序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年4月18日水曜日

大麦

大麦は穀物の王として栽培が始まった。

大麦と小麦の大小は粒の大きさではなく、
優劣を意味する文字である。

古代においては小麦よりも大麦の方が優れていたのだ。

大麦はパンや麺への加工には向かないが、
殻を取り潰せば、あとは火を通すだけで食べられる。
粉を挽くなどの労力が不要なのだ。

更に、大麦を少し発芽させた麦芽というものが存在する。
麦芽からは麦芽糖を生成することが可能だ。

麦芽糖である。糖なのである。甘いのだ。

古代人にとって他に甘いものとは果実と蜂蜜である。
人間は甘いものを食べると幸せを感じる生き物らしい。
つまりは、大麦は幸せをもたらす存在なのだ。

大麦には他にも重要な加工品が存在する。
ビールである。

諸説あるが、エジプトで粥として食べられていた大麦が、
発酵してしまいビールが生まれたという。
当時のビールは粥状だったわけだ。

一方、ローマ人はワインをこよなく愛したので、
大麦に関しては食べ物としても飲み物として二流品と扱った。
だが、ゲルマン人には今も昔も人気がある。

ウイスキーが発明されると、
大麦はその原料としても需要が生じたが、
食用としてはあまり人気が無くなっていった。
また、麦芽糖も砂糖の登場で影が薄くなった。

本邦では大麦はコメの裏作として生産され、
米が不足した際に混ぜて麦飯として食べていた。
裏作というのは作物の収穫後、
次の種まきまでの間に他の作物を育てることである。

昨今の麦飯はかなり美味いものだが、
昔は殻を完全には除去できず、独特の臭みがあった。
また、本邦人は白米を信奉しているため、
麦飯は蔑まれるような食べ物であった。

刑務所で臭い飯を食うという言葉があるが、
この臭い飯とは麦飯の事である。
この言い回しだけでも
麦飯がどう思われていたのかがわかるだろう。

ただし、麦茶や麦味噌など、愛されてきた部分もある。
また、現在では世界に誇れるウイスキーを作っており、
ビールも愛飲されている。

つまるところ、本邦においては飲み物に加工された時が、
大麦の真価を発揮する場面なのかもしれない。

ところで、イタリアにオルゾーラテという飲み物がある。
私は大好きである。