遥か昔より利用されている界面活性剤である。
界面活性剤の説明は省く。
乱暴に言ってしまえば水と油を混ぜることが
できるようにする物質である。
石鹸は脂肪が灰汁などのアルカリによって
性質を変えたもので、この変化を鹸化という。
油汚れを水に溶かし、流すことで
洗浄が可能となるのだ。
ローマ時代には蛮族と罵られたゲルマン人ですら
使用していたが、ローマの崩壊と共に
文化が衰退するとヨーロッパでは忘れ去られた。
しかし、サラセン人がこれを継承し用いていたため、
レコンキスタによってアラビアの科学が
ヨーロッパへともたらされたことで復活する。
船上での戦いにおいて、石鹸液を撒くことで、
敵を滑らせ戦えない状態にするという
冗談のような活用法もあったようだ。
本邦へは戦国期にシャボンの名で入ってきたと
みられており、洗剤ではなく香料として、
あるいは虫下しのための下剤として扱われていた。
また、当時は石鹸とシャボンは別物で、
灰汁を小麦粉で固めたものを
石鹸と呼んでいたという話も聞いた。
そもそもは石鹸という名は蜜蝋を指す
言葉だったという説もあり、
どうにもはっきりしない。
ひとまず、明治より前の文献に登場する石鹸は、
我々の思い描く石鹸ではない可能性を
念頭に置いた方が良さそうだ。
ところで、石鹸で手を洗うことで黴菌を
やっつけられると小さな頃に教わったと思う。
石鹸は細胞の表面の水と油を分ける膜を
破壊することで細菌を殺すことができる。
汚れを落とすと一口に言っても、
実際に何がどうなっているのかは
考える機会もそうそう無いだろう。
化学の知識が無くとも
便利な道具を扱えるという好例である。