花水木と書く樹木である。
単純な漢字の連なりのため、
却って分かりにくい名前だと
私は感じるがどうだろうか。
水と木が並ぶと曜日のように感じてしまう。
それはそうと、ミズキという木があるのだが、
その仲間の中で特に花が目立つことから、
この木は花ミズキと呼ばれている。
ただのミズキは東アジアの植物だが、
ハナミズキは実は北アメリカの樹木なのだ。
更に言うと、花だと思っている
白やピンクの部分は総苞という蕾を包む部位であり、
実際の花は中心の地味な緑の部分である。
果実は小さな赤い粒で、毒がある。
食べてはいけない。
さて、アメリカの木であるハナミズキが
何故本邦のあちこちに植えられているのか。
実は理由がある。
本邦から合衆国へ桜の木が贈られたことは
有名なのでよく知られているが、
ハナミズキはその返礼として贈られたものだ。
多くは大戦時に伐採されてしまったが、
現在では各地で愛されている。
桜の花が散った頃に花を咲かせるこの木は、
アメリカ東部に自生しており、
桜前線のように開花時期が少しずつずれている。
葉より先に花の咲く落葉樹であることも
桜と共通しており、ハナミズキを愛でる
文化を楽しむ人々もアメリカにいるようだ。
なお、英語での呼び名はドッグウッドである。
犬の木である。語源は不明らしい。
ちなみに、アメリカ人の中にはキリスト教の救世主が
掛けられた十字架にはハナミズキ材が使われたと
信じる者たちがいる。
ハナミズキは北アメリカ東部の樹木である。
古代のイスラエル周辺でハナミズキ材は
入手できないだろう。
そういう伝説が近代に生まれるほど、
現地では住民に愛されている木だということだ。