序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年6月11日火曜日

ポマト

植物の中には意外なものが
近縁の種であることが多いが、
ジャガイモとトマトも近い種である。

しかし、近いとは言っても知っての通り
まったくのベツモノであり、
当然、雑種が生まれることもない。

だが、生物化学研究は細胞融合という
驚異の技術を誕生させた。

これは二つ以上の細胞を文字通り融合させ、
雑種細胞と呼ばれる新たな細胞を
生み出すというものだ。

なんでもかんでも合体できるわけではないが、
ジャガイモとトマトの細胞融合は成功した。

ジャガイモにトマトを接ぎ木した
ジャガトマと呼ばれるものもあるが、
これとはわけが違う。

完全にジャガイモとトマトの雑種、
ポマトの誕生である。

ジャガトマのようにトマトとジャガイモの
両方を同時に得られる植物を
作ろうとしたわけではない。

トマトは寒さに弱いがジャガイモは強い。
このジャガイモの耐寒性をトマトへと
継承できないかと実験的に作られたのだ。

ポマトはトマトのような果実が成り、
ジャガイモのような地下茎を形成するが、
目論見通りの耐寒トマトとはならなかった。

しかも、ポマトから得られる果実も
地下茎も味は原種よりはるかに劣り、
良いとこ取りというわけにはいかなかった。

さて、いかにも最新の科学によって
生み出されたかのように書いたが、
ポマトを作り出したのは西ドイツの研究所である。
つまり、かなり昔の話だ。

当時は未来の植物として大いに期待されたが、
結果は前述の通り残念なものだった。

なお、近年少しだけ話題になったトムテトは
ポマトではなくジャガトマである。