北欧の国、ムーミンで知られる国スオミの首都である。
知名度は高いと思うが、
スオミはフィンランドの現地語での呼び方である。
スオミの語源ははっきりしないが、
恐らく元々の民族名と関係しているのだろう。
フィンランドに関しては、
ローマ人がこの地域の人々を
フェンニ人と呼んでいた記録がある。
さて、その首都ヘルシンキだが、
フィンランド湾に面する大都市で、
同じ湾にはロシアのサンクトペテルブルクが存在する。
ヘルシンキの名の由来は川の急流だと言われている。
北欧全体で見れば、ヘルシンゲルやヘルシンボルなど、
そうした地形で似た地名が散見される。
元々はヘルシングフォシュの名でハンザ同盟との
バルト海の覇権争いの拠点として建設された。
しかし、目論み通りには発展しなかった。
ヘルシンキの転機はフィンランドの領有権が
スウェーデンからロシアへと変わったことで訪れる。
ロシアはこの地域にフィンランド公国として自治権を与えた。
その際に、スウェーデンから距離を置くため、
首都をサンクトペテルブルクに近い
ヘルシンキに定めたのだ。
フィンランドは係争地として戦乱に次ぐ戦乱を
重ねていくが、ヘルシンキの街は発展を続けた。
ヘルシンキは大変美しい街である。
近代にネオクラッシック様式を基盤に都市計画が行われ、
その後アールヌーヴォー様式の建物が続々と建てられた。
北の白い都市と称えられる芸術作品のような街なのだ。
街の中心に位置するヘルシンキ大聖堂は、
ネオクラッシックの極致で、
ギリシアの神殿の如き白い姿は
北の白い都市の象徴と言えるだろう。
ヘルシンキ大聖堂はルター派である。
そして正教会の大聖堂はロシア時代に建てられた
生神女就寝大聖堂だ。
聖母マリアの昇天を記念する名である。
ロシア語ではウスペンスキーと言う。
こちらの建物は赤茶の壁と緑の屋根を持つ
スラブビザンチン様式であり、
ヘルシンキ大聖堂の華麗さと
対になっていると言っても良い荘厳さを持つ。
カトリックの聖ヘンリキン大聖堂もある。
街に滞在するカトリック派外国人のための教会だ。
見事な彫刻はあるが、他の二か所と比べてしまうと
こじんまりとした普通の教会という印象を受けるだろう。
大聖堂ではないが、岩盤をくりぬいて造られた
テンッペリアウキオ教会も面白い。
カンッピ礼拝堂もかなり前衛的だ。
さて、ヘルシンキはのんびりと街並みを楽しむのに
向いた観光地と言える。
歩いて回った後は料理を楽しみたいところだが、
実はフィンランド料理の評判は悪い。
ヨーロッパ人はイギリス料理を馬鹿にするが、
イギリス料理がまずさの一位だとすると、
フィンランド料理は二位にランクインする。
寒い気候風土のせいで野菜や穀物が限られ、
地形的に交易ルートも弱く、香草や香辛料に
乏しいことが理由ではないかと思われる。
塩が貴重だったことに由来する薄味も不評だ。
劣化ロシア料理と言われることもあるが、
ロシア嫌いのフィンランド人に言えば、
おそらく本気で気分を害する。
もっとも、ステレオタイプは
あくまでステレオタイプである。
美味い料理を探し出すのも旅の醍醐味だろう。