葵の仲間の植物のことで、美しい花を咲かせる。
ハイビスカスの一種でもある。
芙蓉とは元々蓮の花を指す言葉である。
芙も蓉も蓮を意味する漢字なのだ。
だが、次第にハスは蓮と呼ばれるようになり、
芙蓉の名は蓮の美しさを形容する言葉となった。
美しい樹という意味でネムノキが芙蓉樹と呼ばれ、
美しい鳥だということで金糸雀が芙蓉鳥となった。
この使い方が大陸から本邦へと伝わり、
美しいこの花の名前となった。
富士山のことを芙蓉峰と呼ぶことがあるが、
現代ではほぼ使われない。
芙蓉の花が元々大和言葉で何と
呼ばれていたのかは寡聞にして知らない。
葵と区別していなかったのかもしれない。
芙蓉がこの花の名前として使われる中、
大陸の文献では明らかに蓮と分かる花を
芙蓉と呼んでいるという齟齬が生じる。
ここで逆転現象が発生し、蓮の美称として
芙蓉と呼ぶこともあるということになった。
おおらかである。
なお、蓮を意味する芙蓉と混同しそうな場合には
木芙蓉と呼ばれることがある。
逆に蓮を水芙蓉と呼ぶこともある。
ローズマロウという北アメリカ原産の花があるのだが、
これは芙蓉に近い植物で、アメリカフヨウという。
草芙蓉という呼び方がある。
酔芙蓉という園芸品種があるのだが、
これがまた面白い。
白い花を朝に咲かせるのだが、
酒に酔って顔が赤くなるように徐々に色がつく。
江戸の人々は本当に洒脱である。
芙蓉の花は一日しか咲かない。
それを交配させ、様々な品種を作り出すことに
血道を上げた人々がいるのだ。
本邦の人々は何かにこだわると
とことんまでこだわる傾向にあるが、
ここにもその片鱗が見える。
一朝一夕で成ることではないのだ。