蜜である。
人間は甘いものを食べると幸せを感じる生き物らしい。
つまりは、大麦は幸せをもたらす存在なのだ。
大麦には他にも重要な加工品が存在する。
ビールである。
諸説あるが、エジプトで粥として食べられていた大麦が、
発酵してしまいビールが生まれたという。
当時のビールは粥状だったわけだ。
一方、ローマ人はワインをこよなく愛したので、
大麦に関しては食べ物としても飲み物として二流品と扱った。
だが、ゲルマン人には今も昔も人気がある。
ウイスキーが発明されると、
大麦はその原料としても需要が生じたが、
食用としてはあまり人気が無くなっていった。
また、麦芽糖も砂糖の登場で影が薄くなった。
本邦では大麦はコメの裏作として生産され、
米が不足した際に混ぜて麦飯として食べていた。
裏作というのは作物の収穫後、
次の種まきまでの間に他の作物を育てることである。
昨今の麦飯はかなり美味いものだが、
昔は殻を完全には除去できず、独特の臭みがあった。
また、本邦人は白米を信奉しているため、
麦飯は蔑まれるような食べ物であった。
刑務所で臭い飯を食うという言葉があるが、
この臭い飯とは麦飯の事である。
この言い回しだけでも
麦飯がどう思われていたのかがわかるだろう。
ただし、麦茶や麦味噌など、愛されてきた部分もある。
また、現在では世界に誇れるウイスキーを作っており、
ビールも愛飲されている。
つまるところ、本邦においては飲み物に加工された時が、
大麦の真価を発揮する場面なのかもしれない。
ところで、イタリアにオルゾーラテという飲み物がある。
私は大好きである。