序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年11月19日月曜日

アイセル湖

ネーデルラントに存在する湖である。

ローマ帝国時代には存在せず、
少しずれた位置にフレヴォ湖があった。
フレヴォ湖と海との間は湿地帯だったという。

だが、万聖節の洪水と呼ばれる事件により、
海面が湿地帯を越えてなだれ込み、
フレヴォ湖を海の一部へと変えた。

湿地帯であった場所はワッデン海となり、
ここは現在でも潮の満ち引きによって
海になったり干潟になったりする。

広大な範囲が干潟になるため、
中には島も含まれている。
満潮時に海の中にある島に、
干潮時には歩いて行けるのだ。

一方、フレヴォ湖はゾイデル海となった。
ワッデン海とゾイデル海の間には砂丘があり、
完全には海と繋がっていなかったという。

そして聖ニコラスの洪水によって
ゾイデル海は隣接していた泥炭地を
飲み込んで拡大する。

洪水が発生日の守護聖人の名で呼ばれているのが
なんともエキゾチックだが、
ワッデン海とゾイデル海の間の砂丘を破壊した
洪水にはこの手の名前がついていない。

ワッデン海とゾイデル海が繋がった数年後、
聖ルチア祭の洪水によって、
このふたつの海は更に拡大、
北海と完全に接続した。

アムステル河畔にあった村が
北海へ船を出せるようになり、
後のアムステルダムとなる。

ゾイデル海が拡大し続けることは
人々の目に明らかであったため、
ダイクと呼ばれる堤防が築かれ、
対策が講じられた。

しかし、聖エリーザベトの洪水によって
ダイクは破壊され、
多くの村が海底に沈んだそうだ。

ネーデルラント人が干拓を行い、
海を陸地に変えてやろうと考えたのは、
陸が海になる恐怖を経験したためなのだ。

ゾイデル海とワッデン海の間に巨大堤防
アフシュライトダイクが建設されたのを皮切りに、
ゾイデル海はどんどん陸地へと変えられていく。

大堤防によって淡水化したゾイデル海は、
すべてがポルダーに変えられたわけではない。
アイセル湖の名で一部が残されている。

また、ゾイデル海の南西部分は
ハウトリブダイクという堤防が築かれ、
アイセル湖と分離、マルケル湖となっている。

しっかりとメンテナンスをしていると思うが、
もしも大堤防アフシュライトダイクが
決壊したら、再びゾイデル海が姿を現すだろう。

ゾイデル海だった陸地はフレヴォラント州である。
はじまりの湖、フレヴォ湖の名は
ここに残されているのだ。