序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年11月21日水曜日

パンゴリン

鎧を着込んだアリクイのような生き物である。
本邦ではセンザンコウと呼ばれる。

鎧といえばアルマジロが有名だが、
センザンコウの場合、
大きな鱗が松ぼっくりのように重なり合う。

その姿はまさにスケイルアーマーを着込んだ動物だ。
鱗は尖っており、ハリネズミのように
攻撃的な防御効果を持っている。

なお、センザンコウは穿山甲と書く。
山を穿つ甲殻である。

まるで神話生物だ。

長い舌でアリやシロアリを舐め取って食べるため、
姿が似ていることも併せて
長らくアリクイの仲間だと思われていた。

アフリカから東南アジアにかけて生息しており、
いくつか種類が存在するが、
いずれも絶滅が危惧されている。

古来その鱗が薬として珍重されてきたためだ。
インドではリウマチに効くとされ、
チャイナでは媚薬とされてきた。

サイの角同様、毛が変質したものであるため、
当然そんな効能は無い。

アフリカでは魔除けになると信じられていたが、
媚薬と比べると理解しやすい。
外敵から身を守る護符としてはとても納得がいく。

だが、媚薬は理由が定かではない。
本草綱目に記載があるのだが、
媚薬として書いた李時珍の罪は重い。

というのも、現代でもその媚薬としての効果を
信じている者が多く、密猟されたセンザンコウの
鱗が密輸される事件が発生する。

ワシントン条約で取引が禁じられている動物のため、
剥製を売買するだけでも罪に問われる。

それが、鱗だけでトン単位で密輸されるのだ。
価格にして億単位である。

絶滅危惧種だというのに密猟される数の桁が違う。
ほとんどはアフリカからチャイナへと流れる。

ところで、本草綱目は博物誌のようなものである。
大プリニウスの博物誌もそうだが、
そこに書かれた内容は後世へ大きく影響する。

私も嘘、大袈裟、紛らわしいことを恐れず
記事を書いているが、もし仮に数百年単位で
読み継がれるようなことがあっても、
このセンザンコウの例のようなことには
ならないよう気を使っている。

今の時代に情報過多のインターネットの片隅で
書いているものが後世に影響を与えるとは
思えないが、一応、最低限の配慮はしている。

天が落ちてくるのではないかと憂いた
杞国の人々のような心配ではあるが、
この もどき が後世、歴史的資料と
されてしまったらどうしよう。

などと、妄言を吐くのであった。