ナトリウムとカリウムの合金である。
どちらも栄養素のイメージが強く、
単体を想像しにくいかもしれないが、
れっきとした金属である。
このナトリウムとカリウムの合金、
ナック合金と略されてはいるが、
正式名称はナトリウムカリウム合金である。
そのままだ。
単体のナトリウムは水と激しく反応し、
空気中においては容易に酸化する。
対して単体のカリウムは
水や塩素と反応し、発熱する。
酸素との反応でも発熱する。
さて、そんな二種類の金属を
合金としたらどうなるのだろうか。
まず融点だが、ナトリウムもカリウムも
決して高くないのだが、合金にすると、
なんと常温で液体となる。
液体合金だ。
そして熱伝導率が非常に高く、
気化しないため、原子炉や人工衛星の
冷却媒体として利用されていた。
だが、致命的な問題を有している。
水、あるいは空気に触れると、発熱する。
発火するほど発熱する。
そして燃え上がれば爆発する。
水素爆発だ。
しかも、水や酸素との反応で
できる化合物は毒性を持つ。
最終的には二酸化炭素となり無毒化するが、
その過程では腐食性も高い。
燃えているからといって
水をかけてはいけないのは
容易に想像できると思うが、
二酸化炭素ガスでも消化できない。
なんと、還元燃焼するのだ。
分かりやすく言うと二酸化炭素を
酸素と炭素に分解しながら燃える。
火を消すには砂を盛るなどして
空気に触れないようにするしかない。
ちなみにソヴィエトの人工衛星に搭載された
プルトニウム電池の冷却材として
使用されていたナック合金は、
漏洩事故を起こし地球の上空を漂っている。
スペースデブリの危険性が指摘されて
久しいが、こんなものまでデブリに
なっているのである。
なお、ナック合金は化学合成の分野では
有益に使われている。
特に水への反応を利用して
脱水剤として活用されているようだ。
性質だけ聞くと酷く危険な
何の役に立つのか分からない物質だが、
きちんと活用方法があるのである。