序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年7月24日火曜日

セイウチ

海象とも呼ばれる北極海に棲む海獣である。

よく似た海獣にトドがいるが、
トドはアシカの仲間であり近縁ではない。

セイウチは立派な牙があることで知られている。
しかし、この牙は抜けることがあり、
必ずしも牙を備えているとは限らない。

この牙はしばしば自分の体を傷付けてしまう。

セイウチの主食は海底に棲む貝である。
トドよりも多い髭によって感覚が鋭く、
貝を探し当てる能力が高い。

鏡の国のアリスでも大工と共に牡蠣を食べていた。

セイウチには耳介が無く穴だけが空いている。
おそらく極めて冷たい水の中で暮らすため、
体温を逃がさないようになっているのだろう。

トドには小さな耳がきちんと付いている。

なお、セイウチとはロシア語の
シヴーチが訛ったものなのだが、
シヴーチとはトドのことである。

ところでセイウチを使ったエスキモー料理に
コパルヒンというものがある。

皮を剥いで袋を作り、切り分けた肉と脂肪を
詰め込んで、泥炭の中に埋めて発酵させる。

場所は北極圏のため、このコパルヒンは
当然のように凍っているのだが、
それを斧で割り、ナイフで薄く削いで食べる。

獣臭さと腐敗臭が鼻を襲う。
そして恐らくアンモニア由来と
思われる刺激が舌を襲う。

永久凍土では貴重な栄養源だ。