額に生えた一本の角が特徴的な動物だ。
姿かたちはウサギに似ているがかなり大きい。
肉食獣である。
インド洋に浮かぶアルティニン島に生息しており、
角は黒く、体毛は黄色く細かい。
この体毛は日光を浴びると金色に輝き、美しい。
黒い角はまるで槍のように長く、
螺旋状に捻じれているのだが、
アルミラージはこの角を使い狩りを行う。
自身より大きな動物が相手でも、
怯むことなく角を振りかざし、
時には人間ですらも刺し殺されることがある。
角は折れても再び生えてくるということはないため、
角の折れた個体は生き延びられないと考えられる。
貪欲で、体の大きさに比べて多すぎるのではないか
と思えるほど食物を摂取するため、
満腹時は腹部が大きく膨れ上がる。
他の肉食獣同様、家畜化は不可能だが、
かつてはこの動物を慣れさせ、
飼育する技術を持った者たちがいたらしい。
アルティニン島をアレクサンドロス大王が訪れた際、
アルミラージが贈られたという記録がある。
飼育が困難なため、大王は技術者も
連れて帰ったものと思われる。
また、伝説によれば、大王は島に棲むドラゴンを退治し、
その謝礼としてアルミラージを贈られたという。
ティニンはアラビア語で竜を意味する。
なお、アルミラージとは天国を意味するアラビア語である。
恐らく金色に輝く毛皮から、天国の生き物を
イメージして名付けられたのだろう。
黒い螺旋状の角は、北極海のイッカクの牙と共に、
呪術の道具として重宝された。
変わったところでは、この角を加工した槍がある。
金属と比べると脆いため、
恐らくは儀礼用か装飾用だろう。
一本角は古来より神秘的なものとして伝えられている。
おそらく、アルミラージの角も
毒を浄化する力があると考えられたのだろう。