序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年11月26日月曜日

モロクトカゲ

足からを吸い上げる驚異のトカゲである。

体は小さく、手の平に乗る程度である。
小さくて可愛いため飼いたいという者も多いが、
オーストラリア政府の保護によって流通は少ない。

ウルル、いわゆるエアーズロック周辺に
生息しており、過酷な砂漠に順応する
様々な特徴を備えている。

体中に棘があり、斑のある茶色の体は
周囲の風景に溶け込む保護色である。

だが、モロクトカゲ最大の特徴は、
冒頭でも書いたように
水を吸い上げる能力であろう。

彼らが水たまりに足を踏み入れると、
水は皮膚の表面を伝って口まで流れていく。

毛細管現象によって、水が移動するのだが、
舌で舐めとる場合と異なり、
わずかな水分も逃さずキャッチする。

体が少しでも濡れると、
その水が口元へ移動するため、
霧を飲むことすらできる。

主な食べ物はアリで、
アリの行列を探して歩き回る。

英語ではソーニーデビル、
イバラの悪魔と呼ばれているのだが、
モロクトカゲの名も悪魔と関連がある。

ユダヤ教徒が悪魔として記している
モロクという神から拝借された名前なのだ。

母の涙と子供の血に濡れた魔王と呼ばれる
モロクの名を、体表から水を集める
このトカゲに付けた生物学者は
中二病の気があるのではないだろうか。