中心が黄色く外側が紫色の花を咲かせる野の草である。
今昔物語に載っている
母を亡くした兄弟の物語に紫苑は登場する。
兄弟共に嘆き悲しみ、毎日墓参りを欠かさなかったのだが、
兄は宮仕えの身であったため、悲しみを忘れさせるとされる
忘れ草を墓前に植えて母への想いと決別した。
しかし、弟は思い草とも呼ばれる紫苑を植え、
毎日欠かさず墓参りを行った。
そんなある日、彼に墓守鬼が語り掛ける。
自分は醜い鬼だが、お前の母を想う心に感じ入ったと。
以来、鬼は彼に毎晩予知夢を見せ、
事実上の予知能力を与えたのだった。
この物語が、君を忘れないという花言葉の由来だという。
鬼の醜草という別名もこの物語に因む。
花の咲くのは秋である。
ちょうど中秋の名月の頃に咲くため、
旧暦で満月となる十五夜にちなみ十五夜草とも呼ばれる。
根には利尿作用があり、紫苑の名で生薬とされる。
食用にはならないが、発熱や膀胱炎に効果が期待できる。
なお、英語ではタターリアンアスターとなる。
アスターとは星を意味し、花の形から名付けられたものだ。
この紫の紫苑はその中でも東方からもたらされたものとして、
タタール人のアスターと呼ばれている。
ちなみに本邦の野生の紫苑は絶滅危惧種である。
園芸品種は人気があり各地で栽培されているため
絶滅という言葉はぴんとこないが、
自生しているものは九州のごく一部にしか存在しない。
死者を忘れず想い続ける花、紫苑。
ゲーム、ポケットモンスターの初代をプレイしたことが
あるならばシオンタウンという町の名前の元だと
聞けばなるほどと思うだろう。