序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2019年1月15日火曜日

ナマケモノ

動かないことで有名な猿に似た動物である。

猿の仲間だと思われることが多いが、
アリクイやアルマジロに近い生き物だ。

怠け者という身も蓋もない名前を
付けられているが、英語ではもっと直截で、
怠惰を意味する単語そのものが名前である。

あまりの動かなさから古くは何も食べず
風から栄養を得て生きている動物だと
思われていたが、毎日きちんと食べている。

食べるのは植物で、木の葉や芽が主食だ。
あまりにも動かないため体に苔が生えるのだが、
その苔を食べることもあるという。

動かずにいられる秘訣は代謝機能の低さにある。
哺乳類でありながら変温動物であり、
体温維持にエネルギーを使わない。

それでも一週間に一度程度の頻度で
木の上から下りてくることがある。
糞尿を排泄するためだ。

怠け者でもトイレには行くということだ。
木の上から垂れ流しても良いようなものだが。

さて、ナマケモノには前足の指が
二本のものと三本のものがいる。

三本のものはアマゾン川流域に生息しており、
この地域は雨期になると多くの場所が浸水する。

このため、三本指は泳ぐことができる。
これがなかなか達者で、悠然と泳ぐ様は
普段の姿からは想像できない。

ちなみに二本指はカナヅチだ。
もし水に入れれば成す術もなく溺死するだろう。
怠け者らしく、もがきすらしないかもしれない。

ナマケモノの天敵はジャガーやピューマだが、
動かない彼らは木の一部と見分けるのが難しい。
擬態によってその身を守っているのだ。
だが、オウギワシには見破られてしまう。

人間の幼児ほどの大きさのナマケモノを襲い
捕食する鷲の存在に驚かされるが、
実はナマケモノは非常に痩せていて
西瓜ぐらいの重さしかないのだ。

なお、食べることを怠けて
餓死するという俗説があるが、
これは誤りである。

きちんと食べているが餓死するのだ。

ナマケモノは消化も遅い。
食べたものがエネルギーとなるまでに
時間がかかってしまう。

そのせいで消化吸収が間に合わず、
事切れてしまうことがあるのだ。
もちろん珍しいケースである。

ほぼ一日寝ているナマケモノ。
生きるとは何かを考えさせられてしまう。