特徴的な花と葉を持つ草である。
その名の通り積もった雪の下から
生えてくる植物、というわけではない。
名前の由来にはいくつかの説があり、
雪に覆われても緑の葉が失われないから、
白い花が雪に見えるから、などである。
葉は鴨の足に例えられ、裏は赤い。
鴨足草は俳句の夏の季語である。
山菜として食されるものであり、
天ぷらやおひたしのゴマあえなどにすると
クセもなく美味しくいただける。
天ぷらにする際は葉の裏側にだけ
衣を着けるのがスタンダードで、
さくっと軽い歯触りが楽しめる。
山菜と言ったが、湿度が高く直射日光の差さない
場所であれば生育することが可能で、
庭の日陰で育てられていることが多い。
横に伸びる枝から新たな株が
生えてくることもあり、
乾燥と日光にさえ気を付ければ育てやすい。
五枚の花弁を持つ花は独特な形をしており、
上部に短い三枚、下部に長い二枚がある。
近縁の大文字草は、この花の形を
漢字の大に見立てたもので、
確かにそういう形をしている。
上部の三枚には赤い斑があり、
花弁の中央はには黄色い雌しべがあり、
星を思わせる放射状に雄しべが伸びる。
小さいがなかなかに豪奢な花なのだ。
日陰のジメジメとした場所に咲くわりに、
意外な美しさを放っている。
暗がりで見たなら派手な虫と
勘違いするかもしれない。
ちなみに、薬草としての効能は無いが、
虎耳草と呼び薬草扱いする地域もある。
焙った葉が炎症に効く貼り薬になるとされ、
搾り汁は痒み止めになるという。
乾燥させた葉と茎を煎じたものは
解毒剤になるとまで言われており、
かなり有用な薬草とされてきたが、
残念ながら若干の抗菌作用しかない。
中耳炎など耳の病気に効くとされているが、
薬草ではなく野菜だと思っておこう。
こうした野草は万能薬のように言われている
ものがかなり多いが、もし本当に薬効があるなら
生薬として昔から利用されているはずだ。
東洋医学の歴史を侮るなかれ。
また、似非医学に惑わされぬように。