序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年10月24日水曜日

ストロンチウム

かっこいい名前だがストロンティーアンという
地名が由来であり、この地名は
妖精の鼻の丘が語源だと言われている。

ここで言う妖精とは透けた羽の生えた
小さな可愛いやつではなく、いぼのある
尖った鼻を持つ小人のようなやつである。

ストロンティーアンはスコットランドの鉱山村だ。
ストロンチウムはここで発見されたため、
この名前が付いた。

カルシウムと似た性質を持ち、
我々の骨にも含まれている。

単体の金属としては水と激しく反応し、
空気中ではすぐに酸化する。

このため水や空気に触れないよう
保管する必要がある。

主な使い道は特殊な密閉空間内の
不要な酸素を吸収することと、
赤い色を出すための花火の材料である。

あとは磁石やガラスに混ぜられるようだが、
全体的に地味な用途である。

骨を構成する重要なミネラルではあるが、
あまり役に立つ物質ではないようだ。

それどころか厄介な放射性同位体が存在する。

ストロンチウムの放射性同位体は、
生物の体内に入ると通常のストロンチウムと
同じように骨を作る材料とされる。

骨の一部となっても放射線を出し続けるため、
深刻な内部被曝が発生してしまうわけだ。

といっても、自然界には存在しないので
安心してほしい。原子力発電所に
事故があっても発生するのは微量である。

ただし、原子力爆弾が生み出す
死の灰には多く含まれる。

ちなみに、このストロンチウムの
放射性同位体は原子力電池への
応用が研究されている。

実はストロンチウムには上述とは別の原子量を
持つ放射性同位体が存在する。

そちらは半減期が短いため、
骨腫瘍の治療に用いられる。
役に立つストロンチウムもあるのだ。

そういえば模造ダイヤモンドには
ストロンチウムを使用したものもある。

見た目はよく似ているのだが、
硬度はかなり低い。
偽物を掴まされないよう注意だ。

かっこいい名前からスタートして、
なんだか悪いイメージで終わってしまったが、
ストロンチウムとはこのような物質である。