北アフリカ、リビアの首都である。
ギリシアやレバノンにも同じ名前の都市があり、
いずれもギリシア語で三つの都市を意味する
トリポリスが由来である。
その名の通り、単一の都市の名前ではないが、
三つの都市が有機的に結合し、
ひとつの都市圏として機能していた。
リビアのトリポリは、オエア、サブラタ、
レプティスの三つの都市から成っているが、
現在のトリポリはオエアの位置にある。
サラセン人は自分たちの言葉でタラーブルスと
呼んだが、レバノンのトリポリと区別するため、
西のタラーブルスと呼んだ。
オエアがトリポリとして発展したのは
ヴァンダル王国の時代であり、
その後は主にイスラム帝国の支配下に置かれた。
主に、とするのはイスパニアやマルタ騎士団の
領地となったこともあるためで、
近世にはイタリアに占領されている。
トリポリと聞いてまず思い浮かぶのは砂漠の狂犬こと
ムアンマル・アルカッザーフィーである。
カダフィ大佐の呼び方が本邦では一般的だろう。
もっとも、リビア内戦から年月が流れてきたので、
カダフィを知らない者も増えたかもしれない。
ここでカダフィの話をしても仕方がないので
彼が何者なのかについては省くが、
どうして国家元首が大佐なのかについて軽く触れる。
諸説ある上に、本人が、もう軍人ではないので
大佐とは呼ばないでほしいと発言していたので
なんとも言い難いが、
大佐には軍事組織の長の意味合いがある。
というのも、大佐の率いる連隊というものは、
兵站を備え独立して活動可能な最小単位だからである。
近世以前であれば、領主の有する軍隊や、
傭兵団の単位に置き換えることができる。
連隊と漢語で言うと分かりにくいが、
レジメントとは統治を意味する言葉で、
徴兵と管理の基本単位であった。
それを率いる大佐、
つまりカーネルは領袖だったわけだ。
ちなみに海軍大佐の場合はカーネルではなく
キャプテン、つまり船長である。
紛らわしいことに陸軍のキャプテンは大尉だ。
キャプテンもまた集団の長のことなのである。
カダフィは尊敬するガマール・アブドゥン・ナーセルが
大佐を名乗っていたためこれに倣ったらしいが、
軍事政権の長としては適した呼称である。
なお、カーネル・サンダースこと
ハーランド・デーヴィッド・サンダースの称号は
軍隊の階級ではなく州に貢献した者に
与えられる名誉称号である。
以上。
お気付きかもしれないが
大佐の話がしたかっただけである。
トリポリに申し訳ないので名所と名物も記載しておく。
見るべきものは何と言ってもローマ時代の遺跡
レプティス・マグナだろう。
アフリカ出身で初めて皇帝になった
セプティミウス・セウェルスの出身地である。
また、厳密にはトリポリではなく隣のズリテンの名物だが、
ナツメヤシのジュースは是非味わっておきたい。
暑さの中、蜂蜜のようなその甘さは、
地中海と砂漠の魅力を引き立てることだろう。