サハラの南西に位置する国家セネガルの首都である。
ヴェルデ岬の突き出した南側に位置するこの街は、
かつて奴隷貿易の中心地であった。
奴隷海岸各地から船に詰められた奴隷たちは、
このダカール沖のゴレ島にあるエストレー要塞に
集積され、新大陸へと売られていった。
現在のダカールはフランスの植民地時代に
築かれたものであり、比較的新しい街である。
その頃にはもう奴隷貿易は禁止されていた。
近代的な街並みはサブサハラでは屈指の先進性を持ち、
現在でも大西洋航路の重要な港湾となっている。
本邦においてダカールは知名度の高い都市であるが、
その理由はかつて開催されていたパリとダカールの間を
走破するモータースポーツにある。
本邦ではパリダカと略されることの多いこのレースは、
サハラを縦断する過酷なスポーツとして有名だった。
完走するだけでも困難であり、
半数が脱落することもあったこのレースは、
本当に危険な催しである。
最大の危険は厳しい大自然ではなく、
人によってもたらされる。
強盗やテロリストが選手や報道陣を襲うのだ。
レースが住民の生活に悪影響を与えていたこともあり、
開催地は南アメリカへと移され、
いわゆるパリダカは終焉を迎えた。
パリダカのゴールはレトバ湖という塩湖である。
ラックローズの名で知られているこの湖は
なんと薔薇色をしている。
レトバ湖についてはいずれ地形の項目で語りたい。
ダカールは観光に向いた都市であると言える。
歴史を楽しむことができる建造物、
レトバ湖のような驚きの自然、
伝統料理、そして何より治安が良い。
もっとも、治安に関しては変化するものなので、
現在も良いとは限らない。
旅に出る前に現地情報の確認を怠らぬように。
料理は当然セネガル料理を味わうことができる。
セネガルでは長粒種の米を主食にしているのだが、
本邦風に言えば炊込ご飯と汁掛ご飯が充実している。
スープで炊くものはベンヌチン、
ソースを掛けるものはニャーリチンと呼ばれ、
それぞれ鍋ひとつ、鍋ふたつという意味である。
調理に必要な鍋の数が名前となっているのだ。
具材は主に魚である。
マグロ、カジキ、タイ、ニシン、ロブスターなど、
大西洋やセネガル川で獲られるものを使う。
米は収穫量を需要が上回るため
東南アジアから輸入しているのだが、
輸送の途中で砕けてしまう。
ダカールの人々は砕けた米が普通だと思っており、
彼らの調理法にとっても適しているため、
わざわざ砕くこともあるという。
米料理の他はアブラヤシから作るヤシ酒、
西アフリカ特有の嗜好品コーラの実が有名だ。
どちらもいずれ植物の項目で紹介したい。
恒例となっている大聖堂の紹介をしたいのだが、
この地域の主教座はマリ連邦時代の
首都バマコであったと思われる。
残念ながらダカールの大聖堂は存在しない。
立派なモスクが沢山あるのでそちらをお勧めしたい。
個人的にはダカールで最も評判の良い観光名所である
大モスクは、イスラム建築の中では
いまひとつぱっとしないように思ってしまうのだが、
こんなことを言っては現地の人に怒られてしまうか。