序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年7月30日月曜日

ハリガネムシ

蠢く針金のような生き物がいる。

回虫に似ているが、節が無く、
そこまで近い生き物でもない。

いわゆる寄生虫だが、昆虫専門である。
爪の間から入り込むという俗説もあるが、
人間には無害なので安心してほしい。

水中で卵から産まれたハリガネムシは
カゲロウやボウフラに寄生し、
羽化した宿主と共に地上へ移動する。

この時点での宿主に対して
何か悪さをするという話は聞かない。

サナギのような状態となって
どんな悪環境にも耐えられるらしい。

宿主がカマキリなどの肉食昆虫に捕食されると、
その体内で本格的な成長を始める。
長いものでは人の子供の身長ほどにもなるという。

十分に成長しきると、宿主に対して
ある種の毒を注ぎ込む。

この毒に冒された昆虫は、
水の中に飛び込んでしまうのだ。

ハリガネムシは宿主の体から水中に出た後に、
同種と巡り会って卵を産む。

このハリガネムシの生き方には
あるリスクが存在する。

宿主が鳥などの昆虫以外に捕食された場合、
寄生することができず死んでしまうのだ。

ある生物学者によると、ハリガネムシによって
水中に飛び込む昆虫は、魚たちの重要な
食べ物になっているという。

一見生態系とは無縁に見える寄生虫だが、
その影響はかなり大きいらしい。

もし彼らがいなくなったならば、
魚は水棲昆虫を食べ尽くし、
水棲昆虫が食べる藻が異常繁殖し、
水質が変わってしまうのだという。

どんな些細に思えるものでも、
世の中の仕組みが回っていくためには
重要であるという好例だろう。