大西洋に臨むモーリタニアの首都である。
この街自体は新しく、歴史的に見れば、この地域の
中心地はより内陸のガーナ王国であった。
なお、ガーナ王国と現在のガーナは位置が異なる。
ガーナ王国はサハラ交易の中継点であり、
岩塩と黄金の取り引きで財を成した。
ガーナ王国の滅亡後も、
この地の岩塩は遥か東方まで輸出され、
遠くメッカまで繋がる交易路の始点であった。
だが、次第にこの地域はイスラム世界から取り残され、
交易路の変化と共に衰退していった。
近代において、フランス領西アフリカの一部となるが、
その西端たる地域が脚光を浴びることは無かった。
アフリカの年と呼ばれるアフリカ独立ムーブメントの際に
モーリタニアとして独立したこの地域は、
首都を小さな漁村であったヌアクショットに置く。
この街には将来的な繁栄を望み、
拡張性を考慮した都市計画が施された。
計画は順調に進み、目標としていた人口に達したのだが、
人々の生活スタイルが変わったことで、
砂漠に住む人々が職を求めて集まってくるようになった。
当初の計画を超えた人口が集中してしまい、
現在は過密が問題となっている。
さて、ヌアクショットは歴史が新しく、
モーリタニアは比較的政情が安定しているため、
戦争に巻き込まれたことが一度しかない。
しかし、その一度が強烈であった。
西サハラの独立を求めるポリサリオ戦線が、
少数の決死隊でもってヌアクショットに攻め込んだのだ。
モーリタニア政府はこの事件に衝撃を受け、
モロッコと分割統治していた西サハラの領土を放棄。
ポリサリオ戦線が建国を宣言した
サハラアラブを国家として承認している。
モーリタニアは決して豊かな国ではないが、
農耕牧畜、漁業に鉱業をうまく発展させ、
良好な経済状況を作り上げている。
本邦へはタコの輸出を行っている。
現地の人々はタコを一切食べず、
一般人はタコとイカの違いもよく知らないという。
このため、漁で獲れたタコはすべて輸出に回しており、
本邦の主要なタコ輸入元となっている。
さて、観光地としてのヌアクショットだが、
いわゆる観光名所は一切無い。
交通ルールを守る運転手は皆無で、
ロバに引かせる馬車が渋滞を作り出すなど、
なかなかに混沌とした街を楽しめる。
食べられているのはクスクスなど北アフリカ料理に近い。
トマトがよく使われる点も共通だ。
フランス式のパンもよく食べられているのだが、
何故かスパゲッティタイプのパスタが人気である。
トマトソースとヤギ肉、ラクダ肉のパスタは珍しい。
お茶はこの地域で多い、
ミントと砂糖と共に濃く煮出すタイプだ。
三回に分けて飲む。
ヌアクショットは発展の伸びしろのある街だと思われる。
人口も多いため、いずれ観光業にも
力を入れるようになるかもしれない。