序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年6月21日金曜日

クランベリー

北アメリカ原産の湿地を好むコケモモである。

いわゆるベリーの一種であり、
低木に赤い小さな果実が成るものだ。

果実は酸みが強く、そのまま食べるのには向かないが、
甘みを加えてジュースやジャムを作ったり、
酸みを活かした調理用ソースに加工される。

アメリカの感謝祭でクランベリーソースは
欠かせない食材とされているが、
これは初期の移住者が原住民からクランベリーを
教えてもらい飢えを凌いだことに由来するという。

酸みの効いたクランベリーソースのかけられた
七面鳥料理はぜひとも味わっておきたい
アメリカ東海岸の郷土料理だ。

さて、このクランベリー、栽培されるに当たって、
非常に独特な農法が用いられる。

クランベリー畑作りはまず、
土を掘るところから始められる。

箱型に土を掘り、垂直の土手を作り、
地面を平らに均す。

クランベリーは湿地帯の植物のため、
この土は湿り気を帯びてなければならない。

果実が成ると、箱型の畑には水が張られることになる。
低木であるクランベリーが完全に
沈むほどの水が張られる。

その状態で木々を揺することで、
クランベリーの果実は水面に浮いてくるため、
その浮かんだ果実を一気に収穫するのだ。

クランベリーの木は霜に弱い。
このため、収穫の際に張った水は
春までそのままにされる。

寒い冬でも水中温であれば、
クランベリーの木がやられることはないのだ。
湿地帯の植物ならではの農法である。

ちなみに、クランベリーのクランは鶴のクレインだ。
鶴の頭部のような花が咲くからとも、
果実を鶴が好むからとも言われている。

本邦ではさほど馴染みのない漿果であるが、
クランベリージュースであれば
口にする機会はそこそこあると思われる。

特に、カクテルでの使用例が多く、
ウォッカと合わせたコスモポリタンは有名だ。

しかし、コスモポリタンはともかく、
他のクランベリージュースを使ったカクテルは、
いずれもビーチのバカンスを思わせる名前だ。

寒冷湿地のクランベリーが、
享楽的でトロピカルな飲み物になることに
なんだか面白みを感じてしまう。