序説

序説

かの偉大なる博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに倣い、 聞きかじった内容を元に森羅万象を書き記すものである。 なお、各項目に記す内容の真偽は検証せず、 嘘、大げさ、紛らわしいことを恐れずに執筆していくため、 読者諸兄はこの点に留意していただきたい。 物事を伝...

2018年8月5日日曜日

洋白

銅と亜鉛ニッケルの合金である。
銀は含まれていないが洋銀とも呼ばれる。
実際、比率によっては銀によく似ている。

現在の五百円玉の素材だが、
貨幣に使われる場合、ニッケルの量は少ない。

真鍮にニッケルが含まれているようなもので、
似ている点が多いが、ニッケルの含有量によって、
性質を調整することが可能だ。

従って、加工性は真鍮よりも高い。
ただし、腐食耐性は真鍮に劣る。

発条材として使われることが多いが、
これは真鍮にも同じことが言える。

鋼製のバネ、洋白のバネ、真鍮のバネは、
耐久性と耐食性の兼ね合いで使い分けられている。

もっとも、発条材は他にも耐熱性や耐寒性など
用途によって様々な要素が重視される。

金属同士が接触すると
金属音と呼ばれる特有の音が鳴る。

ものによっては不快な音が鳴るのだが、
洋白の音は上品だとされている。

このことから、楽器や食器に用いられることが多い。

食器への利用は、口触りが良いと評され、
銀によく似た美しい見た目から、
洋白銀食器として人気を博した時代がある。

なお、一説によると最古の洋白は
漢代の貨幣に遡るという。

銀貨の偽造貨幣であったとも言われているが、
ニッケルの利用難度を考えると判断し難い。

この洋白貨幣は遠くギリシアまで持ち込まれたが、
成分調査ができるようになるまで長らく
そんなわけないと一笑に付される説であった。

いずれにせよ、亜鉛もニッケルも
扱いの難しい金属である。

これらを利用した合金を狙って作れるのであれば、
それは相当な技術力だと言える。