温かい海にいる細長い体を持つ魚である。
その口は目より後ろまで裂け、
中には鋭い歯がびっしりと並ぶ。
海中で遭遇し、その容貌が
トラウマになったという話も聞く。
姿が恐ろしいだけではない。
顎の力が強く、噛まれた場合、
重傷を負いかねない。
とはいえ、普段は岩陰などに隠れ、
近付いた魚を食べて暮らしている。
無理に近付いたり触れようとしたりしなければ
そうそう被害に遭うことはないだろう。
ウツボは嗅覚が発達しており、
魚の血の匂いに敏感に反応する。
体を覆う粘液によって多少の時間であれば
皮膚呼吸ができ、地上を這いずることがある。
与太話かもしれないが、海辺で魚を捌いていると、
ウツボが上がってきて驚いた、
という話も聞いたことがある。
ところで、ウツボはタコが好物らしい。
タコは知能が高く、優れた捕食者であるが、
人とウツボには食われてしまう。
そんなタコは伊勢海老が好物らしい。
なのでウツボは伊勢海老の近くで
タコを待ち構えるという。
さて、気持ち悪い、怖い、海のギャングと
悪評高いウツボだが、実は食べると美味い。
骨が多く独特の捌き方が必要なため調理は大変だ。
また、皮付きで出されると
あの模様が気持ち悪いと言えば気持ち悪い。
だが、味がいい。
薄造りで食べれば歯応えが河豚に似ている。
唐揚げで食べればふわっとした
食感がまた河豚に似ている。
なんだ、河豚ではなくウツボを
食べればいいではないかと思うかもしれない。
しかし、河豚は今やどこでも食べられるが、
ウツボは食材として出しているところが少ない。
骨の処理が非常に難しいのも問題点だ。
そう考えると河豚を食べた方がいいのかもしれない。
いや違う。
どちらも食べよう。