ドイツの首都である。
本邦では一般的ではないが、
標準ドイツ語発音ではベアリーンとなる。
ただし、ドイツ語は方言差の大きな言語である。
地方によって違う方言に対応するために、
統一されたいわゆる標準語が存在する。
この標準ドイツ語での発音がベアリーンであり、
地方によっては異なる発音となる。
ベルリンはベルリン方言での呼び方だ。
ドイツは元々統一された国家ではなかった。
いくつもの諸侯の領土が割拠し、
それぞれが独自の文化を持っていた。
それがプロイセンによってドイツ帝国として
糾合されて現在に至るため、
標準語を無理にでも作らねばならなかった。
ルターの翻訳したドイツ語訳聖書を基に、
舞台ドイツ語と呼ばれる発音を軸に、
標準ドイツ語は生み出された。
その結果、人々の話す言葉と、
テレビやラジオで話される
標準語にずれが生じた。
首都ベルリンで話される方言は標準語ではない。
そもそも標準語を日常語として
使っているのはアナウンサーと外国人である。
ドイツ人は外国人嫌いで有名だが、
そんなものはステレオタイプで、
実際に行ってみれば標準語で話そうとしてくれる。
それでも差は出る。
私を意味するイッヒがイシュに聞こえることも
あると言えばどのぐらい違うか想像できるだろう。
津軽弁と鹿児島弁で会話をするようなものだ。
基本は同じでかつ互いの方言の違いと
標準語を知っていればきちんと会話が成り立つ。
だが、標準語しか知らない外国人ではそうはいかない。
さて、ベルリンの話に戻ろう。
この地はブランデンブルクである。
辺境伯爵領だが、ブランデンブルクという
国があったと考えた方が理解しやすい。
そして、前述のようにプロイセンが統一を果たし、
中心に近いこの地に首都を遷した。
北東部に寄っているように感じるだろうが、
昔のドイツはもっと広かった。
そんなドイツも世界大戦の敗戦国となり、
領地を奪われ莫大な賠償金を背負わされる。
その不満が更に世界大戦を呼び起こした。
二度の大戦の結果、ドイツは東西に分割され、
ベルリンは東ドイツの領域内にありながら、
西部のみ西ドイツの領域とされた。
東ドイツ領内に、西ドイツから西ベルリンへ
直通の道路が用意され、西ドイツ人は
その道路と西ベルリンにのみ立ち入りが許された。
ベルリンは西と東に分かたれていたのだ。
思えば壊されてからもうかなりの年月が経つが、
ベルリンの壁によって東西に分割されていたのだ。
再統一からは右肩上がりの成長を続け、
現在ではヨーロッパ連合の事実上の盟主である。
四度目のドイツ帝国と言う者もいる。
さすがに第四帝国は揶揄した表現だが、
ドイツがヨーロッパ連合を牛耳っていると
感じている者は少なくない。
まったく、しぶとく強い国である。
二度の世界大戦で二度とも敗北した側の主軸であり、
いずれも厳しく叩きのめされたはずなのだが。
三度目の世界大戦が起こるなら、
またドイツが引き起こし、ドイツが負けるだろう
というジョークにもならない定型文句がある。
本邦は一度目は戦勝国で、二度目は敗戦国である。
三度目は再び戦勝国になれることを願っておこう。
そもそも第三次世界大戦など
起きないことを祈るべきだろうとは思うが。
ところで、ベルリンは無神論者の首都と
言われるほど無宗教を自認する者が多い。
相対的に各宗派の割合が近くなっており、
どの宗派が強いとは言い難い。
それでも伝統的にはルター派である。
ネオバロック様式の特徴的なドームを持つ
ベルリン大聖堂はルター派の大聖堂だ。
そして、他の宗派の大聖堂も当然のように存在する。
いくらなんでも全部は紹介していられないので
興味のある方は自身で調べていただきたい。
観光名所も腐るほどある。
破壊されたベルリンの壁ですら、
実は一部にちょっとだけ残っていたりする。
冒頭で方言について触れたが、
ベルリン方言は江戸弁に似ている。
悪口が多いが裏表がなく直截。
ベルリナーシュナウツェである。
観光名所にも数々の悪口雑言による
愛称が付けられている。
そうしたベルリナーシュナウツェを
巡ってみるのも面白いかもしれない。
そして、ベルリンの食べ物と言えば
カレー味のソーセージ、カリーブルストだろう。
あとは今ではドネルケバブやファラフェルも
一般的なファーストフードだ。
ドイツ感は無いが、むしろこれが
今のドイツを象徴していると感じる人もいる。
ちなみに、カリーブルストは実はベルリン発祥である。
ファーストフードスタイルのドネルケバブも
ベルリン発祥という説がある。
国際的な都市ならではといえるだろう。
なんでもある街ベルリン。
その分、旅行の際にベルリンならではを
味わうには少し工夫が必要かもしれない。
何か目的を持って行かなければ
何処へ行って良いか分からなくなるかもしれない。
ロンドンと似たような感覚だ。
ここに行きたいという、強いこだわりを持って
ベルリンを訪れなければ、東京観光をした方が
楽しかったということにもなりかねない。
ベルリン旅行の際には、
ドイツ風の規律正しい計画を立てるのが吉だろう。