ローマ教皇庁である。
皇居の半分以下のこの場所を
街として紹介するのは間違っているかも
しれないが細かいことはいいことにしよう。
聖ペテロ大聖堂、ヴァチカン宮殿など
の建物があるが、実質的に
サンピエトロ寺院の境内がすべてである。
ただし、ヴァチカン外にもヴァチカン市国の
治外法権が認められている建物は
複数存在する。
この場所は元々ウァティカヌスの丘と
呼ばれるローマ郊外であり、
死者の埋葬される聖地であった。
そこでキリストの使徒ペテロが殉教し、
埋葬され、その墓の上に教会が建てられた。
ヴァチカンの始まりである。
ヴァチカンがカトリックの本拠地ではあるが、
昔は教皇領は数多く存在し、
教皇自身もヴァチカンではなく
ラテラノ宮殿に住まうのが恒例だった。
だが、ラテラノ宮殿はアヴィニョン捕囚時代に
火災によって失われ、ローマへの帰還を果たした
教皇はヴァチカン宮殿が建設されるまで
聖マリア奉納大聖堂を仮住まいとする。
時代と共に教皇領は失われていき、
イタリア統一によってローマとラティウムのみが
教皇領となってしまう。
結局ヴァチカン以外の教皇領はすべて失われ、
ベニート・ムッソリーニによる
教皇との和解、ヴァチカン市国の成立まで
ヴァチカンの囚人と呼ばれる状態にもなっていた。
ヴァチカンの軍備に関しては
伝統的なスイス人傭兵が存在する。
だが、彼らの武装は近代化されておらず、
近年では催涙スプレーを携行しているようだ。
ヴァチカンについて面白い話がある。
ローマ市民は国際郵便を利用する場合、
ヴァチカンへ行き、ヴァチカンの切手を買い、
ヴァチカンのポストに投函するという。
イタリアの郵便サービスよりも、
ヴァチカンのそれの方が速くて確実なのだそうだ。
全世界のカトリック教会を総括する場所なのだから、
国際郵便の頻度が高いのも頷ける。
当然、その信頼性は強固なものだろう。